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何歳になっても成長できる!
行動技術による自分の「伸ばし方」

vol.6

なるべく普段の生活の中で学ぶことが
長続きさせるためのコツ。

どんなにいい教室・スクールでも遠すぎると通わなくなる

前回に続き、今回も勉強や自己研さんを長続きさせやすくするための“環境づくり”について考えてみましょう。

TOEICなど英語試験の受験を目指すときに、多くの人は英会話教室・スクールに通うことを考えると思います。独学で勉強するよりも、指導を受けながら学んだほうが効率よく身に付くはずですし、同じ志を持って一緒に学ぶ人がいたほうが、励みにもなるからです。

その場合、どんな教え方をして、どれだけ合格実績があるのかといったことを調べることも大切ですが、それ以上に、「自宅や勤め先から通いやすい場所にあるか?」という点に着目して教室・スクールを選びたいものです。

例えば、都内に住んでいて、勤め先も都内にあるのに、「評判がいいから」といった理由で横浜の英会話教室・スクールに入学してしまうと、わざわざ足を延ばすのがおっくうになって、結局、通わなくなってしまう恐れがあります。

むしろ、評判はさほど高くなくても、自宅と勤め先の間にある学校のほうが、通いやすいので通学が長続きする可能性もあるわけです。

このように、行動を長続きさせるためには、「なるべく普段の生活の範囲内で行動できる環境を整える」ことが大切です。

英会話に通い始めたものの……。無理なく続けるためのちょっとしたコツ

「余分な変化」をなくして行動への抵抗感を抑える

そもそも、勉強や自己研さんに取り組もうとすること自体が、普段の生活に「新たな行動」を加えることです。

行動科学の研究では、「人間は急激な行動の変化に対応できず、持続もできない」ということが明らかになっています。普段の生活に勉強や自己研さんという変化が加わるだけでも、人は大きな抵抗感を覚えてしまうものなのです。

そのうえ、「わざわざ遠くまで足を延ばさなければならない」という変化の要素が加わると、抵抗感はますます高まって、行動の停止を早めてしまいます。

勉強や自己研さんを始めるのであれば、「さらに余分な変化」で抵抗感が高まり過ぎないように、なるべく普段の生活の延長線上で取り組めるようにすることが大切だといえます。

そもそも「教室・スクールに通う」ということ自体が大きな変化なので、まずは身近な環境で、自分自身で少しずつ学び、変化に対応するウォーミングアップを始めてみてはどうでしょうか。

教室・スクールに通う前にすき間時間で学んでみる

例えば英語の勉強なら、通勤途中や休憩といった“すき間時間”を使って、少しずつ英単語を覚えていくのです。1日5分間を使って3つの単語を覚えるといったように、こなしやすい目標から始めて、徐々にレベルアップするのがいいと思います。

通勤途中であれば、単語帳をめくったりするのは面倒なので、スマートフォンなどを使ってリスニングの勉強をするのもいいでしょう。いずれにしても、少しずつ心と体を勉強する習慣になじませ、変化に適応しやすくするのです。

通勤や休憩などのすき間時間は、「普段の生活」の中でも使いやすい時間帯といえるので、ぜひ有効活用したいものです。

これを3カ月ほど行い、「そろそろ勉強の習慣が身に付いてきたな」と感じるようになったら、そこから英会話教室・スクールに通ってみましょう。

ウォーミングアップは完了しているので、教室・スクールに通っても長続きしやすいですし、事前にある程度、英単語やリスニングの勉強を済ませているので、より自信を持ってレッスンを受けられます。

「人間は急激な行動の変化に対応できない」というのは先ほど書いたとおりですが、一方で行動科学による研究では、「人間は一度、行動を習慣として身に付けてしまうと、それをやり続けないと気持ち悪くなる」ということも明らかになっています。心と体をうまく変化に慣れさせれば、それだけで行動は長続きするようになるのです。

“伸ばし方”のポイント

教室・スクールに通い始める前に
まずは身近な環境で勉強の
ウォーミングアップを

PROFILE

石田 淳いしだ・じゅん
株式会社ウィルPMインターナショナル代表取締役社長兼最高経営責任者。社団法人組織行動セーフティマネジメント協会代表理事。アメリカの行動分析学会ABAI会員。日本行動分析学会会員。日本ペンクラブ会員。日経BP主催『課長塾』講師。米国のビジネス界で大きな成果を上げる行動分析を基にしたマネジメント手法を日本人に適したものに独自の手法でアレンジし、「行動科学マネジメント」として確立。執筆活動や講演・セミナーを精力的に行う。

記事公開:2020年2月