「ユーモア」と「ウイット」が効果的
笑いは、会話をスムーズに進める潤滑剤の1つ。日常会話はもちろん、取引先と初めて会うときや大事な商談の場で、上手く笑いを織り交ぜた会話ができれば、相手の気持ちをほぐすことができ、商談にも良い影響を与えるはずです。ただし、ビジネスシーンでの会話は、ただ相手を笑わせれば良いというものではありません。今回はビジネスシーンにおける笑いの目的と、注意すべき点について解説します。
笑いの種類には「ユーモア」や「ウイット」「ナンセンス」「パンチ」「ジョーク」「ブラックユーモア」など、たくさんあります。ビジネスの会話で笑いをとるには、これらの中でユーモアとウイットを意識しましょう。ユーモアは話し手の性格に起因し、ウイットは話し手の知識に起因する笑いです。ユーモアは、話し手が持つ雰囲気やセンス、他者への思いやりと温かい心が必要になり、向上させるのは一苦労です。しかし、日頃から愛情にあふれる人と接することで磨くことができます。一方、ウイットは、幅広い知識や教養がベースになります。面白い人の話を聞くことによって、笑いをとりやすくなる話し方が身につくでしょう。ただし、聞き手にも相応の知識がないと、理解されない可能性があるので、注意してください。
ビジネスシーンで役立つ2つの笑い
ビジネスの会話に爆笑は不要
とはいえ狙って笑いをとるのは、簡単ではありません。どんなに面白い人でも、いきなり「面白い話をしてください」と言われて話せる人はいないでしょう。しかし、ユーモアとウイットのどちらにも自信がないという人でも、実はビジネスの会話の笑いに関しては、それほど難しく考える必要はありません。ビジネスの会話での笑いは、相手を笑わせること自体が目的ではないからです。本当の目的は、冒頭でも説明したように相手の心を解きほぐして、話しやすくさせることにあります。
仕事の会話は、お互いに少なからず緊張するものです。緊張した状態では、思っていることを十分に話せないことがあります。緊張を緩和させることさえできれば、相手が声を出して笑わなかったとしても問題ありません。クスッとでも笑わせることができれば十分。極論ですが、まったく笑いをとれなかったとしても、相手に「冗談を言う人なんだ」と思わせるだけでも効果はあります。逆に大爆笑をとってその印象だけが強くなり、肝心の仕事の話が記憶に残らなかったりしては、本末転倒になってしまいます。
失敗談と他人をダシにするのはNG
友人などの日常会話では、失敗談を話すと笑いをとれるケースが多くあります。しかしビジネスの場合は、避けた方が賢明です。その場は失敗談で笑いをとれたとしても、一緒に仕事をして失敗しないか相手が不安を覚えるかもしれません。また、人を小馬鹿にするなど他人をダシにした笑いもやめましょう。特に自分や相手の会社の関係者は厳禁です。その話が後で本人に伝わり、余計なトラブルに発展しかねません。相手にまったく関係がない第三者であっても、他人をダシにした笑いは、自分の人間性を疑われる恐れがあります。
特に初対面での会話は、相手に自分の第一印象を与えるとても大切なものです。無理に笑いをとろうとして、かえって自分の印象を悪くするような危険を冒す必要はありません。最初は朗らかに笑顔で話すということを心掛けるだけでも良いでしょう。そうすることで相手だけでなく自分の緊張もほぐれ、相手との関係も少しずつ近くなっていきます。その過程で小さな笑いでも積み重ねることができれば、ビジネスの成功にも近づけるはず。ビジネスでの笑いで求められているのは、自分を面白い人と思わせることではなく、話しやすい人と思わせることなのです。
笑いがもたらす3つの力