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仕事がうまくいく「話し方」のコツ

ビジネスシーンで役立つ話し方のコツをケース別にご紹介します。

vol.8 うまく伝え、うまく聞き出す、
プレゼンや商談で差がつくワザとは?

コミュニケーションは“言葉”だけでは不十分

プレゼンテーションで自分の意図が聞き手に十分に伝わっていなかったり、商談で話がなかなか前に進まなかったりした経験はありませんか? コミュニケーションにおいて、言葉で伝えることはもちろん大切ですが、言葉だけでは不十分ともいえます。そこで今回は、自分の意図をしっかりと伝えるための方法と、相手の話をうまく引き出すテクニックについて解説します。

まず、自分の意図を、相手により分かりやすく伝えるために有効なのがジェスチャーです。話しながら適切なジェスチャーを使うことによって、相手の理解を深めたり、強く印象付けたりすることができます。一方、相手の話をうまく引き出すためには「相づち」をうまく打つことが必要です。相づちにはさまざまな種類があり、目的に合わせて効果的に使うことができれば、相手を話しやすくさせることができます。

言葉の後に補い理解を促すジェスチャー

ジェスチャーは、言葉を補足するために行う動作です。特に意味もなく話しながら手を動かすだけでは、ジェスチャーとはいえません。それはただの癖になってしまい、相手にとって目障りで逆効果です。話している内容に合った動きをすることで、聞く人の視覚に訴えることができて、より理解を促すことができるのです。

ジェスチャーを大きく分けると、主に以下の5種類になります。

代表的なジェスチャー

指示的ジェスチャー
方向や位置を示す「指示的ジェスチャー」は、スライドを紹介するときなどに使います。注目して欲しいポイントを手や指で指し示すと、聞き手の意識を引き付けることができます。

写生的ジェスチャー
「写生的ジェスチャー」は、商品の大きさや形などを示すときに使うと、実物をイメージしやすくなるはずです。

動作的ジェスチャー
ものの動き方をまねる「動作的ジェスチャー」は、視覚に訴えて印象付けたいときに効果的です。

数量的ジェスチャー
よく使われている、指で数を示す「数量的ジェスチャー」は、話の要点の数などを事前に示すときに使うと、聞き手は頭の中で話を整理しやすくなります。

象徴的ジェスチャー
合図や気持ちを表す「象徴的ジェスチャー」は、ガッツポーズやVサインなどが該当します。


これらのジェスチャーを使うタイミングは、話している内容とほぼ同時が基本ですが、ほんの少しだけ話に遅らせるようにしましょう。話に先行してジェスチャーを使うと、相手に違和感を与えます。例えば、話のポイントが2つあるという意味で数量的ジェスチャーを使うときに、話す前に指を2本立てると、聞き手には急にVサインを出したように見えてしまいます。また、あまり頻繁に使うと落ち着きが無いように見えて、聞き手に軽い印象を与えかねないので気を付けましょう。

ビジネスの場でジェスチャーを使うときは、指先まで意識して美しい所作で、相手にはっきりと分かるように行うのがポイントです。そして、ジェスチャーを使わないときは、余計な動きはせずに落ち着いて話をすることで、めりはりが利いてジェスチャーの効果をより大きくすることができます。

相づちは会話の潤滑油

相づちの効果は、まず「話を聞いています」ということを態度で示すことによって、相手が話しやすくなることです。また、話に合った適切な反応を見せると、相手の気分を良くさせて話の先を促したり、より多くの情報を引き出したりすることもできます。

相づちの種類には、「同意」や「共感」「驚き」「反対」などがあります。相づちを打つときに注意しなければいけないのは、相手が話した内容に対して、これらを適切に使い分けることです。例えば、相手が自虐的に「最近物忘れがひどくなって」と言ったときに「私もそう思います」などと同意してしまうと、相手の機嫌を損ねてしまいかねません。「そんなことはないでしょう」と反対したり、「私もです」と共感を示したりすることで、うまく話を先に進めることができます。

意識してトレーニングしなければ身に付かない

現代は、ビジネスのコミュケーションでもメールをはじめとして、文字だけでやりとりする機会が増えています。ジェスチャーと相づちは会話に特有のものなので、文字だけのやりとりでは身に付きません。そして、効果的に使えるようにするためには、単に会話の機会を増やすだけでなく、日頃から意識してトレーニングする必要があります。トレーニングを重ねることで、適切なタイミングでジェスチャーを使ったり、自然な間合いで相づちを打ったりすることができるようになるのです。

ジェスチャーや相づちを使わなくても会話はできます。しかし、効果的に使うことができるようになれば、話をするときの大きな武器になり、ビジネスで他の人に一歩差をつけることができるでしょう。

PROFILE

永田 豊志
秋田 義一あきた・よしかず
一般社団法人話力総合研究所理事長。話し方、聴き方、ビジネスコミュニケーション、人間関係等に関する研修や講演を担当。また、話力インストラクターの教育指導にあたる。国士舘大学理工学部講師(非常勤)、産業能率大学マネジメントスクール講師。霞が関ナレッジスクェアアドバイザリメンバ。公益社団法人 日本技術士会 防災支援委員会 委員 兼 千葉県支部幹事。千葉県東葛テクノプラザ技術相談員などを歴任。

記事公開:2018年7月