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日々を充実させる!タイムマネジメントの技術

24時間を上手に使って、仕事もプライベートも充実させるコツを紹介します。
vol.10

失敗を引きずらない!
上手な気持ちの切り替え方。

後悔や反省に引っ張られるのは本能?

誰しも仕事で失敗したり、もっとうまくできたかも、と考えたりすることはあるでしょう。それはあなたが頑張っている証。一生懸命に取り組んでいればいるほど、ダメージは大きくなるものです。

後悔や不安で頭がいっぱいになるのは、脳の仕組みによるもの。参考となるのが、心理学者クルト・レヴィン氏とブリューマ・ツァイガルニク氏の研究によって提唱された「ツァイガルニク効果」です。彼らは、「人間は達成できたことや完了したことよりも、途中で中断されたものの方が印象に残りやすい」としました。連載マンガや連続ドラマの続きが気になるのも、この効果を利用しているといわれています。

自分が思うようにいかなかったこと、きれいに“完了”できなかったことが気になるのは仕方ありませんよね。反省から学ぶことは重要ですが、あまりにもそれにとらわれすぎると、時間をムダにしかねません。いつもなら集中して取り組めるタスクがはかどっていないようなら要注意です。

このような場合は気持ちを切り替え、区切りをつけることが有効に働きます。今回は上手な乗り越え方をご紹介。クヨクヨと後悔するムダな時間を減らしましょう。

前向きになれないときは“感情”と“行動”を切り離す

とはいえ、気持ちが沈んでいるときはどうしても行動も消極的になりがち。マイナスな感情に引っ張られやすく、嫌なことに直面すると何も行動を起こす意欲が湧かなくなる人は多いでしょう。

そんなときは意識的に、落ち込んでいる感情とその後の行動を切り離してみましょう。おすすめするのが「~でなければ、~だった」と、反事実的条件文で考えること。

失敗したとクヨクヨする原因になったことを、事実とは反することで仮定してみてください。もしかすると、後悔しているマイナスなことを経験しなければ、もっと悪い事態に陥ったかもしれません。極端な例ですが、希望する部署への配属を逃した場合、「もし希望している部署に配属されていたら、今の部署で得られている知識や学びとは出会えなかった」と考えられます。そう考えると、落ち込んでしまうあまり、何をする意欲も失われるということは避けられるのではないでしょうか。

マイナスだと思っていることも、考え方によっては新たな発見につながります。「この失敗があったからこそ次につなげることができそう」といった前向きな認識を身につけることが大切です。

■ 反事実的条件文での考え方
反事実的条件分での考え方をすると「次はこうしよう!」と前向きな思考になり、次の行動につながる

また、ショックでやる気がなくなり、原因ばかり考えて悩むこともあるでしょう。そういうときは、「どんな状態になったら気にならなくなるのか」を考えてみてください。自分なりに解決方法を定義づけることで、ゴールまでの道のりが明確になり、思考回路が変わるはずです。

気持ちを切り替える3つのステップ

人間には、実際は予測不可能だったことに対しても、結果を知ってからだと「予測できたことだった」「そうなると思っていた」などと考えてしまう「後知恵バイアス」が働くことがあります。悪かった結果を目の当たりにして、「本当は別の手段が取れたはず」など、自分を責めてしまうことがあるかもしれません。ただ、これは結果を知っているからそう考えられるのです。後悔したことを客観的に振り返り、気持ちに区切りをつけることができれば、クヨクヨと落ち込んで動けない状態から抜け出すきっかけが見つけやすくなります。

以下3つのステップを試してみてください。

STEP1 書くことでアウトプット
後悔したり、反省したりするのは悪いことではありませんが、思った以上に時間を取られてしまうもの。理想を考えればいくらでも時間は過ぎていきますが、残念ながらそれだけでは現実は何も変わりません。そこでおすすめするのが、頭の中を紙に書き出す手法。実はライティングセラピーという療法もあるほど、書くことは自分の感情や思考を整理することに有効です。その際にはまず起こった「事実」だけを記し、その後に「こうすればよかった/しなければよかった」など自分の「気持ち」や「考え」を書くこと。事実と感情を分けることで客観的に見直すことができるでしょう。
STEP2 客観的に振り返る
書き出すことができたら、後悔の根本を探っていきましょう。事実と感情、双方を客観的に見ると、自分がうまくいかなかった原因が徐々にわかってくるはずです。どのタイミングで判断を間違えたのかがわかったとして、もし過去に戻れたらどう行動するのか。過去に戻ってやり直すことはできませんが、このように後悔を通じた自身のフィードバックから新たに学ぶことはできます。失敗は成長するための貴重な機会。落ち込んでばかりでなく、前を向いて軌道修正していきましょう。
STEP3 強い「決意」を持つ
最後にすべきは、「次に似たようなことが起きたらどうすればいいのか」、失敗したときとは別の手法を選ぶ決意を固めることです。後悔から立ち直れないのは、決意が足りていないからかもしれません。次に同じ失敗や後悔をしないためにすべきことが明確になれば、「今回は仕方なかった」と、もう少し自分に寛容になれるのではないでしょうか。

後悔するだけの時間は早めに終わらせ、次のプロジェクトに取りかかるなど、生産的な時間を増やしていくこと。これが今回、私からお伝えしたいタイムマネジメントのコツです。

充実した時間を過ごすためのポイント

反事実的条件文で、前向きな思考・行動に
3ステップで客観的に振り返ることで、
クヨクヨと後悔する気持ちを切り替えよう

PROFILE

池田 貴将
池田 貴将いけだ・たかまさ
株式会社オープンプラットフォーム代表取締役。リーダーシップ・行動心理学の研究者。大学在学中にアメリカへ行き、コーチング・目標達成・モチベーション理論を学び、起業。科学的根拠に基づいた独自メソッドを開発。著名人を含む、年間1万人以上がセミナーに参加し、高い評価を受ける。著書に『タイムマネジメント大全 24時間すべてを自分のために使う』(大和書房)、『覚悟の磨き方 超訳 吉田松陰』(サンクチュアリ出版)、他多数。

記事公開:2024年1月