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日々を充実させる!タイムマネジメントの技術

24時間を上手に使って、仕事もプライベートも充実させるコツを紹介します。
vol.13

誘惑に負けない!良質な睡眠につながる!
満足度を上げる夜の過ごし方。

ストレスが増えると、脳は衝動を抑えられなくなる?

時間を有効活用しようとして、「今日の夜は勉強しよう!」「仕事帰りに、ここに行こう!」と決意していても、いざそのときになると面倒になったり、疲れてやる気がなくなったり……という経験はありませんか? 人はストレスホルモンが増えると脳の衝動を抑制できず、誘惑に流されやすくなります。そのため、夜になると計画していたことが特に実行しづらいのです。しかし、そんな夜の時間を上手に使うことができれば、翌日を万全な状態で迎えることができ、さらなる時間の有効活用につなげられるでしょう。

まず、誘惑に流されやすい状況を避けるには、以下のようなことを心がけてください。

“自我消耗”する状況から離れる
意志力ややる気の発揮、セルフコントロールなどの精神活動で使える力は有限です。仕事などで疲れるとその力はどんどん失われ(自我消耗)、自制心が減って脳が衝動的になります。こうなってしまうと、自分の気持ちだけで誘惑に打ち勝つのは難しくなってきます。疲弊しないよう仕事量を調整する、適切な休憩をとるといった心がけはもちろん、お酒を家に置かない、動画アプリをスマホに入れないなどの工夫をして、目の前から“誘惑のもと”となるものを取り除くことが有効です。
衝動に流された場合のリスクを考える
リスクを意識することも大切な要素です。例えば夜にジャンクフードを食べたくなったとき、「もしかすると健康を失うかも……」「太ってしまうかも……」とイメージすると、誘惑に負けない強い意志を持てるでしょう。また個人的なスキルのための勉強がはかどらないときは、やる気を出すために「次の人事評価の際に昇進したい」など、目的やゴールを明確に設定することも有効です。
リストによって意志を強固にする
意志を実行するには、漠然とモチベーションを高めようとするより、計画の上で導き出した「やることリスト」を用意することが有効です。2人の米国大学教授がスーパーマーケットで行った調査結果があります。彼らは客たちに「空腹かどうか」を聞き、会計後に買ったものを見せてもらいました。すると「空腹」だと答えた人は必要以上に多くのものを購入していたそうです。そこで「買い物リスト」を用意してもらった上で同様の調査をしたところ、「空腹」と回答した人たちでも予定外の買い物をした人は少なかったといいます。つまり、リストを用意することで脳の衝動が抑制され、コントロールできるようになることがわかったのです。

満足度をグンと上げる夜の過ごし方

先述の通り、意志力には限りがあることからも、疲れている夜の時間帯は誘惑に弱くなっているといえるでしょう。しかし、心身を休める時間である夜の過ごし方は、睡眠の質や、翌日のパフォーマンスに大きく影響します。ここからは誘惑に流されずに夜の過ごし方を工夫して、生活の満足度を高める方法をご紹介します。

眠りにつく前に心がけたいのは、脳をリラックスさせる行動です。緊張状態から解放され、副交感神経を優位にするには、不慣れなことよりも普段通りの決まった行動をするのが効果的です。その上で、翌朝に1日をスタートしやすくなるよう、「理想的な環境」を整えておくことが大切です。デスク周りを整頓しておく、着替えを用意するなど、目覚めてからスムーズに生活や仕事に取り掛かれるシチュエーションを、前日の夜のうちに整えてみてください。

■ 眠りにつく前に理想的な環境を整える

また就寝前の読書も有効です。本を読むことは、ただ知識が身に付くだけでなく、記憶力が上がり、ストレス緩和にもなります。米国エセックス大学の研究で、1日6分の読書でストレスレベルが最大68%も緩和されることが明らかになりました。ただし、同じ「文章を読む」行為だとしても、スマホやタブレットではなく紙の本を読むようにしましょう。仕事の通知や連絡とも直結している電子デバイスは交感神経を優位にし、入眠を妨げます。

ちなみに私は、ベッドに入ってからはその日1日の「いいこと」を振り返り、感謝するようにしています。「ありがとう」と思えることは、実は脳にとってもいいことなのです。幸せホルモンが放出されますし、免疫力や自尊心を高めてくれます。試してみるとぐっすりと眠れ、きっと効果を感じることができると思います。

質の良い睡眠に導くための4つのポイント

夜になって低下した意志力の回復に有効なのが睡眠。睡眠が足りていないと、集中力や注意力、判断力、記憶力なども大幅に下がってしまいます。必要な睡眠時間は人によりますが、できれば7時間以上を確保することが必要です。その上で「質の良い睡眠」を取るようにしてください。そのためのポイントとなるのは「肉体疲労」「体温管理」「ブルーライト」「食事」の4つです。

ポイント1 肉体疲労
適度な体の疲労感は、深い眠りを促します。ランニングやジムでの運動はハードルが高いと感じるのであれば、自宅時間をちょっと工夫するだけでもOK。ソファでスマホやテレビを観ながらゴロゴロする時間に筋トレやストレッチ、ヨガなどを取り入れてはどうでしょう? 体を動かすことで、脳と体をじっくりと休めることができるはずです。
ポイント2 体温管理
よく眠るには「就寝90分前までに入浴、お湯の温度は40度」が効果的です。加えて寝室の室温管理も重要な要素。寝室の適切な温度は16〜19度とされています。人は深部体温が徐々に下がることで脳に睡眠信号が送られ入眠します。温かすぎる室内や寝具、パジャマでは体温が下がりにくく、睡眠の妨げになることもあるので注意しましょう。
ポイント3 ブルーライトを避ける
先述の通り、スマホやタブレット、パソコンなどの電子デバイスは交感神経を優位にし、緊張状態にさせますが、それだけではありません。それらの画面が発するブルーライトは脳に「昼だ」と認識させ、睡眠を妨げる一因となります。電子デバイスの使用はベッドに入る2時間前までにしておき、寝室以外の部屋で充電するのがおすすめです。
ポイント4 就寝4時間前にはものを食べない
満腹状態は睡眠に支障をきたします。食事したものを消化しようと脳が興奮状態になって眠りにくくなると同時に、胃腸の働きが低下し、うまく消化できなくなりかねません。また睡眠中に分泌される代謝機能の調節や精神的健康の維持に重要な成長ホルモンが減少するため、できれば寝る4時間前までには食事を済ませるようにしましょう。
充実した時間を過ごすためのポイント

生活の満足度を上げるためには
意志力の下がる夜の時間の過ごし方が大切。
ポイントを守って良質な睡眠をとろう!

PROFILE

池田 貴将
池田 貴将いけだ・たかまさ
株式会社オープンプラットフォーム代表取締役。リーダーシップ・行動心理学の研究者。大学在学中にアメリカへ行き、コーチング・目標達成・モチベーション理論を学び、起業。科学的根拠に基づいた独自メソッドを開発。著名人を含む、年間1万人以上がセミナーに参加し、高い評価を受ける。著書に『タイムマネジメント大全 24時間すべてを自分のために使う』(大和書房)、『覚悟の磨き方 超訳 吉田松陰』(サンクチュアリ出版)、他多数。

記事公開:2024年7月