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日々を充実させる!タイムマネジメントの技術

24時間を上手に使って、仕事もプライベートも充実させるコツを紹介します。
vol.4

仕事の時間を有意義に!
時間を上手にデザインするには。

「暗黙知」が、仕事の時間を充実させる!?

皆さんは1日にどれくらい仕事をしていますか?例えば8時間働いている方は、1日の3分の1を仕事に費やしていることになります。いつも前向きに仕事に取り組んでいる方もいれば、どうしても仕事の時間をネガティブに捉えてしまう方もいるでしょう。仕事への向き合い方はさまざまですが、同じ時間を過ごすのであれば、なるべく楽しみたいもの。今回は仕事の時間を有意義にするコツをお伝えします。

新人の頃はあまり興味を持てなかった仕事でも、続けているうちにやりがいや楽しさを見出せるようになったという方も多いのではないでしょうか。それは“スキル”が身に付き、できることが増えたからです。新人のときは、任された仕事を正しく遂行することや与えられた目標をこなすことで手いっぱいかもしれませんが、次第に物事を多角的に見る視点や新たな知識が身に付き、自身の成長が実感できて、喜びや楽しさにつながります。

企画や経理、営業、制作など、どんな業務でも、仕事を楽しむためには、ある程度スキルを身に付けなければなりません。例えば、資料作成や顧客との何気ない会話でも、簡単に言語化できない、個人の経験に基づく知識、すなわち「暗黙知」がなければ、うまくこなすことは難しいでしょう。言い換えれば、暗黙知が身に付くと、仕事がうまくこなせるようになり、やりがいや楽しさを感じられるようになるはずです。

時間を“かたまり”で捉え、時間の主導権は自分で握る

暗黙知を身に付けるには、まず物事をじっくり観察したり、自分なりに工夫しながらトライ&エラーを繰り返したりする必要があります。

しかし、メールやチャット、電話に対応したり、ほかの仕事を頼まれたりして、なかなか一つの仕事に集中できないこともあるでしょう。カリフォルニア大学のグロリア・マーク博士の研究によると、一度途切れてしまった集中力を戻すには、平均して25分近くかかり、そのたびに脳に負荷がかかることがわかっています。時間を細切れにして、さまざまなタスクに対応していると、「忙しい」という感覚だけが残ってしまい、暗黙知を身に付けるのに必要な、じっくりと思考する時間を確保することができません。

このまとまった時間を確保することができない状況を「仕方ない」「当たり前」と思ってしまうと、成長スピードが停滞してしまいます。まずは時間を複数の“かたまり”で捉えることが重要です。「この時間は〇〇する時間」と、業務時間をいくつかのかたまりに分け、まとまった時間で一つの業務に集中できるように仕事の時間をデザインしてみましょう。一つの業務にじっくりと時間をかけることで、新たな発見を得ることができ、スキルが身に付きやすくなります。

どうしても時間を“かたまり”で確保できない方は、“環境を変える”ことを試してみてはいかがでしょうか。いつも座っている自席から、作業に必要なものだけを持って、会議室などへ移動し、集中したい作業以外のことができない状況を作ってしまえば、効率は上がるはずです。ときには在宅勤務で1日集中する時間を作るのもよいですし、1日場所を変えるのが難しい方は、「1時間だけ別の場所で作業する」など時間を決めて行うのも効果的です。

また、“環境を変える”のが難しいという方は、“環境を整える”ことを考えてみましょう。例えば、ある作業を始める際には、視界からその作業に関係ないものをなくしてみてください。余計なものが目に入ると、別のことを連想してしまいます。途切れてしまった集中力を元に戻すには、時間も労力もかかります。机の上のものを一旦片付けて、まっさらなデスクにして作業に取り掛かるだけでも、時間が細切れになることを避けやすくなるでしょう。

できるだけまとまった時間の“かたまり”を確保するためには、「時間の主導権は自分にある」ことを忘れないことが重要です。一つの作業に集中する時間を、意識して作れるよう、自分なりに工夫してみましょう。

3つのポイントを意識して、時間をデザインする

スキルを磨くために仕事に没頭することも必要ですが、自身が仕事に求めているものが何かを見失ってしまっては本末転倒です。以下の3つのポイントを意識して時間をデザインすると、仕事の時間はさらに充実したものになるでしょう。

(1)仕事の位置づけを決める
(2)個人の目標を定める
(3)遊び心を持ち続ける

まずは仕事への向き合い方です。自分の生活において仕事をどのような位置に定めるか、私生活を含めた優先順位=ワークライフバランスを考えましょう。家族と過ごす時間や趣味、仕事以外でのスキルアップなどを考慮した上で、仕事に割くことができる時間比率を出します。仕事よりも優先したいことがある場合は、思い切って「●曜日はノー残業デーにする」などと線引きをすることも大切です。

次に注目したいのが個人の目標です。会社から与えられた目標だけをこなすのではなく、仕事を通じて自分自身が達成したいことを考え、そのために必要なスキルの習得を個人の目標に設定しましょう。習得方法としておすすめなのが、獲得したいスキルを持つ人を、時間をかけてじっくりと観察してみることです。ときには、理想となる人の立ち回り方を真似てみたり、質問したりしてみるのも良いでしょう。

そして「遊び心」を持ち続けることも重要です。日々仕事に追われていると、「失敗したくない」と、新しい挑戦に躊躇してしまうことがあるかもしれません。早く、確実な結果を求め、安全な道を選んでしまいがちですが、少し遠回りしたり、いつもと違う道を選ぶ心のゆとりを持ちましょう。失敗する余裕もないと自分を追い詰めてしまうと、いくらスキルが身に付いても仕事の時間は楽しいものになりません。いつもと違う道を選んだことによって得られる新しい発見や経験が、仕事に大きな成果をもたらす可能性もあるでしょう。

■ 仕事の時間を充実させるポイント

これら3つのポイントを念頭に置き、働いている時間を細切れにせず“かたまり”で捉えて、1日の仕事の時間をデザインしてみてください。時間を上手にデザインできると、暗黙知が身に付きやすくなり、仕事の時間がさらに有意義に感じられるようになるでしょう。

充実した時間を過ごすためのポイント

時間を複数の“かたまり”でデザインすることで、
スキルアップ!
「仕事の位置づけ」「個人の目標」「遊び心」を意識して、より充実した仕事時間へ

PROFILE

池田 貴将
池田 貴将いけだ・たかまさ
株式会社オープンプラットフォーム代表取締役。リーダーシップ・行動心理学の研究者。大学在学中にアメリカへ行き、コーチング・目標達成・モチベーション理論を学び、起業。科学的根拠に基づいた独自メソッドを開発。著名人を含む、年間1万人以上がセミナーに参加し、高い評価を受ける。著書に『タイムマネジメント大全 24時間すべてを自分のために使う』(大和書房)、『覚悟の磨き方 超訳 吉田松陰』(サンクチュアリ出版)、他多数。

記事公開:2023年3月