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図解で思考整理

ビジネスマンが抱える悩みを、「図」にすることで解決します。

vol.12 あえて常識を捨てるアイデア発想法
「逆設定法」。

立てよ、大企業よ!

ビジネス書の名著である『イノベーションのジレンマ』。この本で、ハーバード・ビジネス・スクールのクレイトン・クリステンセン教授は、「なぜ大企業はいつも失敗してしまうのか」や「イノベーションが大企業でなく、ベンチャー企業で興るメカニズム」を解説しました。
クリステンセン教授は、大企業は従来技術を向上させ、既存市場で受け入れられている製品をバージョンアップする「持続的イノベーション」が得意である一方、「破壊的イノベーション」、つまり「性能は既存の製品より劣るものの価格が安く、従来とは異なる新しい価値と、将来ビジネスが大きくなる可能性を秘めた新しい製品の創造」は不得手と説いています。
日本はこれまで持続的イノベーションが得意とされ、家電や自動車などの分野で質の高い製品を世界に送り出しました。反面、現代では破壊的イノベーションが生まれにくく、例えば携帯電話(通称:ガラケー)は、革命的なスマートフォン・iPhoneに位置を取って変わられてしまいました。
「では破壊的イノベーションを生む発想はどうすれば得られるのか?」とトンネルの出口が見当たらないとき、そんなときは「逆設定法」をヒントに、斬新なアイデアをひねり出してみましょう。

「非・常識」を真面目に設定して図解化

逆設定法はアメリカ人コンサルタントである、ステファン・グロスマンが提唱した思考方法です。一般的な思考で行き詰まりを感じたとき、固定観念を排して、画期的なアイデアを見つけたいときに効果を発揮します。その真髄は、とにかく意識的に常識の逆から物事を考えるというものです。
最初に「固定観念や先入観」を書き出します。下の図の「新感覚な鍋料理店」では、一番左の列に当たるところ。ネガティブなポイント、改善すべき部分をあますところなく列挙するつもりで書き出してください。
次にその「固定観念や先入観」を「逆設定」化します。自分の常識を取り払い、できるだけ自由で、物事の根源に迫りながら、逆張りをします。「鍋料理は大勢で食べるもので、一人向きではない」では、思い切って「お一人様の鍋だってあってよいはず」と考えました。これはよく考えると、全く突拍子もない設定とは言えず、晩婚化が進む現代社会では、ありえるターゲットのはずです。
最後が「逆設定」の具体化。多様な発想、珍しさ、新しさを重視して、「ありえないだろう!」とついつい思ってしまう心を一度封印しましょう。光輝く妙案は、数々の凡庸な案や、珍奇な案を肥やしにすることで、生まれるのですから。

■逆設定法の一例(新感覚な鍋料理店の場合)

PROFILE

永田 豊志
永田 豊志ながた・とよし
知的生産研究家、ショーケース・ティービー共同創業者兼取締役副社長。九州大学卒。リクルートで新規事業開発を担当。その後、出版社や版権管理会社などを経て、ショーケース・ティービーを共同設立。図解思考、フレームワーク分析などビジネスパーソンの知的生産性研究にも取り組んでおり、国内外で執筆活動や講演でそのノウハウ普及を行う。

記事公開:2018年3月