成果や業務プロセスを3つの視点で振り返る
プロジェクトの目標達成のため、あるいはワークフロー改善のために、仕事の「振り返り」を行うことは、ビジネスの基本。そして、その振り返りによる効果を最大限に近づけるためには、3つの視点を押さえる必要があります。
それが今回ご紹介する、仕事の継続を重視した振り返りのためのフレームワーク※「KPT法」です。KPTとは、継続すべきこと(Keep)、問題点(Problem)、挑戦すべきこと(Try)の頭文字をとったもので、この3つの視点から、これまでのプロジェクトの結果や業務の全体を振り返ります。
まず、プロジェクトで獲得した成果や業務プロセスを振り返って、効果的であったと考えられることを「Keep」とし、継続の対象に分類します。次に、トラブルや不利益の要因となったものを「Problem」とし、改善すべき対象としてピックアップします。さらに、KeepとProblemの内容を踏まえ、サービスの強化や機能向上を目指して取り組むべき点を「Try」として挙げます。
このように、振り返りの内容を3つの視点で整理することにより、継続しながら強化すべき点、改善する必要のある点、今後チャレンジすべき点がそれぞれ明確になり、次なる行動に活かしやすくなるのです。
※フレームワーク…経営戦略や業務改善など、さまざまなビジネス局面において、課題解決や現状分析をするための思考方法。思考の枠組み。
KPTによってイベントの集客力を上げる!
ある小売業の店舗における集客イベントを例にしてみましょう。
これまでの開催結果を振り返ると、よかった点(Keep)として挙げられるのは、店舗を利用する顧客に楽しんでもらうための参加体験型イベントであること。開催頻度、日時、会場に関しても問題なさそうです。一方で、問題(Problem)として見えてきたのが、イベントの内容がマンネリ化しつつあるのと同時に、参加者が固定化しつつある状況です。
これまでのイベント開催から引き出されるKeepとProblemの項目を挙げ、それらをもとに、対策として考えられたのが、アンケート実施、企画の公募、イベント参加特典を見直すという3つの改善策(Try)でした。KPT法を用いることで、継続的な成功への具体的な方法が見つけやすくなるわけです。
3つの枠に該当する内容を書き込んで整理
業務内容や成果をポジティブに捉えることを優先する
簡単な3つの視点によって、業務のうまくいっていること、問題点、将来への課題を整理でき、さらに業務内容を「見える化」して、漠然と捉えがちな部分を明確に理解できることから、KPT法は、新人に業務を学んでもらうためにも有効な手法といえます。
また、KPTは、成功体験と課題を簡単に整理できる点で、個人が関わる業務の整理ばかりではなく、プロジェクトチーム単位での仕事の振り返りにも効果的です。ただし、KPTの手法はチームで行う際、Problemを挙げる段階で他者攻撃や個人攻撃、不毛な粗探しに陥るおそれがあります。そうなると、本来の効果が期待できません。
建設的な意見を促すには、業務内容やプロジェクトの成果をポジティブに捉える姿勢が大事。どうしても反省点に目が行きがちですが、うまくいっていること(Keep)を優先的に挙げるよう努めるのがKPTの効果を最大化するコツです。「Problem」を「問題点」というより、「うまく活かせるための気づき」と捉えるぐらいのほうがよいかもしれません。