影響し合う各要素の関係を可視化し、事業運営上の判断をスムーズにする
ビジネスにおける意志決定の場面で、経営者、あるいは各事業等の担当者は、自分たちのビジネスサイクルのどの部分に力を注ぐべきか、判断を求められます。その時肝心なのは、自分たちのビジネスを俯瞰して全体像を把握すること。あらゆるビジネスは、さまざまな要素が関係し影響し合って成り立っているため、各要素の関係性を正確に把握していないと、正しい意志決定はできません。
ビジネスで影響し合う多様な要素の関係を図式化して考えるためのフレームワーク※に「インフルエンス・ダイアグラム」があります。インフルエンス・ダイアグラムを描くうえで欠かせないのが、ビジネスにおける各要素。インフルエンス・ダイアグラムではこれを「ノード」と呼び、ノードは以下の3種類に分類できます。
- [意志決定ノード]
- 経営者や各事業等の担当者がコントロールできる要素。需要に応じた生産設備の規模や生産量などがこれにあたる。
- [不確定ノード]
- 経営者や各事業等の担当者が直接コントロールできない要素。市場規模や販売量など。
- [価値ノード]
- ゴールになる要素。利益や顧客満足などの評価指標を表す。
インフルエンス・ダイアグラムを活用する際には、目指すべきゴールとなる価値ノードから書き、下の図の①→②→③のように、下から順に価値ノードに影響をおよぼすノードを書き加え、ノードの影響関係を矢印で表しながら書いていきます。お金や利益の流れで矢印を書くのではなく、「直接影響を与えるもの」という矢印を書くのがポイント。
ノードは大まかなものだけでシンプルに書くほうがわかりやすくなります。必要に応じて細かいノードを加えていくとよいでしょう。こうして図式化することにより、不確定ノードでコントロールできないものを変えようと時間を使ってしまったり、意思決定ノードで改善すべきことをなおざりにしてしまったりという判断ミスを防ぐことができるのです。
※ フレームワーク・・・経営戦略や業務改善など、さまざまなビジネス局面において、課題解決や現状分析をするための思考方法。思考の枠組み。