一つの結果を生むのは一つの原因とはかぎらない
ビジネスにおける課題解決の手法の一つに「特性要因図」というものがあります。ここでいう「特性」とは、現時点で生じている「(ビジネスの)結果」、ひいては「解決したい課題」のことであり、「要因」は、「その結果をもたらすのに影響を与える要素」を指します。
特性要因図は、結果がどのようにしてもたらされたかを図式化したもので、東京大学の石川馨教授が考案しました。もともとは製造業の品質管理に用いられ、製造業では「QC活動における七つ道具の一つ」といわれています。この手法は、製造業だけでなく、あらゆるビジネスの結果と原因の関係性を表すのにも有効です。
あなたのビジネスにおける課題を想像してみてください。例えば、「自社製品の品質にばらつきが生じる」という課題があったとします。その要因となっているのは「製造設備の老朽化や不具合」かもしれないし、「オペレーターの経験不足」や「材料のばらつき」かもしれません。そして、それらすべてということも、可能性としては十分に考えられるでしょう。
一般的に、一つの結果を生み出す原因は、決して一つではないケースがほとんどといえます。いわば、さまざまな要因が複合的に作用して一つの結果につながっているのです。
これらの関係性を可視化した特性要因図は、その形が魚の骨に似ているところから「フィッシュボーンチャート」とも呼ばれます。