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図解で思考整理

ビジネスマンが抱える悩みを、「図」にすることで解決します。

vol.6 「コア・コンピタンス分析」で会社の能力を数値化し、
プレゼン相手に自社の優位性をアピールする。

他社に真似できない自社の強みを数値化する

プレゼンテーションで自社をアピールする時に大事なことは、説得力があるか否か。たとえば、「弊社の強みは企画力です」だけで終わりにせず、「全社員の5人に1人は企画開発部に属し、利益の10%を毎年研究開発費に充てています」と具体的な数字を提示すると、強みの客観性、ひいては説得力がぐっと増します。

フレームワークの分野では、「強み」を「顧客に利益をもたらす、他社にはない自社の中核的な能力」と定義する考え方があり、それを「コア・コンピタンス」と呼んでいます。この「コア・コンピタンス」を数値化して分析する方法が、今回ご紹介する「コア・コンピタンス分析」です。

※ フレームワーク・・・経営戦略や業務改善など、さまざまなビジネス局面において、課題解決や現状分析をするための思考方法。思考の枠組み。

コア・コンピタンス分析で自社とライバル社の能力を数値化

数値化が可能な具体的な項目を立てる

「コア・コンピタンス分析」では上記のような表作りを目指します。まずは表のY軸左側にあたるコア・コンピタンス項目を設定します。自社の強みは何であるかを洗い出しながら設定してください。この時に強みだけでなく、弱みも考えることをオススメします。なぜなら弱みは正しい改善策によって、強みに変わるからです。

項目の細かな内容は数値化を念頭に立てましょう。「企画力が強い」と思うのであれば、「特許申請数」「商品開発数」「研究開発費」など、結果が数字として出ている具体的な項目が見えてくるはずです。

次に各項目の数値を記入します。本来数値は、「特許申請数」であれば、申請数そのものではなく、事業の重要度といった係数をかけてポイント化します。ただし統計学を駆使した複雑な処理ですから、個人で計算するのはかなりたいへん。そこで自分で表を作る場合は、目安ということで、申請数の実数を使ってみましょう。

自社の数値を作り終えたら、できれば他社の数値も割り出したいところです。比較すれば自社の相対的な強みが明らかになります。

あなたが思う、あなたの会社の強みは本物ですか?

表を作り終えたら早速結果の分析。自社の強みを再確認できたり、強みと思っていたところが、実際はそれほどでもなかったりなどが、表内の数値で見えてくるでしょう。また、漠然と弱みだと思っていた部分が、他社と比べてどれくらい弱く、弱みを強みに変えるために、どれほど力を注ぐべきかも読み解けると思います。

コア・コンピタンスはあくまで、顧客に利益をもたらすことのできる会社の強みです。福利厚生や研修制度の充実は内向きの強みであり、コア・コンピタンスとは言えません。もちろん社員のモチベーションは業務に直結するので、内向きの強みも強みには違いありませんが、ビジネスは基本的に相手との関係性で成り立っている営み。会社と自分の志向が、内向きになりすぎていないか注意しておきましょう。

PROFILE

永田 豊志
永田 豊志ながた・とよし
知的生産研究家、ショーケース・ティービー共同創業者兼取締役副社長。九州大学卒。リクルートで新規事業開発を担当。その後、出版社や版権管理会社などを経て、ショーケース・ティービーを共同設立。図解思考、フレームワーク分析などビジネスパーソンの知的生産性研究にも取り組んでおり、国内外で執筆活動や講演でそのノウハウ普及を行う。

記事公開:2017年6月