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実践! ビジネスボイトレ講座


仕事の成果につながる、「いい声」を手に入れる方法を紹介します。

vol.01 声と年収は比例する!?
「いい声」は今からでも手に入る。

声が変わるだけで仕事の成果は上がる

「同じような営業トークをしているのに、なぜか同期の方が成績がいい」

「一生懸命プレゼンを行っても、お客さまに全然食いついてもらえない」

そんな悩みを抱えるビジネスパーソンは、少なくないのではないでしょうか。

いろいろな理由が考えられますが、もしかしたら、あなたの声に大きな問題があるのかもしれません。

同じ営業トークでも、ボソボソした聞き取りにくい声や、張りのない小さな声では、相手は「聞いてみよう」という意欲を失ってしまいます。そして、なかなか成約には至らず、営業成績にも大きな差が出てしまうことになるでしょう。

プレゼンも同じです。自分の考えを誰かに聞いてもらうためには、論理立てて説明するだけでなく、「聞いてほしい」という熱意を相手に伝えなければなりません。しかし、か細い声や聞き取りにくい声では、熱意が十分に伝わらないので、相手は耳を傾けてくれなくなってしまいます。

反対に、よく通る声や、聞き取りやすい声で営業トークやプレゼンを行うと、話す言葉に説得力が増し、相手も熱心に耳を傾けてくれるようになります。その結果、営業成績は上がり、提案も通りやすくなって、あなた自身の評価も高まります。

信じられないかもしれませんが、声が変わるだけで、仕事の成果も大きく上がるのです。

また、普段からいい声で話せば、好感度が上がったり、人から信頼されたりと、さまざまなプラスの効果が表れます。つまり、いい声で話すことは、社内やお客さまとの人間関係を良好にするためにも効果的だと言えるのです。

この連載では、日々のちょっとしたトレーニングで、「理想の声」を手に入れる方法や相手に伝わる声の出し方をアドバイスします。誰でも簡単にでき、信じて続ければ必ず「いい声」になれるので、ぜひ今日からでも始めてみませんか?

声は生まれつきのものではない!? 訓練すれば誰でも変えられる

ここまで読んで、「本当に自分の声を変えられるの?」と疑わしく思った方もいるのではないでしょうか。それも仕方がないことかもしれません。自分の声にコンプレックスを感じてはいても、「声は生まれつきのものだから、変えようがない」と思い込んでいる人がほとんどだからです。

実は、その考え方が大きな間違いなのです。

大きな声が出ないのも、聞き取りやすい声で話せないのも、全て間違った声の出し方を身に付けてしまったからで、生まれつきのものではありません。体のクセと同じように、何十年にもわたって習慣付けられたものなので、一生変えられないものだと思い込んでしまうのも無理のないことだと思います。

でも、ゴルフのフォームを矯正するように、正しいトレーニングを繰り返し行えば、いい声の出し方は必ず身に付けることができます。

「声は変えようがない」という先入観は捨て、いい声で話している自分の姿をイメージしながら、その実現に向けてトレーニングに励んでみてはいかがでしょうか。

私は、声に悩みを抱えるビジネスパーソンのためのボイストレーニングを主宰しています。

声楽家としてのノウハウと、音に対する敏感な聴覚(絶対音感)を生かし、スクールでの授業や、全国各地での企業研修・セミナーなどで、これまで250社以上の企業、3万人以上のビジネスパーソンのボイストレーニングを指導してきました。

3万人以上のトレーニングを通じて、いい声に変えることができた改善率は99%を誇ります。この連載を通じて、そのトレーニングのエッセンスを紹介しますので、ぜひ試してみてください。

声がいい人ほど出世しやすい!? 腹式呼吸と声帯の強化がカギ

先ほど、「声が変わるだけで、仕事の成果が上がる」という話をしましたが、これは実際の調査結果からも明らかになっています。

私も協力している声についての情報発信を行う「声総研」が、20~50代の働く男女を対象にアンケート調査を実施したところ、「声を褒められたことがある」「声の通りがよい方だと思う」と回答した人は、そうでない人に比べて、役職や管理職に就いている割合が約1.3倍も多かったのです。女性に限って言えば、この割合は約1.9倍とさらに多くなりました。

役職に就けば給料も上がりやすくなるわけですから、「声のよさと年収は比例する」といっても、決して言い過ぎではないかもしれません。

では、いい声を手に入れるためには、具体的に何をすればいいのでしょうか。

まず意識していただきたいのは、「腹式呼吸で話すこと」、そして、「声帯を鍛えること」です。

私たち日本人は、言葉を発するときに、胸のあたりまで浅く息を吸って吐き出す「胸式呼吸」の習慣が身に付いています。これは、日本語が「有声音」で発声する言語だからです。有声音は、声帯を震わせるだけで出る音なので、深く息を吸い込む必要がありません。

これに対し、欧米や中国の人々は、おなかの筋肉も使って息を深く吸い込む「腹式呼吸」で話します。欧米の言語や中国語には、声帯を震わすだけでは発音できない「無声音」が含まれているので、どうしても深く息を吸い込まざるを得ないのです。

胸式呼吸は、腹式呼吸ほどのエネルギーを使わなくても発音が可能なので、日本人の声は欧米や中国の人々に比べて小さくなりがちですが、言い換えれば、腹式呼吸を身に付けることで、大きな声が出せるようになるわけです。

腹式呼吸と胸式呼吸の違い

また、声を出すためには、「声帯」が重要な役割を果たしていることはご存じかと思います。その声帯の機能が衰えると、声がかすれて、聞き取りにくくなってしまいます。

普段あまり声を出さない人は、どんどん声帯が衰え、年齢とともに老化も顕著になっていきます。逆に言えば、その衰えを食い止め、鍛え上げることが、いい声を手に入れるためのカギとなるわけです。

次回からは、これらの具体的なトレーニング方法について詳しく解説します。

「いい声」になるためのコツ

「声は生まれつきのもの」と諦めない
必ず「いい声」になれると信じて
日々のトレーニングに励んでみよう

PROFILE

秋竹 朋子
秋竹 朋子あきたけ・ともこ
ビジネスボイストレーニングスクール「ビジヴォ」代表。東京音楽大学ピアノ演奏家コース卒業。ビジヴォの代表として、「声」「話し方」に問題を抱えるビジネスパーソンの指導を実施。音楽家・声楽家ならではの聴力と技術を駆使した、日本初「超絶対音感」によるボイストレーニングが話題を呼び、TVほかマスコミ出演も多数。東京を拠点に全国各地で企業研修やセミナーを行う。著書に『1分間声トレ』『ビジネスがうまくいく発声法』など。

記事公開:2022年5月