本コンテンツは、お客さまがご利用のOSまたはブラウザーへ対応しておりません。
最新のOS、ブラウザーにアップデートしてください。

実践! ビジネスボイトレ講座


仕事の成果につながる、「いい声」を手に入れる方法を紹介します。

vol.11 しゃべりのプロでも言いにくい!?
噛みやすい言葉をはっきりと発音するには。

噛まないための秘策とは?

普段の会話の中で、言葉を噛んでしまったり、言いにくい単語につまってしまったりした経験がある方は多いでしょう。

日本語には、噛みやすい音があります。サ行、ラ行、マ行、パ行、タ行など、舌先や唇をよく使う音です。これらの音が連続して出てくる言葉を話すと、どうしても舌がもつれやすくなってしまいます。

「させて」「られる」「取りざたされる」「もろもろ」などの言葉が典型です。

噛まないようにするためのポイントは、フレーズを細かく区切って、一つひとつの単語を立たせるように発音することです。練習方法としておすすめなのが次の早口言葉です。読点の部分でしっかりと区切って声に出してみましょう。

「ブラジル人の、ミラクル、ビラ配り」
「負傷者、続出」
「マサチュー、セッツ、州」
「もろもろの、ことが、取りざた、される」

一つひとつの単語をはっきり発音するトレーニング方法

慣れるまでは難しいと感じる方もいるかもしれません。「ビラ配り」や「続出」が言いにくい場合、「ビラ、配り」「ぞく、しゅつ」とさらに区切ってみましょう。細かく区切ることで、一つひとつの単語をはっきりと発音できるようになり、早口言葉のようなフレーズでも噛まずに話せるようになります。ぜひ試してみてください。

「させていただきます」を噛んでしまう?

ビジネスの場でよく使われる言葉の中にも、噛みやすい、言いにくいフレーズがあります。「~させていただきます」です。

「商品について説明させていただきます」や、「水曜日にお邪魔させていただきます」など、顧客との会話の中で日常的に用いられる表現であり、無意識のうちに使っている方も多いのではないかと思います。

ビジネスシーンでよく飛び交っている「させていただく」ですが、間違った日本語表現ではないかという説もあります。噛まずに話す方法を紹介する前に、正しい使い方を確認しておきましょう。

文化庁の「敬語の指針」によると、「相手側又は第三者の許可を受けて行い」「そのことで恩恵を受けるという事実や気持ちのある場合」に使うのであれば、「適切な範囲」とされています。

例えば、「説明させていただきます」は、相手の貴重な時間をいただく「許可を受け」、相手に自社の商品などを説明することで、自分が「恩恵を受ける」ので、適切な範囲だといえます。

一方、「部長を務めさせていただいております」のように自分を紹介するときは、相手の許可を必要としないため、適切な使い方だとはいえないでしょう。

単語を区切ると発音しやすくなる

この「させていただきます」というフレーズは、ビジネスパーソンなら誰でも使う日常的な言葉として定着しています。

相手を立てるような言い回しが柔らかい印象を与えることから、つい使ってしまうのではないでしょうか。

多くの人にとって馴染みのある言葉ですが、噛みやすい言葉でもあります。

なぜなら、日本語の中でも特に発音するのが難しい「サ行」が連続して2回も出てくるからです。

サ行は、舌先と歯茎の間の狭いすき間を息が通り抜けるときに摩擦が生じて出る「摩擦音」で、もともと発音しづらく、続けて発音すると、さらに噛みやすくなります。

「させていただきます」と滑舌よく言えず、「さしぇていただきます」「さしていただきます」などと、とっさにうまくしゃべれないことがあります。この傾向は、年齢を重ね、口や舌の筋力が低下すると、ますます強くなります。

プロのアナウンサーでも難しいとされる「させていただきます」の発音ですが、簡単にはっきり言えるようになる方法があります。

それは、「単語を区切って強く息を吐く」という方法です。

例えば、

「商品について説明させていただきます」
「水曜日にお邪魔させていただきます」
「スケジュールを変更させていただきます」

と一気に話そうとするのではなく、次のように「/」のところで区切って、強く息を吐き直すようにしてみましょう。

「商品について/説明/させて/いただきます」
「水曜日に/お邪魔/させて/いただきます」
「スケジュールを/変更/させて/いただきます」

区切りを入れることで、言葉を一つひとつ大事に発音するようになるため、噛まずに話すことができるようになります。簡単な方法なので、ぜひ取り入れてみてください。

「いい声」になるためのコツ

噛みやすいサ行、ラ行などの音が連続する言葉は短く区切って発音してみよう

PROFILE

秋竹 朋子
秋竹 朋子あきたけ・ともこ
ビジネスボイストレーニングスクール「ビジヴォ」代表。東京音楽大学ピアノ演奏家コース卒業。ビジヴォの代表として、「声」「話し方」に問題を抱えるビジネスパーソンの指導を実施。音楽家・声楽家ならではの聴力と技術を駆使した、日本初「超絶対音感」によるボイストレーニングが話題を呼び、TVほかマスコミ出演も多数。東京を拠点に全国各地で企業研修やセミナーを行う。著書に『1分間声トレ』『ビジネスがうまくいく発声法』など。

記事公開:2023年8月