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実践! ビジネスボイトレ講座


仕事の成果につながる、「いい声」を手に入れる方法を紹介します。

vol.12 あごの使い方がキモになる?
話し方を劇的に改善する方法とは。

「暗い声」や「不明瞭な声」は、あごの使い方だけでも改善できる

今回は、いい声を出すために、あご(顎)を上手に使う方法を紹介します。

ここまでの連載で、通りがよく、魅力的な声を出すには、口やのどの開き方、横隔膜の動かし方などに気を配ることが大切だという話をしてきましたが、あごを上手に使うだけでも、素敵な声が出せるようになります。

まずは、「暗い声」や「不明瞭な声」を、明るく、聞き取りやすい声にする方法です。

商談やプレゼンテーションで、どんなに内容のあるいい話をしたとしても、暗い声や不明瞭な声だったりすると、何となく熱意が感じられず、頼りなく思われてしまうものです。

原因はいくつかありますが、よく見受けるのは「口の周りの筋肉が動いていない」ケースです。中には、上唇が下唇に張り付いているのではないかと思うほど、口が動いていない方も少なくありません。

口が動かないと、どうしても口の開きそのものが小さくなり、口の中にできる空間も狭くなってしまいます。これでは音が響きづらくなるため、いい声は出ません。

しかも、唇を細かく動かしづらいため、言葉も不明瞭になってしまいます。

改善策の1つとして考えられるのは、口角を上げることです。多少無理をしても口角を上げれば、口の開きは大きくなり、はっきりとした声を出しやすくなります。

ところが、口角を上げることを意識しすぎると、口の周りの筋肉がガチガチに緊張してしまい、かえって言葉が不明瞭になってしまうこともあります。

そこでおすすめしたいのが、口角を上げるのではなく、あごの使い方によって口を大きく開く方法です。

下あごを下げるだけで、明瞭な発音で話せる

その方法はいたって簡単です。

「下あごを下げる」。たったこれだけです。

口角を上げるためには、口の周りの筋肉を使わなければなりませんが、下あごを下げるだけなら、ほとんど力は要りません。

口角を上げるには、口を横(より正確には斜め上)に開ける必要がありますが、口は横方向よりも縦方向のほうが開けやすく、かつ、横に上げたときよりも口の中の空間が広くなります。

明瞭な発音で話せるようになるトレーニング方法

話すときに下あごを下げることを少し意識するだけで、息が出しやすくなり、通りのよい、いい声が出せるようになるのです。

大事な商談やプレゼンテーションのときは、下あごを下げることを意識してみてください。

ちなみに、下あごを下げて話すようにすると、長時間話してものどが疲れにくくなるというメリットもあります。

これは、首の側面にある、のど元から耳の後ろにかけて斜めに伸びている「胸鎖乳突筋」(きょうさにゅうとつきん)という筋肉が弛緩して、声が出しやすくなるからです。

鏡を見て、あごの角度をチェックする

長時間にわたって話をしていると、次第にのどが疲れ、声がかすれやすくなります。あごを少し上に向けて話をする人は、特にかすれやすくなるようです。

では、なぜ、あごを上に向けた状態で話すと声がかすれやすくなるのでしょうか。その原因が、胸鎖乳突筋なのです。

この筋肉は、首を曲げたり、回転させたりするためのものですが、あごを上向きにすると緊張し、あごを下に向けたときには緩んだ状態になるという特徴を持っています。

あごを上に向けると、胸鎖乳突筋を中心に首の周りの筋肉が圧迫され、のどが少し締め付けられたような状態になります。この状態で声を出そうとすると、当然、声帯にも負担がかかってしまいます。そうして長い時間話すと、声帯を痛め、声がかすれてしまうのです。

これを解決するには、「あごを少し引いてしゃべる」ことが有効です。

あごを少し引くだけで、首の周りの筋肉がリラックスし、のどが開いた状態になって、無理なく声が出せるようになります。

ただし、あまりあごを引きすぎると、今度はのどが窮屈になってしまいます。つむじ(頭頂部)がまっすぐ上に引っ張られるようなイメージで姿勢を正すと、ちょうどいい具合にあごが少しだけ下に向いた状態になるはずです。

あごが下がった状態で話しているかどうか分からないときは、鏡を見てチェックしましょう。鏡に向かって話したときに、まっすぐ正面を向いているつもりでも、あごの裏が少し見えているようであれば、あごが上がっているサインです。

あごの裏が見えなくなるまで、角度を修正してみてください。きっと、ラクに話せるようになるはずです。

「いい声」になるためのコツ

下あごを下げるだけで、
いい声で話せるようになり
長時間話しても疲れなくなる

PROFILE

秋竹 朋子
秋竹 朋子あきたけ・ともこ
ビジネスボイストレーニングスクール「ビジヴォ」代表。東京音楽大学ピアノ演奏家コース卒業。ビジヴォの代表として、「声」「話し方」に問題を抱えるビジネスパーソンの指導を実施。音楽家・声楽家ならではの聴力と技術を駆使した、日本初「超絶対音感」によるボイストレーニングが話題を呼び、TVほかマスコミ出演も多数。東京を拠点に全国各地で企業研修やセミナーを行う。著書に『1分間声トレ』『ビジネスがうまくいく発声法』など。

記事公開:2023年10月