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実践! ビジネスボイトレ講座


仕事の成果につながる、「いい声」を手に入れる方法を紹介します。

vol.13 決め手は語尾!?
「好印象」をつくるコツとは。

声の質だけでなく、話し方でも印象はガラリと変わる

本連載は、相手に好感を持たれやすい「いい声」や「はっきりした声」になるための講座ですが、印象の良しあしは、声の質や大きさだけでなく、「話し方」によっても大きく変わるものです。

ボイストレーニングで「いい声」を身に付けても、抑揚がなかったり、何となく心がこもっていないような話し方をされたりすると、あまりいい印象は受けません。できれば、損をしがちな話し方は避けたいもの。

そこで今回は、ちょっとしたポイントを意識するだけで相手に好印象を与える話し方のコツを紹介します。

私はビジネスパーソン向けのボイストレーニングを指導しており、数多くの営業職の方々の「営業トーク」を聞かせていただく機会があります。

その中で、残念ながら「この人からは契約したくないな」と思わせる、2つのタイプの営業職の方がいることに気付きました。

1つは、とにかくよくしゃべるタイプです。まるで口から先に生まれてきたように、次から次へと言葉を繰り出すタイプの方は、商品の魅力を説明するのはうまいかもしれませんが、何となく軽薄な印象を相手に与えてしまいます。

もう1つは、話し方に覇気がなく、何となく弱々しい印象を受けるタイプです。相手に遠慮しているのかもしれませんが、話を聞く側からすると、「この人に任せていいんだろうか?」と不安を感じてしまいます。

では、どのようなタイプの人なら、「契約してみたい」と感じるでしょうか?

それは、営業職である自分が話すよりも、顧客である私たちの話をよく聞いてくれる人ではないでしょうか。

「聞き上手になることが大切」というのは、数多の営業の教科書に書かれている基本セオリーです。ボイストレーニングで「いい声」を身に付けると、つい自分が話したくなるのはよく分かりますが、その基本を忘れて自分だけが話し続けると、せっかく「いい声」で与えた好印象も台無しになってしまいかねません。

リフレクティングで相手の言葉に共感を示す

では、どうすれば聞き上手になり、相手の話を引き出すことができるのでしょうか?

大切なのは相手の話を聞く姿勢です。そこでおすすめしたいテクニックの1つが、「リフレクティング」。相手の言葉をそのまま「オウム返し」する話し方です。

例えば、こんなふうに会話をやり取りします。

相手「一度ボイストレーニングを受けてみたいと思ってスクールに来ました。若いころから、ずっと声に悩んでいました」
自分「ずっと悩んでいたのですね。具体的には、どんなところに悩みを感じていたのですか」
相手「声が小さいせいか、人から聞き返されることが多いのです」
自分「聞き返されることが多いのですか。それは悩みますよね」

ただ単に相手の言葉を繰り返しているようにも受け取れますが、会話をスムーズに進めることができ、相手は「自分の話を理解し、気持ちに共感してくれている」と感じるはずです。リフレクティングを使って相手の話をじっくりと聞く姿勢を示すことで、少しずつ信頼関係が築かれ、相手の話を自然に引き出すことができるようになるでしょう。単純なように見えて、これが意外と効果があるのです。

リフレクティングをする際のポイントは、「~ですね」「~ですか」の語尾を上げることです。「聞き返されることが多いのですか(→)」と抑揚のないフラットな話し方だと、冷たい印象になってしまいますが、「聞き返されることが多いのですか(⤴)」と語尾を上げると、より親身になっている印象を与えることができます。

リフレクティングで共感を示すトレーニング方法

サービス業の方にも語尾を上げる話し方がおすすめ

語尾を上げる話し方は、相手の話を引き出すためにリフレクションをするときだけでなく、ショップや飲食店、コールセンターなど、サービス業で働く方々がお客さまに好印象を与えるのにも効果的です。

接客を受ける際に、

「3名さまでよろしいでしょうか(→)」
「ご注文は以上でおそろいですか(→)」
「少々お待ちいただけますか(→)」

といった抑揚のない言葉で問い掛けられると、何となく気だるそうな印象や、丁寧な言葉遣いなのに愛想のよくない印象を受けるものです。

「よろしいですか(⤴)」
「おそろいですか(⤴)」
「いただけますか(⤴)」

と、軽く語尾を上げると、相手に物事を尋ねる気持ちがより伝わって、好感を持たれやすくなります。

ただし、語尾の上げ方が強すぎると、軽い印象を与えてしまうことがあるので要注意です。また、語尾を上げるべきところでフラットに強く言ってしまうと、きつい印象になってしまうので気を付けましょう。

言葉にちょっとした抑揚を付けるだけで、相手の印象は大きく変わるもの。普段話しているときにも、抑揚がフラットになっていないかどうか気を付けながらしゃべってみてください。

「いい声」になるためのコツ

相手の言葉をオウム返しして
語尾を少し上げる
これだけで好印象に

PROFILE

秋竹 朋子
秋竹 朋子あきたけ・ともこ
ビジネスボイストレーニングスクール「ビジヴォ」代表。東京音楽大学ピアノ演奏家コース卒業。ビジヴォの代表として、「声」「話し方」に問題を抱えるビジネスパーソンの指導を実施。音楽家・声楽家ならではの聴力と技術を駆使した、日本初「超絶対音感」によるボイストレーニングが話題を呼び、TVほかマスコミ出演も多数。東京を拠点に全国各地で企業研修やセミナーを行う。著書に『1分間声トレ』『ビジネスがうまくいく発声法』など。

記事公開:2023年12月