声の質だけでなく、話し方でも印象はガラリと変わる
本連載は、相手に好感を持たれやすい「いい声」や「はっきりした声」になるための講座ですが、印象の良しあしは、声の質や大きさだけでなく、「話し方」によっても大きく変わるものです。
ボイストレーニングで「いい声」を身に付けても、抑揚がなかったり、何となく心がこもっていないような話し方をされたりすると、あまりいい印象は受けません。できれば、損をしがちな話し方は避けたいもの。
そこで今回は、ちょっとしたポイントを意識するだけで相手に好印象を与える話し方のコツを紹介します。
私はビジネスパーソン向けのボイストレーニングを指導しており、数多くの営業職の方々の「営業トーク」を聞かせていただく機会があります。
その中で、残念ながら「この人からは契約したくないな」と思わせる、2つのタイプの営業職の方がいることに気付きました。
1つは、とにかくよくしゃべるタイプです。まるで口から先に生まれてきたように、次から次へと言葉を繰り出すタイプの方は、商品の魅力を説明するのはうまいかもしれませんが、何となく軽薄な印象を相手に与えてしまいます。
もう1つは、話し方に覇気がなく、何となく弱々しい印象を受けるタイプです。相手に遠慮しているのかもしれませんが、話を聞く側からすると、「この人に任せていいんだろうか?」と不安を感じてしまいます。
では、どのようなタイプの人なら、「契約してみたい」と感じるでしょうか?
それは、営業職である自分が話すよりも、顧客である私たちの話をよく聞いてくれる人ではないでしょうか。
「聞き上手になることが大切」というのは、数多の営業の教科書に書かれている基本セオリーです。ボイストレーニングで「いい声」を身に付けると、つい自分が話したくなるのはよく分かりますが、その基本を忘れて自分だけが話し続けると、せっかく「いい声」で与えた好印象も台無しになってしまいかねません。