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実践! ビジネスボイトレ講座


仕事の成果につながる、「いい声」を手に入れる方法を紹介します。

vol.14 脱・ダラダラスピーチ! その1
「息」と「顔」を使いこなす。

ボイトレの成果を引き上げる伝わる話し方とは?

今回と次回は、「脱・ダラダラスピーチ!」と題し、スピーチやプレゼンでの話し方にメリハリを利かせる方法を紹介します。

抑揚のない話し方でダラダラとスピーチをすると、話の内容自体は面白そうなのに、「何となく頭に入ってこない」と聞き手に思われてしまうものです。たどたどしい話し方や、耳障りな「つなぎ言葉」の多い話し方も、相手が話に耳を傾けようとする集中力を奪ってしまいます。

また、表情を出さずに話をすることもありますが、無表情だと話している内容が伝わりづらくなってしまいます。

ボイストレーニングでどんなに「いい声」を身に付けて、相手に話を聞いてもらおうと思っても、これでは台無しです。

そこで、ダラダラスピーチを卒業するための「息」と「顔」のちょっとした使い方のコツを解説します。重要なのは話の内容を相手に伝えること。こうしたコツも取り入れて、ボイストレーニングの成果を存分に発揮しましょう。

鼻から軽く息を吸ってから次の言葉を話し始める

まずは「息」の使い方です。

スピーチやプレゼンの際、無意識のうちに「えー」とか「あー」といった「つなぎ言葉」を発してしまうことはありませんか?

あまり人前で話すことに慣れていないと、緊張感から、口に出してしまうことが多いようです。

少しくらいであれば自然なことですが、あまりにも連続して出てくるようだと、「自信がないのかな?」「迷っているのか?」と聞き手が感じてしまったり、間延びして聞き取りづらかったりと、気になって話の内容が伝わりにくくなってしまいます。

そんな耳障りな「つなぎ言葉」も、「息」の仕方にちょっと工夫をすれば、自然と回数を減らすことができます。

その方法とは、1つのフレーズを言い切ったら、必ず「鼻から軽く息を吸う」こと。

フレーズとフレーズの間で鼻から息を吸えば、息が続いてよどみなく話せるようになります。しかも、ちょっと間が空くので頭の中が整理され、「つなぎ言葉」を発しなくても話が続けられるようになるわけです。

例として、次の文を「鼻から息を吸う」を意識して読んでみてください。

「(息を吸う)本日はこのような流れで、お話を進めていきたいと思います」
「(息を吸う)目的や企画内容に合わせて、気になるところはメモしてください」
「(息を吸う)それでは本題に入ります」

どうでしょう? 「えー」「あー」を挟むことなく、スムーズに読むことができたのではありませんか?

ちょっとしたことですが、相手の受ける印象は変わるもの。「えー」「あー」が減るだけで、聞き手も話に集中しやすくなり、あなたの言葉が伝わりやすくなるはずです。

抑揚をつけるには「顔」の使い方も大切

話の内容を相手にきちんと伝える土台となるのは声ですが、表情も重要な要素の1つです。スピーチやプレゼンの聞き手は、あなたの言葉だけでなく話している表情まで観察し、情報を読み取ろうとします。

無表情で商品やサービスの説明をするよりも、話す内容や話の流れに応じて表情に変化を付けたほうが、相手の共感を得やすいのは言うまでもありません。声に顔の表情を加えることで、より伝わりやすくなります。

表情を変えながら話すことも、スピーチにメリハリを利かせる重要なポイントなのです。

例えば、次のようなイメージです。

  • 大事なところでは眉をクッと上げて、大きな声で話す。
  • 楽しい内容を話すときには、楽しそうな笑顔を見せる。
  • 厳しいことを話すときには、険しい顔をする。

一般的に日本人は、無表情でスピーチやプレゼンをする傾向があるのですが、このように状況に合わせて表情を付ければ、聞き手は話の内容にもっと引きつけられ、説得力が増し、伝わりやすくなるはずです。

表情を効果的に使って話すトレーニング方法

さらに、表情をつくると、声の出方も変わってきます。

眉を上げたり、頬を上げたりすると、顔の中に空間が生まれ、声が響きやすくなるからです。つまり、話をするときに表情が乏しいままだと、顔の筋肉があまり動かないため、いい声も出にくくなるということです。せっかくのボイトレの成果が、十分に出ないということにもなりかねません。

試しに、無表情のままで「こんにちは」と声を出してください。

次に、眉を上げて「こんにちは」と声を出してください。

どうでしょう? 同じ言葉でも、少し音質が変わったことに気づくのではないでしょうか?

表情を変えながら話す方法は、スピーチやプレゼンだけでなく、1対1の商談でも有効です。大事な場面では眉を上げて、「この商品はおすすめです!」と言ってみてください。きっと熱意が伝わるはずですよ。

ちょっとしたことですが、話し方にメリハリがついて伝わりやすくなるので、ぜひ試してみてください。

「いい声」になるためのコツ

「息」を使って耳障りな
「つなぎ言葉」をなくし、
「顔」を使って表情にも
抑揚をつける

PROFILE

秋竹 朋子
秋竹 朋子あきたけ・ともこ
ビジネスボイストレーニングスクール「ビジヴォ」代表。東京音楽大学ピアノ演奏家コース卒業。ビジヴォの代表として、「声」「話し方」に問題を抱えるビジネスパーソンの指導を実施。音楽家・声楽家ならではの聴力と技術を駆使した、日本初「超絶対音感」によるボイストレーニングが話題を呼び、TVほかマスコミ出演も多数。東京を拠点に全国各地で企業研修やセミナーを行う。著書に『1分間声トレ』『ビジネスがうまくいく発声法』など。

記事公開:2024年2月