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実践! ビジネスボイトレ講座


仕事の成果につながる、「いい声」を手に入れる方法を紹介します。

vol.03 リモートでの朝イチのプレゼンも心配なし!
聞き取りやすい声を出すトレーニングとは?

声を出すのにも準備運動が欠かせない

1日の仕事の始まりを「朝会」でスタートする会社は、リモートワークが普及した今でも、意外と少なくないようです。直接顔を合わせる機会が減ったからこそ、なおさら朝ぐらいは“画面越し”に顔を合わせ、仕事の進捗状況を確認するだけでなく、部門としての連帯感を高めたいと考えるからでしょう。

「朝会」といえば、“進行役”がハキハキとした元気な声で「おはようございます!」と第一声を発し、場の雰囲気を整えるのがよくある光景です。まだ、頭も体も十分に働いていない時間帯なのに、「よくそんなに元気な声が出せるなぁ」と感心することもあるでしょう。

その半面、自分に“進行役”が回ってきたときに、「あんな元気な声が出せるだろうか?」と思う人もいるに違いありません。

特にリモート朝会の場合、寝起きからさほど時間がたっていない状態で参加することもあるので、通勤してから参加するリアル朝会のように、声を出す準備が整っていないことが多いものです。

どうしてもかすれた声や小声になってしまい、ただでさえ聞き取りにくくなりがちなリモートによる音声が、ますます聞き取りにくくなってしまいます。

それでも、朝会なら何とか「ご愛嬌」で済ませることができますが、大事なお客さまへの営業やプレゼンテーションで、かすれた声や小声を出してしまうのは望ましくありません。

これもリモートワークが普及した影響か、最近では朝の9時、10時といった早い時間帯にリモートでプレゼンテーションしてほしいというリクエストが増えているようです。通勤時間がなくなった分、お客さまのビジネスのスタート時間も前倒しになっているのです。

元気やツヤのない声で、聞き取りにくいマイク越しのプレゼンテーションを行っても、伝えたい思いはなかなか伝わりません。たとえ朝イチでも、相手に伝わりやすい、はっきりとした声が出せるように準備をしたいものです。

朝イチで声が出ないのは、声を出す準備ができていないからです。スポーツをする前に準備運動やストレッチが欠かせないように、声を出す前にも、しっかりと準備運動をしておくことが大切です。

そもそも声は、横隔膜や声帯、鼻、口、舌、唇など複数の器官が連動することによって発せられます。中でも声帯は、肺から出た空気を振動させることで、声の「もと」となる音をつくる重要な器官です。

声帯は筋肉の一種なので、きちんと使っておかないと、いざというときに十分に振動せず、相手に「聞き取りやすい」声が届きません。毎朝起きたら、声帯をきちんと動かすための簡単なトレーニングを行ってみましょう。

高い声と低い声を出しやすくするために、声帯をストレッチ!?

毎朝簡単にできる声帯トレーニングとして、ぜひ試していただきたいのが名付けて「消防車サイレン」です。

消防車のサイレンは、低い「う―――」から始まって、高い「う―――」になり、また低い「う―――」になるというパターンを繰り返します。この「う」を「あ」に置き換えて、

(1)「あ―――――――――」(低い声から始めて高い声まで5秒)
(2)「あ―――――――――」(高い声からもとの低い声に戻すまで5秒)

この(1)(2)を3セット繰り返します。

高い声のところでは、声が裏返らないように注意してください。また、本物のサイレンは低い→高い→低いという一連の流れで途切れずに音が鳴っていますが、声のトレーニングでは息を続けるのが難しいので、途中で息継ぎしても構いません。

高い声と低い声を出しやすくするトレーニング方法

トレーニングの最中にのどを触ってみると、高い声を出すときと低い声を出すときでは、働いている筋肉や振動している箇所が違っていることが分かるはずです。高い声と低い声では声帯の中で使う場所が異なるからです。

この「消防車サイレン」のトレーニングをすることで、声帯がストレッチされ、高い声と低い声がきちんと出るようになります。

毎朝の「あ―あっ」で、相手を引き込む魅力的な話し方に

もう1つ、ぜひ毎朝試していただきたいのが、声に「抑揚」を付けるトレーニングです。

抑揚とは、話す言葉に強弱を付けたり、声の高さを変えたり、スピードを変化させたりすることです。話すときに抑揚を付けると、相手を引き込むような魅力のある話し方ができます。営業やプレゼンを行ったときの相手の印象も大きく変わることでしょう。

さまざまな高さや強さの声を出すには、声帯のいろいろな部分を動かせるようにトレーニングするのが有効です。次のような方法を試してみてください。

(1)胸の前で両方の手のひらを合わせて、左右の手を互いに少し押す。
(2)「あ―あっ、あ―あっ、あ―あっ、あ―あっ、あ―あっ」と、同じ音で5秒かけて声を出す。
(3)「あ―あっ」×5回を1セットとして、普通の声、低い声、高い声でそれぞれ1セット×2回ずつ行う。

大切なのは、後半の「あっ」を切れよく発声することです。このときに声帯がグッと締まりながら振動するので、声帯が鍛えられます。また、このポーズは肩の周りに力が入りにくくなるので、リラックスしておなかから声を出すことができます。

抑揚を付けやすくするトレーニング方法

年齢とともに声帯の筋肉も老化すると言われています。声帯が老化すると筋肉が収縮しにくくなり、きちんと締まらなくなって、高い声が出にくくなったり、声がかすれたりするものです。いつまでも若々しい声でいるためにも、普段から声帯をなるべく使うようにしましょう。どちらのトレーニングもすぐにできる簡単なものなので、ぜひ毎朝行ってみてください。

「いい声」になるためのコツ

毎朝、声帯をトレーニングすれば
声が出しやすくなるだけでなく
若々しい声が保てる!

PROFILE

秋竹 朋子
秋竹 朋子あきたけ・ともこ
ビジネスボイストレーニングスクール「ビジヴォ」代表。東京音楽大学ピアノ演奏家コース卒業。ビジヴォの代表として、「声」「話し方」に問題を抱えるビジネスパーソンの指導を実施。音楽家・声楽家ならではの聴力と技術を駆使した、日本初「超絶対音感」によるボイストレーニングが話題を呼び、TVほかマスコミ出演も多数。東京を拠点に全国各地で企業研修やセミナーを行う。著書に『1分間声トレ』『ビジネスがうまくいく発声法』など。

記事公開:2022年8月