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実践! ビジネスボイトレ講座


仕事の成果につながる、「いい声」を手に入れる方法を紹介します。

vol.07 滑舌が悪くて言いたいことが伝わらない?
解消方法はコレ!

「あっかんべぇ」で舌や口の周りをストレッチ

聞き取りやすい声とそうでない声との違いは、「大きさ」ばかりではありません。どんなに大きな声でも、言葉に詰まったり、滑らかに言葉が出なかったりすると、音がぶつ切れになって聞き取りにくくなってしまいます。

商談や営業など、大事なビジネスシーンでは、相手に話をしっかり聞いてもらえるように、なるべくよどみなく流暢に話をしたいものです。しかし緊張のあまり、うっかり言葉を噛んでしまうのはよくあること。多少噛んだからといって、相手はさほど気にしないので普通にしていればいいのですが、なかには気にして焦ってしまう方もいるでしょう。

結果、ますます緊張して、早口になり、普段なら問題なく話せる言葉まで噛んでしまうという悪循環に陥ってしまいがちです。

言葉を噛んでしまうのは、口や舌がうまく動いていないことが原因です。緊張のあまり、知らず知らずのうちに口や舌を動かす筋肉が硬くなり、自分の思い通りに動かなくなってしまいます。

硬くなった体をほぐすのにストレッチが有効であるように、緊張でこわばった口や舌を柔らかくするのにもストレッチが効果的です。

簡単で効果てきめんなストレッチ方法を紹介しましょう。

その前にまず、何も意識せずに「らりるれろ」と言ってみてください。
どうでしょう。「かなり難しい」と感じる方も多いのではないでしょうか。

ラ行は、舌を細かく動かすので、連続して発声するのが難しいのです。言い換えると、ラ行をはっきりと発音できるようになれば、滑舌よく話せるようになるでしょう。

さて、ラ行の難しさを感じたところで、次のようなトレーニングをしてみてください。

  • 「あっかんべぇ~~~~~」と思いっきり舌を出し、下方向に2秒かけて伸ばす。
    (声を出す必要はありません)

たったこれだけです。これを5回繰り返してみてください。

舌の動きが滑らかになるトレーニング方法

トレーニングが終わったら、もう一度「らりるれろ」と言ってみましょう。

どうですか。先ほどよりも簡単に、しかもはっきりと発声できたのではないでしょうか。

これは、ストレッチで伸ばした舌や口の周りが柔らかくなったからです。

言葉を噛みやすい人は、商談や会議の前に“準備運動”のつもりでこのストレッチを試してみましょう。

ちょっとしたことですが、効果を感じやすい方法なので、言葉を噛んでしまい、さらに緊張してしまうという悪循環からも逃れるきっかけになるかもしれません。

「生まれつきだから」と諦めない。滑舌をよくするには?

ところで、緊張で言葉が詰まったり、噛んでしまったりするという以前に、「そもそも生まれつき滑舌が悪く、はっきりと話せない」という方もいらっしゃいます。

滑舌のよしあしに「生まれつき」ということは滅多にありませんが、他の人と比べて舌の動きが遅いことが、言葉の滑らかさを損なわせているのかもしれません。

滑舌のよさは舌の位置で決まるため、舌の筋肉の動きが鈍かったり、弱かったりすると、発音がクリアに聞こえないのです。

もともと日本語は、英語などに比べると音の数が少ない言語で、舌の動きも少ないため、動きが遅くなってしまいがちです。

また、歯並びや歯の嚙み合わせが乱れていたり、年齢とともに舌や口の周りの筋肉が硬くなったりすると、滑舌に影響してしまいます。

しかし、トレーニングを行えば、滑舌の悪さも改善することができるでしょう。「生まれつきだから……」と諦めないで、今日からでもトレーニングを始めてみてください。

「カエルの鳴きまね」で滑らかな舌を手に入れる

滑舌の悪さの原因が分かったところで、舌の動きを滑らかにする「カエルの鳴きまね」トレーニングをご紹介しましょう。こちらもとても簡単で、発声するだけで舌が鍛えられます。

  • カエルの鳴き声をまねて、「ケロケロケロケロ ケロケロカエル」と2秒かけて発声し、5回繰り返す。

このトレーニングのポイントは、カ行の「ケ」と、ラ行の「ロ」を交互に何度も発音することです。

ラ行を発音するとき、口の中で舌先は前の方にありますが、反対にカ行を発音するとき、舌は奥の方に引っ込みます。

つまり、「ケロケロケロ……」と発音すると、舌を素早く前後させることになりますが、これが舌の動きを滑らかにする絶好のトレーニングなのです。

最初はつかえたり、うまく発音できなかったりするかもしれません。難しいようなら少しゆっくりと、「ケロ、ケロ、ケロ、ケロ」と区切りながら発声してみてください(「ケ」にアクセントを置く)。ただ、あまりにもゆっくり発声すると、トレーニングの意味がなくなるので注意が必要です。

慣れてきたら少しずつテンポを上げ、普通に話すスピードで発音できるようになるまで練習しましょう。

これができるようになると、美しい滑舌を手に入れられるはずです。

「いい声」になるためのコツ

「あっかんべぇ」で
舌や口の周りを柔らかくし、
「ケロケロケロケロ」で
舌の動きを滑らかにする

PROFILE

秋竹 朋子
秋竹 朋子あきたけ・ともこ
ビジネスボイストレーニングスクール「ビジヴォ」代表。東京音楽大学ピアノ演奏家コース卒業。ビジヴォの代表として、「声」「話し方」に問題を抱えるビジネスパーソンの指導を実施。音楽家・声楽家ならではの聴力と技術を駆使した、日本初「超絶対音感」によるボイストレーニングが話題を呼び、TVほかマスコミ出演も多数。東京を拠点に全国各地で企業研修やセミナーを行う。著書に『1分間声トレ』『ビジネスがうまくいく発声法』など。

記事公開:2023年2月