本コンテンツは、お客さまがご利用のOSまたはブラウザーへ対応しておりません。
最新のOS、ブラウザーにアップデートしてください。

実践! ビジネスボイトレ講座


仕事の成果につながる、「いい声」を手に入れる方法を紹介します。

vol.08 相手に与える印象を声で変える!
落ち着いた声、明るい声のつくり方。

声の魅力は印象に大きく影響する

今から10年以上前になりますが、『人は見た目が9割』という本がベストセラーになったことをご記憶の方も多いのではないでしょうか。

この本によると、人間が伝達する情報の中で、話す言葉の内容そのものが占める比率はわずか7%に過ぎず、残りの9割以上は、顔つきやしぐさ、目つき、匂い、色、温度、距離といった言葉以外の情報であるという心理学の研究結果が出ているのだそうです。

この研究結果を知らなくても、話す内容だけでなく、見た目の雰囲気や発する声が、相手に与える印象に大きく影響することを多くの人は経験的に感じていることでしょう。

特にビジネスの場面では、声の高さやトーンが、その人の印象を大きく決定付けることも少なくありません。高い声を出す人よりも、低い声を発する人の方が、「落ち着いている」とか「しっかりしている」という印象を相手に与えることが多いようです。

しかし、地声が高めの方の場合、低い声は、急に出そうと思っても、なかなかうまく出せるものではありません。無理に低音を出そうとすると、のどが締まり、声がつぶれてしまいます。

営業やプレゼンでお客さまに好印象を与えるために、魅力的な低音ボイスを無理なく、自然に出せるようにしたいもの。そこで、普段から低音を出しやすくするトレーニングをしておきましょう。

落ち着きのある低音が出せる! 「ムンクの叫び」トレーニング

低音がうまく出せない方や地声が高い方でも、低い声を出せるようになるトレーニング方法が、「ムンクの叫び」です。

あの有名な絵画、「ムンクの『叫び』」のポーズを取り入れたもので、具体的には以下のように行います。

  1. 肩幅程度に広げた両手を上に挙げ、腹式呼吸で出せる一番高い声で、「あ~~~」と発声する。
  2. 手のひらが顔の横を通過するように肘を曲げ、両手をゆっくりと下ろす。「あ~~~」の声もなだらかに高音から低音へと下げていく。
  3. 途中で「ムンクの叫び」ポーズを通過して、最後は両手を胸の前に持っていく。このときに、「あ~~~」という発声が、自分が出せる最も低い声になるようにする。
    (1から3までを5秒かけて、2回繰り返す)
低音を出せるようになるトレーニング方法

つまり、ずっと「あ~~~」と声を出しながら、上に挙げた両手を胸まで下ろしていき、その動作とともに音程をゆるやかに下げていくということです。ちなみに、「あ」で発声する理由は、母音の中で最も口が開いて声が出しやすいからです。

このトレーニングを行うときは、低い声を胸に響かせるように意識してみましょう。体のどこに声が響いているかを意識することで、高さをコントロールしやすくなり、魅力的な低音ボイスをつくることができます。

また、音程を下げていくときは、吐く息の量が少なくなっていることも確認しましょう。声量を出しすぎると低音は出しづらくなるため、息を少なめに吐き出すことがポイントです。このトレーニングで、息をふわっと吐きながら、自然に低音を出す感覚を身につけることができるでしょう。

「にっ!」と笑うだけで明るい印象の声が生まれる

普段、会話するときは低音ボイスで話した方が魅力的に聞こえますが、初対面で明るさや快活さを感じさせたいときには、いつもより少し声のトーンを上げて話してみましょう。

話し始めの声を明るくする方法はとても簡単です。

  • 話す前に、まず「にっ!」と笑うこと。

たったこれだけ。一瞬で終わります。

「にっ!」と笑うことで、口角が上がり、口の開きがよくなり、明るい印象の声を出せるようになります。

また、笑顔になることで頬骨が上がり、口の中に空間が生まれます。空間ができると、音が共鳴しやすくなるため、声の通りもよくなります。

もちろん、笑顔をつくれば声だけでなく表情も豊かになり、見た目でも相手にいい印象を与えることができます。反対に、笑顔ができていないと声がこもったり、ネガティブな印象を与えてしまったりするかもしれません。

簡単で、いいことずくめの方法なので、新規営業や名刺交換、オンラインの商談のときなど、人と会うときはこのことを思い出して、ぜひ試してみてください。

「いい声」になるためのコツ

「ムンクの叫び」で低音を出す
トレーニングを
明るい印象の声にするには、
話す前に「にっ!」と笑う

PROFILE

秋竹 朋子
秋竹 朋子あきたけ・ともこ
ビジネスボイストレーニングスクール「ビジヴォ」代表。東京音楽大学ピアノ演奏家コース卒業。ビジヴォの代表として、「声」「話し方」に問題を抱えるビジネスパーソンの指導を実施。音楽家・声楽家ならではの聴力と技術を駆使した、日本初「超絶対音感」によるボイストレーニングが話題を呼び、TVほかマスコミ出演も多数。東京を拠点に全国各地で企業研修やセミナーを行う。著書に『1分間声トレ』『ビジネスがうまくいく発声法』など。

記事公開:2023年4月