最近、よく耳にする「見える化」という言葉。
生産性や経営効率を向上する手法として注目されているキーワードです。
さまざまなものを「見える化」するトレンドに先行して、
富士フイルムが40年以上も前に「見える化」したものがあります。
それは、圧力という目に見えないチカラ。
圧力の強さを色に変えることで、モノづくりの現場に貢献している
魔法のフィルムをご紹介しましょう。
What's this?
見えない圧力を
色で「見える化」。
魔法のフィルムの種明かし!
誰でも簡単に圧力が測れる、
世界で唯一の圧力測定フィルム。
目に見えない圧力を「見える化」できる魔法のフィルムの名はプレスケール。圧力の大きさと分布を目視で測れる、世界で唯一のフィルムです。一見、何の変哲もない白いシートですが、加圧されると赤く発色し、色の濃さで圧力を確認することができます。富士フイルムが1977年に自動車メーカーのニーズに応えて開発して以来、40年にわたってさまざまな製品の検査および品質管理工程で使用されてきました。プレスケールは、自動車やバイク、建機、航空機から家電、電子機器まで、あらゆる日本の工業製品の品質と生産性の向上に重要な役割を果たしてきたのです。
■ 「プレスケール」に関する詳しい情報はこちら
コア技術の融合から生まれた
圧力を可視化する魔法。
「見えないものを見たい」という根源的な欲求を満たすために、先人たちは長い歴史の中で努力を重ね、さまざまな技術を発達させてきました。顕微鏡やレントゲンも、そうした欲求の産物にほかなりません。そして、圧力を「見える化」したいという欲求から生まれた魔法のフィルムこそ、プレスケールなのです。
それでは、圧力を「見える化」する魔法の種明かしをしましょう。まず、フィルムに顕色剤とマイクロカプセル化した発色剤を塗布します。このフィルムにあらかじめ設定された圧力がかかると、マイクロカプセルが破壊され、中に入っていた発色剤が顕色剤層に吸着して反応して赤くなるのです。赤い色の濃さやムラから、圧力が均一にかかっているか一目で確認できるというわけです。「なんだ、そんな単純なことか」と思うかもしれませんが、そこには富士フイルムが写真フィルムの製造で蓄積してきたコア技術が結集されています。
薄いフィルムの上に、数ミクロンから数十ミクロンの微細なマイクロカプセルや顕色剤をムラなく均一にコーティングするためには、高度な塗布技術を必要とします。写真フィルムの製造で培い、進化を遂げてきたコーティング技術がなければ、これほど精度の高い測定を可能にするフィルムは作れなかったでしょう。
プレスケールには、圧力領域に応じて、微圧から中圧までを測るツーシートタイプと、中圧から高圧までを測るモノシートタイプの計7種類8タイプがあります。さらに、発色したシートを専用の圧力画像解析システムで分析すれば、詳細な分析とデータの共有が可能になります。見えない圧力を「見える化」する仕掛け、おわかりいただけましたか?
■ 発色のしくみ(モノシートタイプ)
熱も紫外線も「見える化」する
プレスケールの兄弟たち。
世界で唯一の圧力測定フィルムであるプレスケールは、さまざまなモノ作りの現場で利用されています。例えば、自動車の製造工程。エンジンやブレーキなどの工程では、均一に圧力をかけることが求められますが、圧力を「見える化」できるプレスケールなら簡単にチェックが可能。不良品などの発生を最小限に抑えられ、その結果コストダウンや製品の信頼性に大きく貢献できるのです。今後は、ほんの少し触れただけでも感知できるような更に低圧用の製品を開発して、用途を拡大していきます。
富士フイルムが「見える化」したのは、圧力だけではありません。熱を「見える化」するサーモスケールは、温度の高さによって発色する色が変わるフィルム。食品包装のヒートシールやプリンタの熱定着ロールの検査に利用されています。さらに、紫外線を「見える化」するUVスケールは、紫外線で樹脂を硬化する生産工程や殺菌工程などのチェックで活躍しています。
「点」ではなく、「面」で計測できるというメリットを生かして、さまざまな産業分野で活用されている魔法のフィルムたち。これからも、その優れた機能でモノ作りの現場を支え、工業製品の品質向上に貢献していきます。
■ 「サーモスケール」に関する詳しい情報はこちら
■ 「UVスケール」に関する詳しい情報はこちら
記事公開:2017年2月
情報は公開時点のものです