喉を潤す一杯や、ビジネスにもプライベートにも欠かせないスマートデバイス。
その品質を支えているのが、富士フイルムのミクロフィルターです。
必要なものを通し、不要なものは取り除くミクロフィルターが、いま、飲料や半導体、
ディスプレイなどのモノづくり分野で活躍しています。今回は、規定サイズ以上の
微粒子を確実に捕捉するフィルター「AstroPore」をご紹介します。
What's this?
ろ過のスペシャリスト!
品質を守る鉄壁の守護神の正体とは。
飲料分野はもちろん、工業用途でも。
幅広く活躍するミクロフィルター
ミクロフィルターとは、その名の通りμm(マイクロメートル)レベルの微細な物質をろ過するためのフィルターです。富士フイルムの「AstroPore」は1969年から発売され、現在では、ビールやミネラルウォーターをはじめとする各種飲料、また半導体やディスプレイ製造、ライフサイエンスなど、様々な分野で利用されています。
例えば、生ビールでは酵母や不純物を取り除くために活躍。ビール本来の風味や香りなどを長期間保つことを可能にし、“生の美味しさ”の提供に一役買っています。また、日本酒やワインでは、火落ち菌と呼ばれる雑菌を取り除くことで、品質保持に貢献。さらに、ミネラルウォーターの製造では、不純物を除去しつつ、必要なミネラル分を残す重要な役割を果たしています。乳製品の製造では、牛乳を貯蔵するタンク内の空気をきれいにするためにも利用されています。
一方、半導体やディスプレイ製造の分野でもミクロフィルターは重要な役割を担っています。シリコンウエハ上に微細な回路パターンを形成する半導体製造の前工程では、微細なゴミ一つが命取り。多岐にわたるプロセスごとに不純物を除去した高純度の超純水による洗浄が必要になります。また、医療分野では、内視鏡などの医療機器をきれいにする洗浄水の精製に使用されています。さらに医療用クリーンルームの空気清浄用途や、製薬の除菌用途での使用も広がっています。
富士フイルムならではの非対称構造膜で
「ロングライフ」「高流量」「高捕捉性」を実現
ミクロフィルターの最大の特長は、独自の「非対称構造膜」にあります。一般的な「対称構造膜」のフィルターの場合、液体の入口から出口まで孔径サイズの分布が、多分散的で変わりません。このため入口付近に多くの異物が溜まって目詰まりしがちです。これに対して富士フイルムの非対称構造膜は、入口から出口に向かって孔が徐々に小さくなっていきます。大きな異物は入口付近の大きな孔で、より小さな異物は出口側付近の小さな孔で捕捉されます。異物が分散され目詰まりを起こしにくい構造のため長く使用可能で(ロングライフ)、交換頻度が少なくなることからコスト削減に貢献します。また、高流量も実現できることから、生産性の向上にも貢献します。
富士フイルムの非対称構造膜のもう一つの利点は、孔径を正確にコントロールしていることです。このため公称孔径以上の物質を確実に捕捉する高い捕捉精度を実現し、品質向上に寄与しています。製品としては孔径0.02μm~1.2μmをラインアップし、お客さまのニーズにかなうフィルターを提供しています。
こうした強みにより、実際にお客さまからは、「フィルター交換の頻度が減り、製造ラインの稼働効率が向上した」「トラブルが減り、製品の安定供給が可能になった」などの声をいただいています。
■ ミクロフィルターとは?
お客さまのお困りごとに寄り添う
手厚いサポート体制
富士フイルムは製品の品質向上だけでなく、お客さまのサポートも行っています。例えば、ろ過現場での立ち合いや、使用後のフィルターの目詰まりなどの原因分析を行うことで、技術的なアドバイスやサポートを提供しています。
ミクロフィルターは、最終製品の品質に直接関わる重要な役割を担っています。だからこそ製品選定から採用後の問題解決に至るまで、富士フイルムはお客さまに寄り添ったトータルサポートを心がけています。お客さまの製品切り替えの検討段階から本当の困りごとは何かを丁寧に聞き取り、技術的な観点からきめ細かく対応しています。今後も富士フイルムは、革新的な技術と手厚いサポート体制で、お客さまのビジネスを支えていきます。
【取材協力/富士フイルム株式会社 アドバンストファンクショナルマテリアルズ事業部】
記事公開:2024年7月
情報は公開時点のものです