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What's this?

選ばれしモノだけ通す、
最後の番人、登場。

モノづくりに欠かせない商品や技術を多岐にわたって生み出してきた富士フイルム。
液体や気体中の不要な成分を取り除く「濾過技術」も、半世紀近くにわたって
受け継がれている技術の一つです。
今回のWhat's this?では規定サイズ以上の微粒子を確実に捕捉できる、
「鉄壁」の濾過フィルム、ミクロフィルターの秘密に迫ります。

40年以上の超ロングセラーは、
写真フィルムで培った製膜技術から。

富士フイルムと「濾過技術」。ちょっと縁遠いと感じるかもしれませんが、その研究は半世紀ほど前までさかのぼります。写真フィルムの技術を基に、フィルムにミクロレベルの孔を開けるという発想、素材の面から最適化してより良いものにするという発想を加えて、試行錯誤して完成させたのが、無数のミクロな孔を持つミクロフィルター「AstroPore」です。1969年の発売以来、改良を加えながら、実に40年以上にわたって製造され続けている超ロングセラー商品。その優れた品質で多くのお客さまから高い評価を受け、今日に至るまで、富士フイルムの成長をしっかりと支え続けてきたのです。

薄いシート内で、徐々に緻密になる孔径。
非対称構造膜で粒子をキャッチ。

では、ミクロフィルターの特長をご紹介しましょう。ミクロフィルターは、粒子をキャッチする捕捉性と構造から「ノミナル(公称濾過)タイプ」「アブソリュート(絶対濾過)タイプ」の2つに分類できます。「ノミナルタイプ」は、繊維がランダムに絡み合わさった構造になっています。一方「アブソリュートタイプ」は、合成樹脂膜にミクロサイズの孔が多数開いた形状が一般的で、「規定サイズより大きな粒子を確実に捕捉」することに適しています。
「アブソリュートタイプ」の膜には「対称構造膜」と「非対称構造膜」の2種類があります。「対称構造膜」は入口から出口にかけて同じ大きさの孔が開いていますが、早く目詰まりが起きてしまう可能性があります。それを解決したのが、富士フイルム独自のポリスルホン(PSE)膜を使った「非対称構造膜」。以下の断面図をご覧いただければお分かりのように、膜の入口から出口に向かって、孔の大きさが徐々に微細になっています。つまり、大きな微粒子から小さな微粒子までを立体構造で捕捉できるのです。これにより目詰まりが起こりづらくなり、長い濾過寿命を獲得できるというわけです。

「ミクロフィルター」の詳しい情報はこちら

ノミナルタイプ
[図]
アブソリュートタイプ
[図]

富士フイルム ミクロフィルター「AstroPore」の非対称構造膜

[図]

生ビールが飲めるのも
ミクロフィルターのおかげ。

「粗」から「密」へ、高度なミクロサイズの孔加工技術が生み出した、独自の非対称構造膜――さらに特筆すべきは、富士フイルムが非対称構造膜を保ちながら、孔のサイズを自在にコントロールできる優れた技術を持っているということ。これにより多彩な孔径ラインナップを実現でき、お客さまは目的や用途に合わせて最適なミクロフィルターを選択することができます。現在、富士フイルムのミクロフィルターは、醸造酒(ビール、ワイン、日本酒)の生産における酵母・雑菌の除去から、液晶パネルや半導体の洗浄工程における洗浄水の異物除去まで、幅広い業界の製造現場で使用されています。

なかでも富士フイルムのミクロフィルターは、国内ビールメーカーのビール生産のお手伝いをしてきました。かつてはビールといえば、生きた酵母による品質の劣化を防ぐために加熱処理を行うものが一般的でした。しかし、1960年代になると、ビールメーカーがビールの濾過工程にミクロフィルターを採用し始めます。こうした濾過技術の向上が大きく影響したことで、加熱処理ではなく、濾過して酵母菌を取り除くことが可能となり「生ビール」が誕生。「生ビール」が人々に浸透していくに連れて、ミクロフィルターも生ビールの製造工程に欠かせないアイテムの一つとして定着していきます。なかでも富士フイルムのミクロフィルターはその品質を認められ、ビールメーカー各社に採用いただいており、そのシェアはトップレベルを誇っています。いわばミクロフィルターは、日本の生ビールの安全と美味しさを守り続ける最後の番人とも言えるでしょう。
富士フイルムでは、ミクロフィルターの価値をさらに多くのお客さまに提供するため、今後もマーケティング、研究開発の双方に力を注いでいきます。

生ビールの製造現場で利用される「ミクロフィルター」の詳しい情報はこちら

[図]
富士フイルム ミクロフィルター「AstroPore」

記事公開:2017年2月
情報は公開時点のものです