アスタキサンチン
アスタキサンチンとは
アスタキサンチンは、サケやエビ、カニなどに多く含まれている赤色の天然色素(カロテノイド)の一種。
主に、「ヘマトコッカス藻」を原料としたアスタキサンチンが食品の機能性原料として使われており、
高い抗酸化作用を有することで知られています。
たとえば、サケはもともと白身魚ですが、アスタキサンチンを筋肉にため込んでいるため、サーモンピンクに見えます。これは、産卵期にサケが川を遡るとき、運動により多くの酸素を利用することで大量の活性酸素が発生するため、筋肉にダメージを与えないように、抗酸化力のあるアスタキサンチンを蓄えていると考えられています。
このように、自然界で生物を守るために利用されているのがアスタキサンチンなのです。
富士フイルムは、色あせしない写真フィルムづくりを目指して、長年にわたり抗酸化成分を研究してきました。その過程で、抗酸化力の高いアスタキサンチンに注目。アスタキサンチンを用いたさまざまな開発を積極的に行っています。
ヘマトコッカス藻
わたしたち人間は、生命を維持するため、あるいは食物からエネルギーに変換するため、呼吸を通して酸素を体内に取り入れています。その酸素の一部は体内で「活性酸素」と呼ばれる状態になります。
活性酸素は、体内の免疫機能や感染防御の役割といった 、体にとって必要な面もありますが、 この「活性酸素」が増えすぎると、細胞を酸化させ(サビさせ)、身体の組織のダメージにつながってしまうことがわかっています。こうした活性酸素を抑える働きが「抗酸化力」です。
体内には、こうした活性酸素を除去する「抗酸化酵素」「抗酸化物質」も存在しています。しかし、現代は紫外線や食品添加物、排気ガスなど、活性酸素を発生する要因が増加しており、大量に発生した活性酸素を除去しきれなくなることが心配されております。
高い抗酸化作用
アスタキサンチンの大きな特長のひとつが、活性酸素を消去して、物質が酸化するのを抑制する、高い抗酸化力です。中でも、毒性の強い「一重項酸素」と呼ばれる活性酸素に対して効果が高く、β-カロテンの約40倍、ビタミンEの約550倍もの抗酸化力があると言われています(*1)。また、当社はアスタキサンチンがCoQ10の約1000倍以上(*2)の一重項酸素の消去能をもつことを実証してきました(*3)。
N Shimidzu et al., Fisheries Science. 62, 134-137, 1996.
*一重項酸素:活性酸素の一つ
*1 一重項酸素のみを発生させ熱をかけず光の影響もない環境を人工的につくり各種カロテノイドとビタミンEの抗酸化力を、 直接的に一重項酸素を測定することにより比較した研究(参考文献:「美肌、目と脳を守るアスタキサンチン」ハート出版)
*2 CoQ10(酸化体)に対して1000倍以上。
*3 J Mori et al., Mol Cryst Liq Cryst. 580, 52-57, 2013.
高い安全性
サケなどの食品を通して、一般的に摂取されているため、安全性は高いと考えられています。
また臨床試験においても、以下のような幅広い用量・投与期間において、安全性が確認されています。
例
①ヘマトコッカス藻由来のアスタキサンチン8mg×2回/日を12週間(引用1)、30mg/日を4週間(引用2)、または2mg×3回/日を8週間の経口摂取(引用3)で安全性が確認されています。
②また、20mg/日を4週間、12週間摂取させたヒト臨床試験において、アスタキサンチンに起因する有害事象は確認されていません(引用4、5)。
引用1. A Uchiyama et al., J Clin Biochem Nutr. 43, 38-43, 2008.
引用2. 大神, 臨床医薬. 21, 651-659, 2005.
引用3. GA Spiller et al., J Med Food. 6, 51-56, 2003.
引用4. A Satoh et al., J Clin Biochem Nutr. 44, 280-284, 2009.
引用5. HD Choi et al., Plant Foods Hum Nutr. 66, 363-369, 2011.
「アスタキサンチンとは」
まとめ
アスタキサンチンには、活性酸素を消去する高い抗酸化作用が認められ、さまざまな機能があります。
しかしながら、藻由来の特有のにおいにより、一般的な食品・飲料への活用には課題がありました。
FUJIFILM
アスタキサンチンの
3つの特長
そこで、富士フイルムは、長年の写真フィルム技術で培ってきた独自技術を応用。
徹底した品質管理体制の下、さまざまなアスタキサンチンのラインアップを提供しています。
特長1
風味を損なわない
独自脱臭製法
アスタキサンチンは藻由来のため、特有のにおいがあります。富士フイルムのアスタキサンチンは、飲料や食品の風味を損ねないように、独自の脱臭製法でその臭いを低減しています。脱臭品は、5-35%の濃度のラインアップをご用意しており、高濃度品の使用によって添加量を抑えることが可能になっています。
特長2
独自のナノ乳化技術
富士フイルムのコア技術のひとつが「ナノ化技術」。素材をナノレベルに小さくし、液体中に安定して分散させる技術です。これによって、本来混ざり合わないものでも、細かく均一に混合できたり、ナノ分散によって、本来液体に混ざらない固体を液体中に安定的に分散させ、長期に安定することができます。
アスタキサンチンは、本来水に溶けない油溶性成分です。そのため飲料としての使用は難しいとされていました。そこで、富士フイルムはアスタキサンチンをナノ乳化し、水に溶ける「ナノアスタキサンチン水溶液」をラインアップいたしました。これによって、アスタキサンチンの体内への吸収性が向上し、透明度も高めています。
富士フイルムの写真フィルムづくりで培ったこの独自技術は、化粧品、飲料などさまざまな商品の開発に応用されています。
マウスにおける体内動態
*アスタキサンチン5 mg/Kgを経口摂取後、6時間後の血中アスタキサンチン濃度
小川ら, 富士フイルム 研究報告書. 52, 26-29, 2007.
グラフは論文中データより作成した
ナノアスタキサンチン(AWS)(右)と
一般的な方法で乳化したアスタキサンチン(左)
特長3
徹底した品質管理体制
アスタキサンチンの原料となるヘマトコッカス藻を、天然太陽光をエネルギー源として、密閉されたガラス管で培養しているためコンタミネーション(汚染)リスクがなく、その後、FSSC22000*取得済みの日本国内の工場で最終製品を製造しています。
また、オイルは超臨界二酸化炭素抽出方式を採用しており、溶媒が残留する心配もありません。
*食品安全マネジメントシステムのひとつで、世界の流通・食品大手が加入する「世界食品安全イニシアチブ(GFSI)」が求める規格。
「FUJIFILM
アスタキサンチンの
3つの特長」まとめ
富士フイルムはアスタキサンチンをより広く活用いただけるよう、
においの低減、ナノ乳化、品質の徹底管理体制を特長に、さまざまなラインアップをご用意しております。
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富士フイルムは原料供給だけでなく、
ご相談の上、研究レビューのご提供も行っております。
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