家族の「許せない」行為に出会ったら、互いの“意識合わせ”で解決する
日常生活において、特に怒りの感情が生じやすいのは職場と家庭です。上司や部下、配偶者や子どもなどは、普段から接する機会が多いだけに、つい些細な言動にイラッとしてしまいがちです。
前回は、職場におけるアンガーマネジメントの事例を紹介しましたので、今回は、家庭での怒りへの対処法から紹介しましょう。
新型コロナウイルスの感染拡大とともに、在宅で仕事をする機会も増えたのではないかと思います。日中は顔を合わせることがなかったのに、一緒にいる時間が長くなって、つい夫や妻の言動が気になるようになったという方もいるのではないでしょうか。
典型的な怒りのタネのひとつが、家族が家で仕事をすることで「部屋が片付かなくなった」というもの。リビングにパソコンや書類などを持ち込み、仕事が終わっても、ついほったらかしにしてしまうというのはよくある話です。
「終わったら、ちゃんと片付けてよ」と何度も言っているのに一向に改善されないと、ついイライラしてしまいそうですが、まずは6秒間じっと待つ「衝動のコントロール」で、怒りの爆発を防ぎましょう。
ただし、それでもイライラが募って抑えきれないとすれば、それは、あなたにとって「許せない」行為だからなのだと思います。その場合は、無理に我慢し続けると、マグマのように蓄積された怒りが一気に噴き出してしまうかもしれないので、「思考のコントロール」によって怒りに振り回されないようにする必要があります。
そこで大切になるのが、互いの“意識合わせ”です。何度も「片付けてよ」と言っているのに一向に改善されないのは、「“片付いている”とはどんな状態なのか」という互いの認識にズレがあるのかもしれません。
例えば、あなたは仕事が終わったらパソコンや書類をテーブルの上に置かないようにしてほしいのに、相手はテーブルの隅に追いやれば「片付いた」と思っている可能性もあります。「言われたとおりにやっているのに、なんで怒るのだろう」と理不尽に感じていたかもしれません。
大切なのは、相手にとって“片付いている”とはどんな状態なのかということを理解し合い、互いに納得できる“片付いている状態”のイメージを共有することです。
この例に限らず、行動に関する双方の認識の相違が、怒りの原因となることはよくあります。怒りをぶつける前にしっかりコミュニケーションを取って、認識のギャップを埋めることをお勧めします。