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今日からはじめる「アンガーマネジメント」

怒りの感情と上手に付き合い、コントロールする方法を紹介します。
実践すれば仕事も人間関係もよりスムーズになるはず!

vol.9 家族や友人に、つい怒りをぶつけそうになったとき
試してみたい「言い換え」あれこれ。

家事をしてくれない家族に文句を言うのは禁物

前回までは、上司や同僚、部下など、職場の人たちとの会話でイライラをぶつけないための「言い換え」について紹介してきました。
こうしたビジネスの場であれば、相手の言動に怒りを感じても、比較的に「何とか気持ちを落ち着かせよう」という心のブレーキが働きやすいかもしれません。

むしろ、より気を付けたいのは、気心の知れた家族や友人に対して。ささいな言動でも、歯止めが利かなくなって、怒りをぶつけてしまうことが多いのではないでしょうか。

そこで今回は、家族や友人に対してつい文句を言いそうになったときに、試してみたい「言い換え」の例をいくつか紹介します。

まずは、家族のケース。同じ家で暮らす中で大きな課題になることとしては、「家事」にまつわることが多いでしょう。

最近では、家族で家事を分担することは一般的になっていますが、双方に平等感のある分担がなされているかは、また別の話。相手ばかりが楽をしているように見える、平日は仕事ばかりで休日にはだらけてばかりに見える、ということもあるでしょう。

そんなときは、つい、

「少しは家事をして!」

と文句を言ってしまいそうですが、このように相手を強く責めると、むしろ逆効果となってしまう恐れがあります。

人によっては、「家事よりも仕事のほうが大事。平日は仕事を頑張っているんだから、せめて休日ぐらいは休ませて」と思うかもしれません。

その考え方が正しい、間違っているなどの問題ではなく、人は自分が思っていることを否定する強い言葉をぶつけられると、つい、反発したくなってしまうものです。結果、思わぬ言い争いに発展し、ささいなことで、家族仲が取り返しのつかないことになってしまう恐れもあります。

「〇〇してもらえない?」と具体的に頼んでみる

では、相手の気持ちを逆なですることなく家事をしてもらうには、どんなふうに「言い換え」をすればいいのでしょうか。

先の例でいえば、

「疲れていると思うけど、掃除機をかけてくれないかな」

などと言ってみるのも方法でしょう。

仕事で疲れているのは事実なのですから、まずはねぎらいの言葉をかけてあげることが大切です。これにより、責められているという印象がなくなります。その上で、相手が「今できること」「現実的にできること」を考えて、具体的に「〇〇してもらえない?」と頼んでみましょう。

漠然と「家事をしてほしい」と言われると、大きなことを求められている気がしてしまうものですが、してほしいことの範囲が限定されれば、「そうだな、そのくらいはやろう」という気持ちになりやすくなります。

より望ましいのは、これをきっかけに家族で話し合って、納得感のある家事分担を決め直すなど、前向きな対策を行うことです。

プライベートのことを根掘り葉掘り聞かれたときは?

次に、友人の言動にイラッとしたときに、つい発してしまいそうな言葉の「言い換え」の例を紹介しましょう。

相手が誰であろうと、自分のプライベートのことを他人から根掘り葉掘り聞かれるのは、あまり気持ちのいいものではありません。

しかし、相手が気心の知れている友人だと、つい遠慮がなくなってしまい、悪気はなくともあれこれ聞いてくる人もいます。さして近しい間柄になくても、個人的な人間関係や家族の問題など、たとえ親しい友人相手にでも話したくないと思っているようなことについて、しつこく聞いてくる人も少なくありません。

そんなとき、

「あなたには関係ない!」

と、強い口調で言い返したくなるものですが、それは得策ではありません。

怒りにまかせて怒鳴ると、興味本位で根掘り葉掘り聞いてきたような相手は「何かあるな」と勘ぐって、さらに探りを入れてくるかもしれません。また、相手によっては勝手な想像を膨らませて、ありもしないうわさをどんどん広げてしまう恐れもあります。

ですから、しつこく話を聞かれたときには、怒りをぶつけるのではなく、

「別に何もないよ」

と、なるべく涼しい顔をして切り返してみましょう。

これを繰り返していれば、相手もそのうち関心がなくなって、二度と問いかけようとしなくなるはずです。

家族や友人に文句を言いそうになったときの「言い換え」例

怒りにまかせた言葉をぶつけてしまうと、悪気のない、親しい友人とも関係がギクシャクしてしまいます。その意味でも、相手に話したくないことは、うやむやにするのが最善の切り抜け方だといえるでしょう。

プライベートの人間関係に問題があると、仕事にも全力を出しづらいものです。アンガーマネジメントを生かした言い換えでプライベートも円満にして、仕事のパフォーマンスアップを図りたいですね。

「怒り」をコントロールするためのコツ

頼みごとは具体的に、
話したくないことは涼しく流して
親しい人との衝突を避ける

PROFILE

安藤 俊介
安藤 俊介あんどう・しゅんすけ
一般社団法人日本アンガーマネジメント協会代表理事、アンガーマネジメントコンサルタント。怒りの感情と上手に付き合うための心理トレーニング「アンガーマネジメント」をアメリカから導入した日本の第一人者。教育現場から企業まで幅広く講演、研修、セミナーなどを行っている。主な著書に『アンガーマネジメント入門』(朝日新聞出版)、『あなたのまわりの怒っている人図鑑』(飛鳥新社)、他多数。書籍は中国、台湾、韓国、タイ、ベトナムなどでも翻訳され、累計発行部数は58万部を超える。

記事公開:2021年12月