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仕事の効率をアップさせ
信頼度を高めるビジネスメールのポイントを解説します。

仕事が速くなる
ビジネスメール術

仕事が速くなるビジネスメール術

vol.05

「型」や「順序」がカギとなる
ビジネスメールの構成要素とは。

仕事が速くなるビジネスメール術

内容がスッと伝わるメールを組み立てる7つの構成要素

前回、メールのビジュアルの重要性について解説しましたが、ビジュアルを整えるためには構成要素を意識して書くことが大切です。

メールの構成要素とは、以下の7つです。
(1)宛名
(2)あいさつ
(3)名乗り
(4)要旨
(5)詳細
(6)結び
(7)署名

これら7つのうち、「要旨」「詳細」はメールの内容によって毎回変わりますが、残りの5つは定型をアレンジするだけでOKです。仕事が速い人はこれを理解し、メールを書くときに時間をかける箇所を決めています。そうすることで、目的が確実に伝わる読みやすいメールをスピーディーに作成し、結果的に仕事を速く回すことができているのです。

一方、メールに苦手意識を持っている人の大半は、考える必要のない定型の部分で悩み、メール作成に多くの時間を費やしています。その時間を他の業務に使うことができたと考えると、非常にもったいないことです。

「定型」を理解すればメール作成は格段に速くなる

では、ここからは「定型+アレンジ」で書くことができる(1)(2)(3)(6)(7)の5つの要素の基本的な考え方について、解説していきたいと思います。(4)(5)については、非定型の要素となるため次項で説明します。

(1)宛名
社外の場合は「会社名+部署名+役職+氏名+様」、社内の場合は「部署+役職+氏名+様」とします。相手との関係性によっては「氏名+様」だけにしたり、「名字+様」のようにします。「フルネーム+様」でも間違いではありませんが、毎回フルネームだと丁寧な印象を与える一方で、相手が仰々しく感じる場合があります。

宛先が複数の場合は、「役職の高い順」に宛名を書くこと。社内と社外の人のどちらも宛先に入っている場合は、社外の人を先に書くのが一般的なルールです。迷うときは、「関係者各位」でくくっても問題ありません。
(2)あいさつ
社外の人にメールを送るときは、「お世話になっております」が基本です。相手との関係性によっては「おはようございます」「お疲れ様です」を使うこともできます。
(3)名乗り
社外に向けたメールであれば、「会社名+名字」が一般的です。社内の人へのメールであれば、「名字のみ」、または「部署名+名字」でも問題ありません。ただし、佐藤、鈴木、田中など人数の多い名字であれば、同姓の人がいる可能性を考えてフルネームで名乗るほうが親切です。大切なのは、誰からのメールなのかが、相手に一目で分かるようにすることです。
(6)結び
定番は「よろしくお願いいたします」です。進行中の業務でのやりとりの場合は「引き続きよろしくお願いいたします」、相手に依頼していることがあれば「ご検討よろしくお願いいたします」、内容を確認してほしいときは「ご確認よろしくお願いいたします」とするのが良いでしょう。
(7)署名
社名、部署名と自分の氏名、会社の住所と郵便番号、電話番号、ホームページのURL、自身のメールアドレスは最低限入れておきましょう。社外へ送るメールの場合は、基本的に名刺に書かれている情報が入っていれば十分です。一度署名設定をすれば以降は自動的に記載されるので、すでに設定している人が多いと思いますが、この機会に署名の情報に過不足がないか確認してみてください。

その他、社用の携帯電話番号や、個人や会社の最新ニュースなど、何をどこまで記載するかは職種や目的によってさまざまです。どういった形でも、「署名の情報=相手の役に立つ情報」という基本は押さえておきましょう。

メールを送る「目的」を最初に伝える

続いて、メールによって内容が変わる2つの構成要素「(4)要旨」と「(5)詳細」について解説していきます。

(4)要旨
ここには「なぜ、メールを送ったのか」という説明、つまりメールを送った「目的」が入ります。「要旨」は「名乗り」のすぐ後に書きましょう。「今から◎◎について話します」と先に宣言しておくことで、読み手はメールの趣旨をすぐに理解し、対応を考えながら続きを読み進めることができるのです。

例えば、以下のような内容が考えられるでしょう。

「◯◯の件でご報告があります」
「××について教えてください」
「△△の打ち合わせについて、日程の変更をさせてください」

メールを送った相手が仕事の速い人であれば、「日程」「変更」の文字を見た瞬間に、スケジュールを確認しているはずです。理解が速い分、返信も早くもらうことができるでしょう。
(5)詳細
「要旨」の内容について、詳しく記載する箇所です。相手から質問がこないレベルまで、情報を網羅しましょう。ただし、伝える必要のない情報まで書いてしまうと、かえって目的から離れてしまい、何が言いたいのか分からないメールになってしまいます。盛り込むべき情報をきちんと精査することが大切です。
メールを書くときに意識すべき7つの構成要素

メールに苦手意識を持っている人の中には、「要旨」と「詳細」の順番が入れ替わっていることがあります。その場合、読み手は最後まで読まなければ、どういう用件のメールか分かりません。ましてや、最後まで読んでも、「結局、何をしてほしいの?」と思わせるようなメールはもってのほかです。メールにおいて優先すべきは、「相手に目的をすぐに理解してもらう」ことだということを忘れないようにしましょう。

ビジネスメールにおいて大切なのは、お互いに効率良く仕事を進められることです。このように、7つの構成要素を意識してメールを作成することで、メールにかける時間は短縮しつつも、的確に目的を伝えて相手を動かすことができ、円滑でスピーディーな仕事の進行につながるのです。

PROFILE

平野 友朗
平野 友朗ひらの・ともあき
一般社団法人日本ビジネスメール協会 代表理事。株式会社アイ・コミュニケーション代表取締役。北海道生まれ。筑波大学人間学類で認知心理学を専攻。広告代理店勤務を経て、独立。ビジネスメール教育の第一人者として、研修などでの講演は年間150回以上、テレビや新聞などのメディア出演は1500以上に達する。官公庁や民間企業など、業種や業態、職種を問わず、幅広い年齢層に向けた指導やコンサルティングを行っている。著書は37冊。

記事公開:2024年1月