部下が心を開いてよく話してくれるようになったら、自分が部下をダメだと感じている原因を探ってみましょう。部下に可能性を感じられなくなってしまう原因は、主に次の3つです。
まず一つ目は「人材のミスマッチ」。現在の業務がその部下の適性に合っていなければ、ミスは増え、アイデアも出てこない可能性があります。この場合、担当業務を見直すことによって改善がみられることもありますし、場合によっては配置転換が必要なこともあるかもしれません。
次に部下の「内面的な問題」です。厳しい両親に育てられるなど、長年抑圧的な環境で育つと、極端に失敗を恐れ、人の顔色ばかり気にする性格になってしまうことがあります。この傾向が強いと業務に支障を来すこともあるので、本人が改善を望んでいるのであれば、根本解決型のカウンセリングなどを勧めてみても良いでしょう。
最後は、心理学用語でいう「投影」。これは部下ではなく、上司である自分自身の問題です。例えば「自分は若い頃に仕事ができなかった」と思っている人は、仕事ができない部下に昔の自分を投影して、いら立ってしまうことがあります。特に自分に対して厳しい人は、他人に対しても厳しくなりがち。自分をありのままに認めて受け入れると、包容力が高まり、相手の良さや可能性にも気付くことができるようになるでしょう。また、「投影」してしまうのは自分自身だけではありません。過去に苦手だった同僚や友人、両親などさまざま。どのような場合もまず、自分が相手に誰か別の人を重ねて見てしまっている可能性を考えて自分と向き合い、見方を変えていきましょう。
上記3つの中で、自分が部下をダメだと思っている原因を見極め適切な対応をすることによって、部下の能力をうまく伸ばしてあげることができるでしょう。どんなに仕事ができない部下でも、何もかもダメだということはありません。部下の長所を見つけ出し、その人なりの最善の成果が出るように導けるかどうかが、デキる上司の腕の見せ所なのです。