ビジネスフレームワークを使って、メッセージに説得力を持たせる!
前回は、スライドの内容を根拠づけるために欠かせない、情報収集の前準備の大切さを説明しました。今回は、スライド情報の仮説作りに不可欠な「フレームワーク」について、詳しく解説していきましょう。
フレームワークとは、世の中でよく用いられている「考え方の枠組み」のこと。これを利用することで、メッセージを根拠づけるための大事な情報が抜け落ちたり、情報が重複したりするのを防ぐことができ、メッセージに説得力を持たせられます。
ビジネスの情報収集を目的とした仮説作りであれば、「ビジネスフレームワーク」を使うのがおすすめです。「3C分析」や「マーケティングの4P」などが有名ですが、「背景」「課題」「解決策」のスライドごとに、よく使われるビジネスフレームワークは異なります。
例えば、背景スライドで業界分析や自社分析を行うなら「PEST分析」「ファイブフォース分析」「3C分析」、課題スライドで自社の課題を分析するなら「バリューチェーン分析」「組織の7S」「購買行動分析」、解決策スライドのための情報を収集・整理するなら「マーケティングの4P」が適しているといった具合です。それぞれ見ていきましょう。
(1)「背景」スライドによく使われるビジネスフレームワーク
- ・PEST分析
- 業界を取り巻く外部環境を、「政治(Politics)」「経済(Economy)」「社会(Society)」「技術(Technology)」の4方向から検討するフレームワーク。業界に影響を与える外部環境の情報収集に適している。
- ・ファイブフォース分析
- 業界の特徴を整理するためのフレームワーク。ファイブフォースとは、自社に対する脅威となる5つの要素のこと。「買い手(顧客)の交渉力」「供給業者の交渉力」「新規参入者の脅威」「代替品の脅威」「業界の競合度」の5つの観点から分析する。業界内部の環境についての情報収集に向いている。
- ・3C分析
- ビジネスのプレーヤーを「市場環境・顧客(Customer)」「競合(Competitor)」「自社(Company)」の3つに分けて、自社の現状を分析するフレームワーク。
(2)「課題」スライドによく使われるビジネスフレームワーク
- ・バリューチェーン分析
- 自社の商品やサービスの課題に関する情報を集めるときに適している。例えば、自社の商品の利益率が低いという課題であれば、「購買物流」「製造」「出荷物流」「販売・マーケティング」「サービス」ごとの原因について情報を集める。
- ・組織の7S
- 組織を「戦略(Strategy):組織の計画・行動方針」「組織(Structure):組織の形態・構造」「システム(System):組織の仕組みの特徴」「価値観(Shared value):組織内に共通する理念・概念」「スキル(Skill):組織の能力」「人材(Staff):人材の能力」「スタイル(Style):社風・組織の文化」の7つの要素に分けて、その状態を俯瞰し分析するフレームワーク。組織の課題についての情報を集めるときの枠組みに向いている。
- ・購買行動分析
- 顧客の購買行動を分解するためのフレームワーク。消費者の購買行動についての情報を集める際の仮説作りに向いている。例えば、ある商品について課題を洗い出す場合、「認知」「情報収集」「来店」「購入」「評価」の各段階に分けて情報を収集し、課題を見つけていく。
(3)「解決策」スライドによく使われるビジネスフレームワーク
- ・マーケティングの4P
- マーケティングを「商品(Product)」「価格(Price)」「流通・場所(Place)」「販促(Promotion)」の4つの観点から検討する。新しい製品やサービスのマーケティング戦略を立案するのに必要な情報を収集、整理するときの仮説作りに適している。
ただし、ケース・バイ・ケースのため、ビジネスフレームワークとスライドとの相性は参考程度と捉えるのがよいでしょう。