「丁寧な仕事第一」の働き方は見直しの時期かも
日本のビジネスシーンでは「丁寧な仕事を心がけるのが何より大事」と思われがちです。
特に若手の時期に、丁寧な仕事を褒められ評価されると、さらに頑張る気持ちがわいてきた経験がある人は多いのではないでしょうか。
確かに、「丁寧な仕事」そのものに罪はありませんが、本連載の第4回でも述べたように、費用対効果に対する観点が欠落しているケースが少なからず見受けられます。実際にそれによってもたらされる利益や事業に与える影響まで考慮に入れたとき、丁寧な仕事が本当に必要であるとはいえない場面も多いのです。
まして、社内のポジションがそれなりに上がってきている人や管理職ともなると、やるべき業務は増えていくもの。仕事の効率化を進めるうえでは、適切な「手抜き」を覚えなければ仕事が回らない段階にきているはずです。
ここでいう「手抜き」は、「いい加減な仕事をする」という意味ではなく、「惰性で続いているだけの、ムダあるいは非効率なタスクを思い切ってなくす」行為を指します。
社内のルールを見直す、または、それを周囲に働きかけていける立場にあるのなら、例えば、
- 丁寧さの面から必要とされてきた儀礼的なメール
- 慣習的に行われている会議や朝礼
このようなものをなくしていくのも、一つの手です。
今回は、私がコンサルティング業務で関わったある企業(A社)の事例を、具体例として以下でご紹介しましょう。