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 意外と知らない
「パンデミック」の定義とは?

世界中に広がる新型コロナウイルス感染症の被害に伴い、
ニュースなどで「パンデミック」という言葉を耳にすることが増えました。
他に「アウトブレイク」「エピデミック」という言葉もあり、
意味がはっきり分かっていない方も多いかもしれません。
そこで、今回は意外と知らない、「パンデミック」やその他
病気の流行に関連する言葉について改めて確認してみましょう。

「アウトブレイク」「エピデミック」「パンデミック」……。
それぞれの定義は?

「パンデミック」という言葉が日常的に聞かれるようになったのは、世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長が新型コロナウイルス感染症の流行を「パンデミックとみなせる」と発表するかが注目された、2020年の2月から3月ごろではないでしょうか。また、感染症の流行に関しては「アウトブレイク」や「エピデミック」という言葉も頻繁に使われています。まずはこれらの言葉の定義をみていきましょう。

感染症の流行は段階的に広がる傾向がありますが、最初に起こるのが「アウトブレイク(outbreak)」です。これは、特定の区域や特定の集団において、通常予測される以上に感染症の症例数が増加していることを意味します。医療施設内で起こる院内感染による感染爆発もアウトブレイクとみなされ、「院内アウトブレイク」と呼ばれることも。

そして、感染症が最初に急増したコミュニティよりも広い地域に拡大すると、「エピデミック(epidemic)」と呼ばれるようになります。さらに、エピデミックが国境を越えて広がり、複数の国や大陸に拡散・同時流行した状態が「パンデミック(pandemic)」です。「感染爆発」と訳されることもあります。

「アウトブレイク」、「エピデミック」、「パンデミック」とは?

こうしてみて分かるとおり、実はこれらの言葉は、明確な重症度や感染者数等の数字で定義されているわけではありません。その感染症がどの程度拡散しているかという、地理的な意味合いが強いのです。

人類の歴史はパンデミックとともにあった

以前の記事「今さら聞けない!?菌とは違うウイルスの特徴とは」でも触れたとおり、感染症とは「人や動物の体に入り込んだ病原体が引き起こす病気」です。感染症が人類の誕生から常にあったのと同様、パンデミックは今回のコロナウイルスによるものが初めてではありません。人類はこれまで何度も、さまざまな病原体によって起こされたパンデミックと戦ってきました。

パンデミックを引き起こしてきた感染症の一つには天然痘があります。天然痘は古くから世界中で何度も流行が起こり、ヨーロッパでは18世紀末まで年間およそ40万人が命を落としてきました。日本でも700年代に猛威をふるった記録があるこの病気の原因は、大痘瘡(だいとうそう)型と呼ばれるウイルス株です。天然痘ウイルスは、1万年ほど前のアフリカに生息していたげっ歯類のウイルスが進化したものと考えられています。

長きにわたって人類を苦しめてきた天然痘ですが、1796年、英国の医師エドワード・ジェンナーが牛痘(感染した牛の膿)を人間に接種することによって感染を防ぐ方法を発見しました。これが感染症の特効薬であるワクチンの元祖となります。その後も天然痘と人類の闘いは続きましたが、1975年にバングラデシュの少女が発症したのを最後に、以降感染者は一人も認められておらず、天然痘は人類が根絶した唯一の感染症となっています。

第一次世界大戦中の1918年に始まったインフルエンザによるパンデミックは、被害の大きさで群を抜いています。このインフルエンザは俗に「スペインかぜ」と呼ばれていますが、実はスペインが発生源というわけではありません。

このインフルエンザに世界中で約5億人が感染したとされており、これは当時の世界人口の4分の1から3分の1程度に相当します。死亡者数も正確な数字は分かっていませんが、全世界で少なくとも4000万人、一説には1億人とも言われています。

感染者はまさに世界中に広がり、その中には太平洋の孤島や北極圏の人々も含まれていました。日本でも約2300万人の患者と約38万人の死亡者が出たと報告されています。抗生物質すら発明されていなかった当時、有効なワクチンなどもなく、対策は患者の隔離や公共施設の閉鎖など限られた手段のみ。生き残った人が抗体を獲得し、集団免疫を形成するまで、事態は収束しませんでした。

また記憶に新しいところでは、2002年から2003年にかけて流行した重症急性呼吸器症候群(SARS)があります。2002年の11月に中国南部の広東省でアウトブレイクが起こったのをきっかけに、広東省や香港を中心に、カナダのトロントやオタワ、モンゴル、フィリピン、シンガポール、台湾などに感染が拡大し、9カ月で患者数は8000人以上、774人が死亡しましたが、翌年7月には終息宣言が出されました。

パンデミックは自然開発で起きる?
これからも考えたい対策

このように、人類はこれまでも多数の犠牲を出しつつパンデミックと戦ってきました。現在、新型コロナウイルス感染症に関しても「パンデミックは加速しており、新たな危険な段階に入った」と警告されています。「新型コロナウイルス感染症の終わりも、その全貌もまだ見えていない」と語る研究者もいるなど、事態は軽視できないでしょう。

そして、今後も新たな感染症によるパンデミックが発生する恐れは否定できません。これまでの感染症の多くは農場や市場などでの野生動物との接触が感染源となっているからです。人類が今のように森林伐採などの大規模な自然開発を続け、野生動物の生態系を破壊し続ける限り、新しい感染症が流行するリスクは減りません。パンデミックは我々人類にとって、恒久的なリスクとして考え続けねばならない問題かもしれません。

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記事公開:2020年7月
情報は公開時点のものです