「デジタル庁」の設置や「脱はんこ」など、
今急ピッチで進むDX(デジタルトランスフォーメーション)。
DXについて語るとき最近よく聞くワードが「2025年の崖」です。
これはいったいどういう意味なのか、解説していきましょう。
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あなたが使うシステムもカウントダウン?
「2025年の崖」でなにが起きるか。
あなたの会社も他人事じゃない!?
「2025年の崖」ってなに?
DX(デジタルトランスフォーメーション)とは「最新のデジタル技術を導入してビジネスの変革をもたらし、競争優位性を高める」といった意味で使われており、取り組みの必要性が声高に叫ばれています。
2018年5月には、経済産業省が「デジタルトランスフォーメーションに向けた研究会」を発足、DXの実現に向けた支援を開始しました。その研究会によって同年9月に取りまとめられたのが「DX(デジタルトランスフォーメーション)レポート ~ITシステム『2025年の崖』の克服とDXの本格的な展開~」です。ここでタイトルに掲げられている「2025年の崖」とはいったいどういう意味なのでしょうか。
日本では2020年時点において、多くの企業で既存のITシステムの老朽化が深刻な問題となっており、システム全体の見直しが必要とされています。加えて、2025年にはIT人材の高齢化による人手不足が43万人にまで達すると予測されており、この問題をクリアしない限りDXの推進は失敗し、企業にとって大きな損失が予想されると指摘されています。これが「2025年の崖」と呼ばれているのです。
では、「2025年の崖」で生じる企業の損失とは具体的にはどのようなものなのでしょうか。
まず挙げられる可能性は、システムを更新できないことにより、今後爆発的に増加するデータを活用しきれず、市場の変化に対応したビジネスモデルが作れずに競争の敗者になってしまうことです。
また、保守運用を担当するIT人材の育成や確保が遅れると、サイバーセキュリティーや事故・災害によるシステムトラブル、データの流出といったリスクも高まるでしょう。さらに、システムの維持管理費も高額化し、業務基盤そのものの維持、継承が困難になる可能性すらあります。
レポートでは「2025年の崖」を克服できない場合、DXが実現できないだけではなく、2025年以降、最大12兆円/年の経済損失が生じる可能性があるとまで指摘しています。
DXの足かせ「レガシーシステム」とは?
DXの大きな足かせになっているのが、日本の企業に多く残る「レガシーシステム」です。レガシーとは「過去の遺産」という意味であり、一般社団法人日本情報システム・ユーザー協会は、レガシーシステムの特徴を以下のように定義しています。
- 1. 技術面の老朽化
- 古い要素技術(メインフレームと呼ばれる大型コンピューターやそれを動かすプログラム言語など)やパッケージでシステムが構成されており、ハードウエアなどが故障すると代替がきかない。または、古い要素技術に対応できる技術者の確保が難しい。
- 2. システムの肥大化・複雑化
- 長期間にわたって機能の継ぎはぎを続けたことによりシステムが複雑になってしまい、これ以上の新たな機能の追加・変更が困難となり、現行業務の遂行や改善に支障がある。システムの変更が難しいため、外部の補完機能を増やしたり、人が運用をカバーしたりする必要がある。
- 3. ブラックボックス化
- ドキュメントなどが整備されておらず、属人的な運用・保守状態にあり、何かしらの障害が発生しても原因がすぐにわからない。または、再構築のために現行システムの仕様が再現できない。
日本の大企業の場合、このようなレガシー化した既存システムが部門ごとに構築されていることが多く、縦割り組織の弊害で全社横断的なデータ活用ができないといった問題を抱えています。
また、IT担当者の定年退職と共に属人的に運用・保守されていたノウハウがブラックボックス化されてしまい、システム変更はおろか、基幹システムの内部構造がわからないといった恐ろしい状態になっている場合すらあります。そのため、経営者がDXを望んでも、膨大なコストがかかる上に、業務自体の見直しも求められるため、現場サイドの抵抗も大きく、いかにこれを実行するかが課題になっています。
「2025年の崖」を乗り越えれば
日本にとって大きなチャンスに?
「2025年の崖」は多くの企業にとって深刻な課題ですが、前述のレポートには、2025年までの間に、複雑化・ブラックボックス化した既存システムを「見える化」して廃棄や塩漬け(現状維持)にするものなどを仕分け、必要なものについては刷新していくことによって、2030年には実質GDP130兆円超の押し上げを実現するというシナリオが提示されています。経済産業省は2018年12月に「デジタルトランスフォーメーションを推進するためのガイドライン」を公開。企業への具体的な施策の実行を促しています。
とはいえ、2020年1月開催の「第1回 Society5.0時代のデジタル・ガバナンス検討会」で発表されたアンケート結果からは、DXを戦略的に進めている企業は少ないという現状がわかります。DX推進の方針・ビジョンなど策定について「DXの推進に関する方針等を掲げている」と回答した企業は回答企業の28.6%にとどまりました。
しかしこのコロナ禍での在宅勤務導入などにおいて、IT人材の不足やDXの必要性を突きつけられた企業は多いはず。目前に迫る2025年の崖を超えるため、日本全体が本腰を入れて対策しなければならないフェーズに入っていると言えるでしょう。
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記事公開:2020年11月
情報は公開時点のものです