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地下水からの取水が減る「工業用水」。
キーワードはリサイクル技術。

日本の製造業を支え続ける工業用水。
その現状と将来への課題を見てみましょう。

工業用水は日本の水使用量の14%

私たちの生活に欠かすことのできない水の用途は大きく3つに分けられます。
まずは料理、洗濯、風呂、掃除、トイレなど家庭内で使用される「家庭用水」。また、オフィスや飲食店などで業務用に使用される水は「都市活動用水」と呼び、上記2つを「生活用水」と総称しています。生活用水の使用量は、節水意識の高まりなどもあり1998年頃をピークに現在は緩やかに減少しています。
次に農業や林業、畜産業などで使用する「農業用水」。その大部分は水田の灌漑に利用されています。日本で使用される水資源の割合としてはこの農業用水がいちばん多い67%を占めています。
そして3つ目の用途が、この記事のテーマとなっている「工業用水」で、14%を占めています。

日本の水使用比率

出典:平成29年度版 日本の水資源の現況 国土交通省

工業用水の「回収率」は77.9%にも。
向上するリサイクル技術

工業用水とは主に工場などの事業所において、ボイラー、原料用水、製品処理用水、洗浄用水、冷却用水、温調用水などの目的で使用されている水の総称です。
中でも使用水量の多い業種としては、製品の冷却や洗浄が必須となる、化学工業、鉄鋼業、紙・パルプ製造業などがあげられます。
水源としては、技術的に支障のない場合は海水が用いられることもありますが、主に河川水や地下水などの淡水が使われています。
以前は地下水の利用が多かったのですが、枯渇や地盤沈下が問題となり、1956年に制定された工業用水法により河川水への切り替えが政策的に推進されています。
平成28年経済センサスによれば、淡水使用水量が約1億1867万m3/日、海水使用水量が約3688万m3/日となっています。
淡水の使用量には、主に冷却水などで使われる、一度使用した水を回収(リサイクル)して再利用している水量(回収水)が含まれており、使用量全体の中で回収利用している水量が占める割合を回収率と呼んでいます。
工業用水の回収利用は技術の進歩により年々進んでおり、1965年には36.3%にすぎなかった回収率は現在77.9%まで上昇しており、新たに河川や地下水から取水する水量(補給量)は1973年をピークに漸減しています。

工業用水使用量等の推移

出典:平成30年度版 日本の水資源の現況 国土交通省

地下水からの取水を削減しつつ
逼迫の恐れがある水需要の確保が課題

水は私たちが日常的に使用する生活用水だけではなく、国内の農業や産業にとっても欠かすことのできない限られた資源です。
河川水への切り替えや、回収率が上がったことにより以前より割合は減ったとはいえ、地下水からの取水は続けられており、水位の低下による地盤沈下や地下水の汚染などの問題は発生しています。経産省は工業用水法による規制と継続した調査により、地盤沈下等が発生し、工業用水の利用が多い地域を、工業用水道が整備される前提で地域指定したり、地下水の採取を規制したりといった措置を行っています。
また、河川水についても適合地の減少や補償交渉の難航等により、新規ダム建築の工期が長期化する傾向にあるため、今後水需要が逼迫する可能性も否定できません。
とはいえ、淡水化技術の向上で解決できる渇水対策もあります。2005年に運転を開始した福岡市東区にある日本最大級の海水淡水化施設「まみずピア」では1日5万トンの真水を供給しています。また、2014年に国土交通省が策定した「新下水道ビジョン」では、渇水時等に下水再生水を利用するための施設を倍増するという中期目標を掲げています。
自然環境に留意しつつ渇水や自然災害などにも耐えられる供給を維持するためには、工業用水のリサイクル率を現状以上に高めることはもちろん、海水の淡水化や下水・産業排水の再生利用などの技術革新が必須となるため、関係省庁や企業で研究が進められているのです。

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記事公開:2018年10月
情報は公開時点のものです