「受動的な時間」から抜け出せない! その原因となる「ランダムな報酬」とは。
前回は、自分の生活パターンを振り返って、ムダな時間を洗い出しました。ダラダラとスマホを触ったり、動画を観たりする「受動的な時間」はできるだけ減らしたいもの。そこで今回はつい意味もなく過ごしてしまう時間を、自己研鑽につながる「能動的な時間」に切り替えるコツをお伝えします。
興味深い情報がインターネットでいつでも気軽に得られる現代。スキルアップや仕事のためには有用な手法ですが、一方で、必要以上に時間を取られ、結果としてムダな時間を過ごしてしまっている人も少なくありません。仕事や勉強に必要な資料を探していたのに、気づけば関係のない動画やSNSを見ていた……なんて経験はないでしょうか。能動的に始めた時間もうっかりすると、受動的な時間に切り替わってしまいかねません。
このような行動原理は、研究によっても明らかになっています。アメリカの心理学者のマイケル・ゼイラーが1970年代に次のような実験を行いました。ボタンをつつくとエサが出てくる箱を用意し、その中にハトを入れ、様子を観察。するとハトは、必ずエサが出てくるときよりも、エサが出る確率を50〜70%に設定したときの方が熱心につついていたというのです。このことから、ゼイラーは「脳は決まったパターンで与えられる報酬よりも、予期しないときの報酬に喜びを感じる」ことを証明しました。たまに大きな当たり、つまり「ランダムな報酬」があるからこそ、より強く興味を惹かれるということです。
これは現代のネットサーフィンや動画のダラダラ鑑賞にもつながる原理と言えるでしょう。有益な情報を求めてインターネットで調べ始めても、出合うものすべてが有益とは言えません。しかし、時には探していた情報や意外なコンテンツに出合える(ランダムな報酬)ことがあるため、なかなかやめられなくなってしまうのです。
また、ネットサーフィンなどの受動的な時間は、お酒を飲みながら、お菓子を食べながらと、「ながら作業」でできてしまうため、特に目的もないままダラダラと過ごしてしまいがちです。ある研究によると、目的を持って能動的に楽しむときと比べ、なんとなくの惰性で過ごす時間は幸福感が低くなるという結果が出ていますが、ランダムな報酬に出合える受動的な時間は、依存性が高いため、なかなか抜け出せずに時間をムダにしてしまうのです。