時間をかけたからといって、必ずしも良い選択ができるわけではない?
やるべきことが増えたとしても、時間は限られているもの。ムダをカットできれば、その分の時間を有意義な行動にまわせるはずです。日常生活において、なるべくカットしたい時間としては、「悩んでいる時間」「探し物をする時間」「後悔している時間」などが挙げられるでしょう。そこで今回は、仕事中に特に費やしてしまいがちな「悩んでいる時間」にスポットを当て、上手な減らし方と判断力を高めるコツをお伝えします。
最適な判断をしようと何度も考えを重ねるほど、あっという間に時間は過ぎてしまうものです。「もっと良いアイデアがあるのではないか?」「本当にこれでいいのか?」などと迷っているうちに、予定以上の時間がかかってしまった経験は、誰しも一度はあるのではないでしょうか。
しかし、残念ながら“かけた時間”と”判断の中身“に相関関係はありません。つまり、長時間練って生み出した答えが必ずしも「正しい」わけではないのです。マーケティングに関する多数の著書を持つジャーナリストのマルコム・グラッドウェル氏によると、「時間をかけて下した判断だから正しいはず」と感じるのは錯覚に過ぎないといいます。
80人の学生の性格を外向性や協調性など5つの項目から分析し、どのような傾向があるか探ります。その結果を彼らの親しい友人と、全く面識のない他人がそれぞれ予想するという実験があるのですが、意外にも5つの項目のうち3つについては、他人の予想の方が分析結果に近いものになりました。実は、他人のグループにはそれぞれの学生の部屋を見せ、その上で予想させていたのです。それだけで、被験者である学生と長い時間を過ごしている友人の予想よりも“正解”に近づくことができました。判断する際に重要なのは“時間をかけること”ではなく、“短時間であっても、適切な情報に基づいて考え、判断すること”だということを裏付ける実験と言えるでしょう。