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日々を充実させる!タイムマネジメントの技術

24時間を上手に使って、仕事もプライベートも充実させるコツを紹介します。
vol.6

仕事モードへ上手に切り替え、
パフォーマンスを向上させる!
朝の時間の賢い過ごし方。

充実した時間を過ごすなら朝が最適

本連載ではこれまで、ムダな時間を減らすための方法や、仕事時間のデザインプライベート時間を充実させるための手法をお伝えしてきました。今回注目するのは朝の時間の活用法です。

どんなに仕事ができる人でも、1日中高いパフォーマンスを保てるわけではありません。米国の心理学者ロイ・バウマイスター氏によると、何かを決断するような“意志力”が最も高いのは、1日の始まり。時間が経ったり、何かしらの選択を重ねたりすることによって意志力は弱まり、結果として決断するのに時間がかかったり、パフォーマンスが落ちたりしかねないと指摘しています。

朝の時間を有効活用し、1日の仕事時間を上手にマネジメントするために重要なのは、自分のすべきことを、「ディープワーク(集中して考えることや、高い判断力が求められる作業)」と、「シャローワーク(事務的な作業)」に分け、それぞれ適切な時間に行うことです。先述のように判断力や集中力は徐々に落ちていくため、重要な案件であるディープワークを午前中に設定すると、より早く、より高いパフォーマンスを残せるでしょう。一方、夕方はあまり思考力を必要としないシャローワークに充てることをおすすめします。

また夕方以降はいわば意志力が低下した状態。そのため、残業で取り組む仕事は、午前中に比べて大幅に時間がかかってしまいます。情報処理能力が高まっている朝に行う方がはるかに効率的です。残業することでやりがいや会社に貢献した充実感を得られる方もいるかもしれませんが、本来、仕事の評価は「結果」でなされるものであり、「かかった時間」で判断されるものではありません。集中力が落ちたまま時間を引き延ばすだけでは、生産性は上がらず、プライベート時間も削られてしまい、幸福度の高い人生とは程遠いものになってしまいます。

心理学者アンダース・エリクソンは、成功を収めている人のパフォーマンスを科学的に分析した結果「人が集中力を発揮できるのは、1日におよそ4時間」としています。作業をダラダラと引き延ばしても、集中力は低下していく一方。疲弊した状態で仕事を続けると、翌日にも支障が出ます。このようなことからも、力を発揮できる朝の時間にタスクを集約して、オーバーワークは避けるよう心がけてみましょう。

朝いちばんでもやる気を出すには

朝は効率よく作業ができるとはいえ、すぐに仕事モードに切り替えるのは容易ではないでしょう。そんな時のコツは、最初に手をつける仕事に、すぐ終わるタスクを選ぶこと。つまりシャローワークを導入に使うといいでしょう。最初からひとつの作業に時間をかけすぎると、モチベーションは低下していくものです。ハードルの低い簡単な作業をこなした達成感によってはずみがつき、思考力を必要とするディープワークにも取り組みやすくなります。例えば、スタンプラリーを想像してください。ひとつを「終える」ことが、次のポイントに向かう活力になりませんか?

「やり終えた」という達成感を得て、ディープワークに取り組みやすくするために、TO DOリストを活用するのもおすすめです。リストに完了のマークをチェックする時、人の脳からはドーパミンが出て、ある種の快楽を感じます。その快感を求めて、次のTO DOを進めたいとモチベーションが上がるのです。これを「完了バイアス」といいます。何かをやり遂げることで意欲が向上し、その結果、次の挑戦に踏み出しやすくなります。ドーパミンには注意力、記憶力を高める効果もあるため、脳を大きな仕事に取り組むのに最適な状態にしてくれます。さらにTO DOリストは、目に見える形で進捗を意識することができるので、仕事のモチベーションアップに有効な手段といえるでしょう。

■ やる気を出すTO DOリストの活用法

スムーズに仕事時間へ繋げるコツは、脳を活性化させるルーティン?

朝起きてからの時間をいかにスムーズに仕事時間へ繋げるかは、“何をするか”によって変わります。朝から高いパフォーマンスを発揮するには、脳を活性化させておくことが大切ですが、頭は使えば使うほど判断力が落ちてしまいます。そこでおすすめなのが、思考力は極力使わずに脳を刺激するルーティンを作ること。ウォーキングやヨガなど、起床から仕事にとりかかるまでの時間で習慣化してできることや、自身のモチベーションが上がることを考えてみてください。

自分に最適なルーティンを考えるには、自分のライフスタイルに合わせてなるべく細かく朝の時間をシミュレーションするのがポイント。あまり頭を使わなくても実現可能な作業を「ルーティン・メモ」として書き出してみましょう。最初はメモを見ながらただこなすことができれば、負担にならず次第に習慣として身につくはずです。考えごとや判断を要するものでなければ、脳のエネルギーは保たれたまま。頭がクリアな状態で仕事をスタートすることができます。

特にルーティンとして私がおすすめしたいのは、「体を動かす」ことです。体を動かすことで、脳が刺激され、モチベーションアップに繋がります。具体的には「20分以上の有酸素運動」が脳を活性化させると言われています。医学博士のアンダース・ハンセン氏が提唱する理想的な心拍数は「自身の最大心拍数(220-年齢)の70~75%」。筋肉を使って体に負担をかけることで、ドーパミンやアドレナリンが出るそうです。

20~30分で、疲労感なく行いやすいのはランニングやジョギング、エクササイズ。きっと体を動かした後は、活力を感じられるはずです。これは体を鍛えるためのトレーニングではありません。仕事への意志を高める心身の準備と考えてください。疲労感ではなく、達成感や心地よさを感じる程度で行うことが大切です。運動後に眠気を感じたり、疲労感で仕事へのモチベーションが湧かなかったりするようでしたらやりすぎかもしれません。調整しながらルーティンに組み込んでいきましょう。

また、朝の運動はスムーズな仕事への導入であるとともに、日々のストレスを軽減するという副効用もあります。心身の健康を維持することが結果として仕事へのパフォーマンスにもよく働くとも言えるのです。とはいえルーティンが負担になってしまっては本末転倒です。ウォーキングやヨガ、ピラティスなど、自身の健康状態や体力によって調整してください。

起床後は、睡眠によって判断力や意志力が高まった状態。せっかくなら、そんな朝の時間を活用して、上手に仕事時間へ繋げたいものです。モチベーションを上げる方法や仕事前のルーティンは、先述のことを意識して自分に合うものを見つけてみてください。朝から充実した時間を過ごすことで、1日の充実度も高まるでしょう。

充実した時間を過ごすためのポイント

頭を使う仕事は、朝のうちに。
簡単なタスクや体を動かすルーティンで
モチベーションを上げ、仕事時間へ繋げよう

PROFILE

池田 貴将
池田 貴将いけだ・たかまさ
株式会社オープンプラットフォーム代表取締役。リーダーシップ・行動心理学の研究者。大学在学中にアメリカへ行き、コーチング・目標達成・モチベーション理論を学び、起業。科学的根拠に基づいた独自メソッドを開発。著名人を含む、年間1万人以上がセミナーに参加し、高い評価を受ける。著書に『タイムマネジメント大全 24時間すべてを自分のために使う』(大和書房)、『覚悟の磨き方 超訳 吉田松陰』(サンクチュアリ出版)、他多数。

記事公開:2023年6月