充実した時間を過ごすなら朝が最適
本連載ではこれまで、ムダな時間を減らすための方法や、仕事時間のデザイン、プライベート時間を充実させるための手法をお伝えしてきました。今回注目するのは朝の時間の活用法です。
どんなに仕事ができる人でも、1日中高いパフォーマンスを保てるわけではありません。米国の心理学者ロイ・バウマイスター氏によると、何かを決断するような“意志力”が最も高いのは、1日の始まり。時間が経ったり、何かしらの選択を重ねたりすることによって意志力は弱まり、結果として決断するのに時間がかかったり、パフォーマンスが落ちたりしかねないと指摘しています。
朝の時間を有効活用し、1日の仕事時間を上手にマネジメントするために重要なのは、自分のすべきことを、「ディープワーク(集中して考えることや、高い判断力が求められる作業)」と、「シャローワーク(事務的な作業)」に分け、それぞれ適切な時間に行うことです。先述のように判断力や集中力は徐々に落ちていくため、重要な案件であるディープワークを午前中に設定すると、より早く、より高いパフォーマンスを残せるでしょう。一方、夕方はあまり思考力を必要としないシャローワークに充てることをおすすめします。
また夕方以降はいわば意志力が低下した状態。そのため、残業で取り組む仕事は、午前中に比べて大幅に時間がかかってしまいます。情報処理能力が高まっている朝に行う方がはるかに効率的です。残業することでやりがいや会社に貢献した充実感を得られる方もいるかもしれませんが、本来、仕事の評価は「結果」でなされるものであり、「かかった時間」で判断されるものではありません。集中力が落ちたまま時間を引き延ばすだけでは、生産性は上がらず、プライベート時間も削られてしまい、幸福度の高い人生とは程遠いものになってしまいます。
心理学者アンダース・エリクソンは、成功を収めている人のパフォーマンスを科学的に分析した結果「人が集中力を発揮できるのは、1日におよそ4時間」としています。作業をダラダラと引き延ばしても、集中力は低下していく一方。疲弊した状態で仕事を続けると、翌日にも支障が出ます。このようなことからも、力を発揮できる朝の時間にタスクを集約して、オーバーワークは避けるよう心がけてみましょう。