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日々を充実させる!タイムマネジメントの技術

24時間を上手に使って、仕事もプライベートも充実させるコツを紹介します。
vol.9

“整った環境”が効率の良さに!
必要以上のムダな時間を生まない暮らし方。

1年で150時間も? 想定よりかかっている探し物の時間

ふだん仕事している机の周囲を見てください。どこに何があるか、すぐにわかる環境でしょうか? 実はデスク周りの環境も、時間の有効活用に影響を及ぼす一要因。例えば、必要な資料が見つからず仕事を中断して数分探すような経験があれば、少なからずムダな時間を費やしてしまっているのです。

プロジェクト管理のコンサルタント、リズ・ダベンポート氏は、著書『気がつくと机がぐちゃぐちゃになっているあなたへ』の中で、人は「探し物をするために年間150時間を費やしている」ことを指摘しました。探し物をしている間は実質的に作業時間が奪われるだけでなく、気が散る要因にもなりかねません。せっかく仕事が捗っていても「あの資料はどこだろう?」と探すことで作業が中断され、集中力が途切れてしまいます。

年間150時間というと、1年のうち約1週間。忙しいビジネスパーソンにとっては貴重な時間に違いありません。休みを取ることも、もっと企画案を練ることもできたかもしれません。「あと1時間あれば、もっと挑戦できたのに……」と思うことが多い人なら、150回分挑戦できたといえるでしょう。着目すべきは“片付いてさえいれば得られた時間”です。今回は、ムダな時間のカットにつながるポイントをお伝えします。

作業スペースを整えて、探し物をする時間をなくす

根本的な解決策としては「探し物をしない環境に整えること」です。まずは物理的に「モノを減らす」ことから考えてみましょう。コツは2つ。「使わないまま6ヶ月以上保存しているものは捨てる」ことと「後で使おうと思っているものはデータ化する」ことです。

一般に、溜め込みやすいものとして紙の書類や書籍が挙げられます。紙の書類や書籍は、置く場所がなくなったら多すぎるサインです。収納すべきところに入りきらなくなったら見直してください。その場合、いったん使い終わった書類や読み終わった本は、データにして保管すれば、紙を溜め込むことはなくなるでしょう。

特に書籍はデータ化すると、検索しやすく持ち歩く必要もなくなるので、意外と便利なものです。データ化する際には、本を送るとPDFにしてくれる有料サービスを使うことをおすすめします。データ化した後は、紙の書籍は必要な人に譲ったり、売るなどすれば知識の共有など有効活用できるでしょう。ただしサービスの種類によっては、書籍は裁断されてしまうものもあるので、注意してください。自身の利用頻度(冊数)などによっていろんなサービスを比較しましょう。

またデータだからといっていくらでも増やしていては、不要なものまで溜め込みかねません。データ化されて探しやすいとはいえども、パソコンやスマホの容量の多くを占めるような場合には、整理するようにしましょう。

理想的なのは、どこに何があるかをしっかり把握できている状態。引き出しや机の上、本棚、パソコンの中などから、ほしい書類や本がすぐに取り出せることを目指しましょう。

作業が邪魔されず集中できる環境を

米国カリフォルニア大学のグロリア・マーク博士の研究によると、一般的なビジネスマンは3分おきに、何らかの理由で作業を中断されてしまっているそうです。特に近年は、メールやチャットの通知など、集中状態を邪魔する、あらゆる情報が身の回りにあふれています。第4回でもお伝えしたように、一度、集中が途切れると元のように集中するには約25分もかかります。積み重なると大きなタイムロスにつながりかねません。

そこで、意識してほしいのが「気が散らない環境を作ること」です。目に入る情報が多いほど集中力は削がれるため、何かに取り組む際には作業に必要なもの以外は排除すること。ふと目についた資料や本、画面から、「あれはどうなっていたか?」など、今していることとは別のことが気になってしまうことはないでしょうか。このように視覚情報は想像以上に人の時間を奪ってしまうのです。「気が散らない環境」作りは、「机の上」と「パソコン画面」の整理にポイントがあります。

まず優先してほしいのは仕事机の環境です。デスクには取り組むタスクに関するもの以外は置かないこと。一時的にでも構いません。別の場所に移すなどして、目の前のことだけに集中できる状況を作ってください。

タスクに関するものの中でも、使用頻度が低いものは収納場所を決めて、そこにしまっておくのがおすすめです。例えば、パソコンやタブレット、仕事に使う資料、ペン類はいつでも手に取れるデスクの上。それ以外の資料は本棚に、あまり使わない筆記用具は引き出しの中に、と決めた場所に収納しましょう。収納を上手に活用できれば、集中力を高め、さらには生産性の高い作業にもつながるでしょう。

収納のポイントは、“自分にとっての理想的な状態”をイメージすること。よく使うものが手前にあって取りやすい状態がよいのか、それとも中身を一目で把握したいのかなど、優先度がわかればどう整理するべきかが見えてくるはずです。

さらにパソコン画面もチェック。いま取り組んでいる仕事に関係のないタブがいくつもあったり、不要なウィンドウが開いていませんか? これらは気が散る要因になりかねません。できれば作業中はそれらを一度閉じてしまい、余計な情報が視覚情報として入らないように、必要なウィンドウのみを全画面表示にして取り組んでください。

■ 作業効率を高めるデスク環境の作り方

このように自ら集中できる環境を整えれば、ムダな時間は減ります。微々たる努力も、重ねれば大切なひとときを生み出しますし、そのひとときは幸せなプライベート時間となるかもしれません。

充実した時間を過ごすためのポイント

探し物をしない“自分にとっての最適な環境”
かつ邪魔されない“集中できる環境”に整え、
ムダな時間が生まれる要因をなくそう

PROFILE

池田 貴将
池田 貴将いけだ・たかまさ
株式会社オープンプラットフォーム代表取締役。リーダーシップ・行動心理学の研究者。大学在学中にアメリカへ行き、コーチング・目標達成・モチベーション理論を学び、起業。科学的根拠に基づいた独自メソッドを開発。著名人を含む、年間1万人以上がセミナーに参加し、高い評価を受ける。著書に『タイムマネジメント大全 24時間すべてを自分のために使う』(大和書房)、『覚悟の磨き方 超訳 吉田松陰』(サンクチュアリ出版)、他多数。

記事公開:2023年11月