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実践! ビジネスボイトレ講座


仕事の成果につながる、「いい声」を手に入れる方法を紹介します。

vol.10 重要なポイントを伝えたい!
そんなときに効果を発揮する話し方とは。

相手の印象に残る話し方の“裏ワザ”!? 「ハメタメ法」とは?

前回の記事で、いつでも腹式呼吸で発声しながら話せるようになるコツとして、「単語の頭で息を強く吐く」という方法を紹介しました。

つも 世話に って ります」
た ひ んか せて ださい」

といったように、単語(またはフレーズ)の頭のところ(太字・下線部分)で息を強く吐くと、そのポイントで自然と腹式呼吸になりやすいので、後に続く言葉もスムーズに発声できるようになります。

実はこの方法は、腹式呼吸を持続させるだけでなく、相手に何かを伝えるとき、特に強調したいポイントを印象づけるときにも役立ちます。

単語の頭で息を強く吐くことを、ボイストレーニングでは「ハメる」と言います。

この方法を、「タメる(大事な言葉の前に少しだけ間を空けるテクニック)」と組み合わせることで、話の大事なポイントを印象づけることができるのです。「ハメる」と「タメる」を組み合わせるので、この話し方は「ハメタメ法」と呼ばれています。

「ここだけは理解してほしい」というポイントに絞って使う

では、早速やってみましょう。まず、次の文章を声に出して読んでみてください。

「では明日の3時半に、品川駅の港南口でお待ちしています」

普通に読んだだけでは、サラッと聞き流されてしまい、大事なポイントが相手の記憶に残らない可能性があります。

後から「何時だったっけ?」とか、「何口で待ち合わせだったでしょうか?」と確認の連絡が来るかもしれません。

そこで、「ハメタメ法」を使います。

「では明日の3時半に、(……)[ながわ]駅の[うなん]口でお待ちしています」

「このサプリメントは、(……)[よう]と[んこう]をサポートします」

(……)の部分で間を取り、重要な単語の頭で息を強く吐く(太字・下線部分)だけで、ぐっと伝わりやすくなり、相手の印象に残りやすくなります。

間を空ける長さは、1秒程度で構いません。つばを飲み込むぐらいの時間を空ければ十分です。

この話し方のポイントは、あまり使い過ぎないことです。普段の会話でずっと「ハメタメ法」を意識しながら話をすると、不自然な印象を与えてしまいますし、伝えたい言葉がほかの言葉に埋もれて、むしろ相手の印象に残りにくくなってしまいます。

「ここだけは理解してほしい」「これだけは伝えたい」というポイントに絞って使うことで、「ハメタメ法」の効果が発揮されるのです。

また、スピーチやプレゼンなど、大勢の人の前で話すときには、タメを長く取るようにすると、次に発する言葉への関心や期待が高まりやすくなります。

聞き返されることが少なくなる!? 印象に残りやすい話し方とは?

自然な腹式呼吸で、力強く、聞き取りやすい声が出せるようになることは、すでに解説しました。

さらに、腹式呼吸で強く息を吐くように発声すると、大きな声が出せるようになり、相手の印象に残りやすくなります。

スピーチやプレゼンなどで、大きな声を出せる人を羨ましいと思ったことはありませんか? 同じような話をしていても、声が大きい人の方が聞き取りやすく、不思議と惹きつけられてしまいますし、説得力もあるように感じます。

反対に声が小さいと、よく聞き返されたり、聞き取りにくかったりするので、印象に残りにくく、相手に伝わらないということになりかねません。

腹式呼吸で強く息を吐くように発声することで、相手に伝わりやすく、重要なポイントが印象に残る、大きな声が出せるようになります。練習方法としておすすめなのは、次のような英語の単語を発音するやり方です。

DOG」「FOX」「CAT」「PIG」
※「太字・下線」の付いたところで、息を強く吐く。

聞き返されない大きな声が出せるようになるトレーニング方法

おなかに手を置いて、発声したときにおなかが少しへこんでいるかを確認しながら、単語の頭で息を強く吐いて発声してください。何度か繰り返すと、腹式で発声する感覚がつかめるはずです。

ちなみに、3文字の英単語の理由は、短い単語の方が瞬間的に息を強く吐くことができるからです。加えて、DOGのDは舌先が上あごの前につき、FOXのFは唇を噛み、CATのCAはのどの奥を開けて発音し、PIGのPは唇を使うので、それぞれ表情筋を使ったり、舌を使ったりと、顔や口周りの筋肉を刺激することができます。

このトレーニングを行う際は、大きな声を出そうとするあまり、息を吸い過ぎて、首や肩の周りに力が入ってしまわないように注意しましょう。力が入り過ぎると、のどが締まって、いい声が出にくくなってしまいます。肩や首、胸のあたりをリラックスさせることを意識しながら、試してみましょう。

「いい声」になるためのコツ

重要なことを伝えるときは
「ハメタメ法」で。
腹式呼吸で強く息を吐くと声が大きくなり、印象に残りやすくなる

PROFILE

秋竹 朋子
秋竹 朋子あきたけ・ともこ
ビジネスボイストレーニングスクール「ビジヴォ」代表。東京音楽大学ピアノ演奏家コース卒業。ビジヴォの代表として、「声」「話し方」に問題を抱えるビジネスパーソンの指導を実施。音楽家・声楽家ならではの聴力と技術を駆使した、日本初「超絶対音感」によるボイストレーニングが話題を呼び、TVほかマスコミ出演も多数。東京を拠点に全国各地で企業研修やセミナーを行う。著書に『1分間声トレ』『ビジネスがうまくいく発声法』など。

記事公開:2023年7月