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実践! ビジネスボイトレ講座


仕事の成果につながる、「いい声」を手に入れる方法を紹介します。

vol.15 脱・ダラダラスピーチ! その2
「抑揚」と「間」をマスターする。

聞き手を引き込む話し方とは?

前回に続いて、スピーチやプレゼンでの話し方にメリハリを利かせる「脱・ダラダラスピーチ!」のテクニックを紹介します。

「つい、話がダラダラしてしまう」と悩んでいる方に、今回ぜひ身に付けてほしいテクニックは2つ。話し方に「抑揚」をつける方法と、うまく「間」を取る方法です。

日常会話の中で「抑揚」や「間」を意識しながら話をすることはあまりないと思いますが、声の高低や強弱など「抑揚」の有無によって、聞き手への伝わり方は変わってきます。また、「間」の空け方ひとつで、話の内容が伝わりやすくなることもあれば、反対に聞き手がおいてけぼりにされているような印象を受けることもあるでしょう。

伝わりやすい話し方をするために大切なのが、「抑揚」と「間」のちょっとした使い方です。これらを取り入れれば、話し方にメリハリがつき、ボイストレーニングで磨いた「いい声」がより生かされるでしょう。

原稿を作っておけば「抑揚」も思いのまま

まずは「抑揚」のつけ方です。

いろいろな方のスピーチを聞いていると、抑揚のある話し方をする人の言葉ほど、「自然に耳に入ってくる」と感じるのではないでしょうか? 逆に、抑揚のないスピーチは、耳や心に引っかからず内容が入ってこないため、何となく退屈な印象を受けてしまうものです。

あまりにも抑揚がなさすぎると、言葉をしゃべっているというよりも、例えばピアノの同じ音を連打されているようにすら聞こえて、何となく耳障りに感じたりすることもあります。

言葉は音楽と同じです。音の高低や大小、リズム感がある音は耳に心地よく聞こえ、反対にそうした変化のない単調な音は退屈に感じてしまうのです。つまり、スピーチをするときも、歌を歌ったり、音楽を奏でたりするのと同じように、音とリズムの変化を付けることが大切。それが「抑揚」となるわけです。

では、抑揚のつけ方について具体的に説明しましょう。

音楽を奏でる場合、「出だしは小さく、クライマックスは大きく」といったように、曲全体の中で抑揚をつけるのが通例です。その一方、小節などの小さな「区切り」の中でも、音を急に大きくしたり、リズムを変えたりする細かな表現が行われます。それと同じように、スピーチにおける抑揚のつけ方も、「スピーチ全体」と「個々の文章の読み方」のそれぞれにとって最適な方法があります。

まずは、「スピーチ全体」で抑揚をつける方法です。

スピーチの出だしは落ち着いたトーンで。中盤はやや声を大きくして、感情を込めて話してみましょう。そして終盤には、また落ち着いたトーンに戻って締めくくります。この抑揚のつけ方を意識するだけでも、スピーチ全体の印象はずいぶん変わるはずです。

次に、文章の1つひとつに細かく抑揚をつける方法です。

本連載では、声のメリハリのつけ方や、息継ぎの方法などについて説明してきましたが、それらのテクニックをまとめて活用します。

まずは、スピーチの原稿(台本)を用意し、そのポイントとなるところに次のようなマークを書き込んでください。

  • 単語の頭でしっかり息を吐くところは、「〇」をつける
  • 音量は「大」「小」のマーク
  • 強調したいところは「□」で囲む
  • ゆっくり話すところは波線(~~~)
  • 語尾を上げるところは斜め矢印(⤴)
  • リズムをつけるところ、間を置くところはブレス(V)のマーク

実際にマークを書き込んだ原稿の例は、以下の通りです。

抑揚をつけるためのマークを記載した原稿例

つまり、原稿を音楽でいうところの「楽譜」に見立てて、抑揚記号を付けておくのです。本番の前に何度か練習をしておくと、より自然に抑揚がつけられるはずです。

思わず聞き入りたくなる「間」の取り方

次に、スピーチにメリハリを利かせる「間」の取り方について説明します。

人前でスピーチをする際には、どうしても緊張して、早口になってしまいがちです。早口になると言葉を噛みやすくなりますし、つい「えー」「あー」といった余計なつなぎ言葉が出てしまいます。しかも、一本調子の早口スピーチでは、聞き手はどこがポイントなのかがよく分かりません。その結果、抑揚のないスピーチと同じように退屈な印象を与えてしまうのです。

そこでおすすめしたいのが、話の途中で「間」を取る方法です。

フレーズごとにきちんと間を取れば、たとえ緊張していても、早口にならず、噛んだり言い間違えたりすることも減らせます。

どれくらいの長さで間を取ったほうがいいのかは、聞き手の人数によって異なります。聞き手が10人から数十人ぐらいなら、1秒程度でいいでしょう。演台があるのなら、指で演台をトンと軽く1回たたく程度の間隔です。演台がなければ、自分の膝のあたりを軽くたたけばいいでしょう。

また、きちんと間を取ると、1つひとつのフレーズをはっきりと発音できるため、相手も聞きやすくなります。さらに記憶にも残りやすく、話に変化を感じられて飽きにくくなるでしょう。

「抑揚」のつけ方と「間」の取り方に配慮するだけで、自分が思っている以上に相手を引き込むスピーチをすることができます。ぜひ、一度試してみてください。

「いい声」になるためのコツ

ダラダラとした話し方や早口では
聞き手が退屈に感じてしまう
「抑揚」のつけ方と「間」の取り方に配慮しよう

PROFILE

秋竹 朋子
秋竹 朋子あきたけ・ともこ
ビジネスボイストレーニングスクール「ビジヴォ」代表。東京音楽大学ピアノ演奏家コース卒業。ビジヴォの代表として、「声」「話し方」に問題を抱えるビジネスパーソンの指導を実施。音楽家・声楽家ならではの聴力と技術を駆使した、日本初「超絶対音感」によるボイストレーニングが話題を呼び、TVほかマスコミ出演も多数。東京を拠点に全国各地で企業研修やセミナーを行う。著書に『1分間声トレ』『ビジネスがうまくいく発声法』など。

記事公開:2024年4月