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実践! ビジネスボイトレ講座


仕事の成果につながる、「いい声」を手に入れる方法を紹介します。

vol.02 「腹式呼吸」が簡単に身に付く方法とは?
これでハキハキとよく通る声に!

おなかの筋肉を使って、息を深く吸い込むのが「腹式呼吸」

前回、いい声を手に入れるためのポイントとして、「腹式呼吸で話すこと」と「声帯を鍛えること」の二つを挙げました。

このうち今回は、「腹式呼吸」で話すためのトレーニング方法について紹介します。「腹式呼吸」は、相手に伝わりやすい声を出すための「基本中の基本」とも言えるので、しっかりマスターしてください。

まずは、そもそも「腹式呼吸」とは、どのような呼吸なのかについて解説します。

呼吸には、主に胸の周りの筋肉を使って息を吸ったり吐いたりする「胸式呼吸」と、おなかの周りの筋肉を使って息を出し入れする「腹式呼吸」の二つがあります。

前回も説明したように、私たち日本人は、「胸式呼吸」を使って話すことが多く、どうしても「浅い声」になってしまいがちです。

人間の発声は、肺から空気を出し、その空気が声帯を震わせることで音が出るというメカニズムになっています。

「胸式呼吸」では、胸のあたりの狭い範囲の筋肉だけで空気を出し入れするので、肺に多くの空気を入れられません。そのため、吐く息の量も少なくなり、声帯の振動も弱くなってしまいます。これが、「浅い声」や「か細い声」の原因です。

「人によく聞き返される」とか、「声が通らない」と悩んでいる人のほとんどは、「胸式呼吸」で発声してしまっています。

一方、「腹式呼吸」は、おなかの筋肉も使って息を深く吸い込むので、空気をたっぷりと肺に取り込むことができます。その分、吐く息の量も多くなり、声帯がよりしっかり振動して、人の耳に聞き取りやすい声が出せるようになります。

声が通りやすく、ハキハキした印象の人は、「腹式呼吸」が自然と身に付いているのです。

「腹式呼吸」を身に付けると、ダイエットの効果も期待できる!?

ちなみに、「腹式呼吸」を身に付けると、「いい声になれる」という以外にもさまざまなメリットがあります。

例えば、ダイエットの効果も期待できると言ったら、つい試してみたくなる人もいるのではないでしょうか。

実際、おなかの筋肉を使って息を吸い込むと、インナーマッスルが鍛えられるので、ウエストのサイズダウンや体の引き締めが期待できます。さらに、インナーマッスルを鍛えることによって代謝がアップすると、肌のトラブルや便秘など、さまざまな体の悩みの解決を促してくれます。

このほか「腹式呼吸」には、自律神経を整えてくれる効果もあると考えられています。

「胸式呼吸」では、吸い込んだ息が肺の奥まで届かないので、肺の中に炭酸ガスなどの不要なものがたまってしまいます。この状態が長く続くと、血液循環が低下したり、自律神経失調症になったりするのです。

これに対し、「腹式呼吸」をすると、肺の奥まで息を吸い込むので、肺の下にある横隔膜が上下運動します。横隔膜には自律神経が密集しているので、「腹式呼吸」をするとそれが刺激され、リラックスできるようになります。

深呼吸をすると、何となく気分が落ち着いたり、すっきりした気分になったりするものです。それこそが、まさに「腹式呼吸」のリラックス効果なのです。

このように、いいことずくめの呼吸法なのですから、この機会にぜひ身に付けてください。

手に「はぁ―――」と息を吐くだけで、「腹式呼吸」が身に付く

「腹式呼吸」には、さまざまなトレーニング方法がありますが、最も簡単な方法を紹介しましょう。

  1. 手のひらを口元に持ってくる。
  2. 寒さでかじかんだ手を温めるイメージで、「はぁ―――」と5秒間、息を吐く。
    これを2回繰り返す。

たったこれだけです。あまりにも簡単過ぎて、拍子抜けしてしまった人もいるかもしれませんね。

でも、この方法で息を吐くと、自然と「腹式呼吸」ができます。

「腹式呼吸」のトレーニング方法

片手をそのままに、もう片方の手をおなかの上に置いてみると、息を吐いたときに、おなかが少しだけへこんでいるのが分かるはずです。これが、おなかの筋肉を使って息を吐き出している証拠です。

このトレーニングのポイントは、息を吸うことではなく、吐くことを意識することです。

しっかりと息を吐き切れば、その反動で自然に息が入ってくるので、吸うことを意識する必要はありません。

道具がいらず、いつでも、どこでも簡単にできる方法なので、思い出したときに最低2回練習してみてください。これを繰り返すうちに、自然と「腹式呼吸」が身に付くはずです。

もう一つ、「腹式呼吸」が簡単に身に付けられる方法を紹介しましょう。

それは、全身の力を抜いて、ただ、

「は―――ぁ……」

と深くため息をつく方法です。
これも、自然に「腹式呼吸」を行っている状態なので、繰り返し行えば、無意識のうちに少しずつ声がよくなるはずです。

ただし、「ため息をつくと、幸せが逃げる」とも言われますので、人前では控え、一人で部屋にいるときなどにするのがいいかもしれませんね。どちらの方法も毎日続けられる簡単な「腹式呼吸」のトレーニングなので、まずは気軽に取り組んでみてください。

「いい声」になるためのコツ

「腹式呼吸」を身に付ければ、
太くて通りやすい声になれる!
まずは息を深く吐くトレーニングを

PROFILE

秋竹 朋子
秋竹 朋子あきたけ・ともこ
ビジネスボイストレーニングスクール「ビジヴォ」代表。東京音楽大学ピアノ演奏家コース卒業。ビジヴォの代表として、「声」「話し方」に問題を抱えるビジネスパーソンの指導を実施。音楽家・声楽家ならではの聴力と技術を駆使した、日本初「超絶対音感」によるボイストレーニングが話題を呼び、TVほかマスコミ出演も多数。東京を拠点に全国各地で企業研修やセミナーを行う。著書に『1分間声トレ』『ビジネスがうまくいく発声法』など。

記事公開:2022年6月