おなかの筋肉を使って、息を深く吸い込むのが「腹式呼吸」
前回、いい声を手に入れるためのポイントとして、「腹式呼吸で話すこと」と「声帯を鍛えること」の二つを挙げました。
このうち今回は、「腹式呼吸」で話すためのトレーニング方法について紹介します。「腹式呼吸」は、相手に伝わりやすい声を出すための「基本中の基本」とも言えるので、しっかりマスターしてください。
まずは、そもそも「腹式呼吸」とは、どのような呼吸なのかについて解説します。
呼吸には、主に胸の周りの筋肉を使って息を吸ったり吐いたりする「胸式呼吸」と、おなかの周りの筋肉を使って息を出し入れする「腹式呼吸」の二つがあります。
前回も説明したように、私たち日本人は、「胸式呼吸」を使って話すことが多く、どうしても「浅い声」になってしまいがちです。
人間の発声は、肺から空気を出し、その空気が声帯を震わせることで音が出るというメカニズムになっています。
「胸式呼吸」では、胸のあたりの狭い範囲の筋肉だけで空気を出し入れするので、肺に多くの空気を入れられません。そのため、吐く息の量も少なくなり、声帯の振動も弱くなってしまいます。これが、「浅い声」や「か細い声」の原因です。
「人によく聞き返される」とか、「声が通らない」と悩んでいる人のほとんどは、「胸式呼吸」で発声してしまっています。
一方、「腹式呼吸」は、おなかの筋肉も使って息を深く吸い込むので、空気をたっぷりと肺に取り込むことができます。その分、吐く息の量も多くなり、声帯がよりしっかり振動して、人の耳に聞き取りやすい声が出せるようになります。
声が通りやすく、ハキハキした印象の人は、「腹式呼吸」が自然と身に付いているのです。