写真館で撮った家族写真物語

PHOTO STORY 01

十二回目の記念撮影

秋田県山本郡  菊池 智子 様

三月末日、長男の大学入学記念に、十二回目の記念写真を撮りました。
最初も長男の誕生百日記念写真でしたが、その時は一応撮っておこうかという程度の気持ちでした。
子どもが生まれて、自分にこんなに愛情が湧くものか、という程我が子の成長や一挙手一投足の全て強烈で、これは生涯目に心に焼きついているはずと思っていました。しかし、次男が生まれると、「こんな重さだった?」「こんなに小さな手足だった?」と、あれ程愛おしかった長男の誕生の時のことすら忘れているのに愕然としました。
記憶の曖昧さを思っていた頃に次男の百日記念を撮りました。スタジオで拝借した着物を着てアップで写っている次男は、親バカですが神々しくすら見え、ついでに写した三才の長男も輝く表情を見せ、その時の精一杯のおめかしをした私たち夫婦と二人の子の家族写真は、スナップ写真では表現できない、家族の歴史の一コマが鮮明に記録されていると思いました。

[写真] 私は写真が好きで、子どもたちの折々の姿をたくさん写してきました。アルバムも百冊ほどです。もちろんそれは大切な思い出の宝庫ですが、十二冊の記念写真は、スナップ写真何十枚よりも鮮やかで凝縮された、私たち家族の瞬間、歩みが残されているようです。
次男の百日記念以降、子どもたち各々の七五三、小、中、高各学校の入学と祝い事の度に大塚スタジオへ行くことが恒例となりました。私のこだわりは、その時の主役の子ども一人写真と四人の家族写真、そしてもう一枚を兄弟二人の写真の三枚組にしてきたことです。兄弟の絆を残しておけたら、と思ったのかもしれません。一番のおしゃれをして、ちょっとポーズを取って、そんな日常と少し違った姿が、不思議とその頃の思い出を鮮やかに蘇えらせてくれるのです。
子どもたちも成長し、四人揃っての記念写真も難しくなってきましたが、次は、次男の大学入学記念を撮ることができますように。