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仕事の効率をアップさせ
信頼度を高めるビジネスメールのポイントを解説します。

仕事が速くなる
ビジネスメール術

仕事が速くなるビジネスメール術

vol.06

どう書けばいい?
“返信がもらえるメール”の秘訣とは。

仕事が速くなるビジネスメール術

返信が来ない「めんどくさそう」なメールの共通点とは

「メールを送ったけど、なかなか返信が来ない……」ということはありませんか? 特に、アポイントメントの日程調整や業務の依頼、上司の決裁を申請しているときなど、相手にアクションを求めているときは返信が来ないと仕事が進まず困ってしまうでしょう。

メールを受信した相手がすぐに返信しないのはなぜでしょうか。考えられる原因の一つに、相手に「めんどくさそう」と思わせるメールを送ってしまっている可能性があります。「返信が来るのは、いつも送信した数の半分くらい」「毎回返信を催促している」という人は、「めんどくさそう」なメールを送っている自分に原因があると考えたほうがよいでしょう。

私自身の経験や多くのメールを添削してきた結果から考えると、「めんどくさそう」と思わせるメールには次のような共通点がありました。

  • 文字がギッシリ詰まっていて読みづらい
  • いくら読んでも結論が見えてこない
  • 相手に何を求めているのか分からない
  • 面識がない相手に一方的に「会いたい」と言っている
  • 関係がこじれそうなので返信したいと思わない

このような理由で「めんどくさそう」「後まわしにしよう」と思われてしまうと、返信をもらうことはできません。返信を確実にもらうには、相手が自分ごととしてとらえ、「このメールには返信しなければならない」と思うようなメールを送る必要があるのです。

確実に返信をもらうコツは、相手に興味を持つこと

では、相手から確実かつ、スピーディーに返信をもらえるメールを作成するには、どのような点を意識すべきなのでしょうか。

まず、先に述べた「返信してもらえないメール」の真逆、つまり「読みやすい」「判断しやすい」「用件が明快」など“分かりやすさ”を追求することが大切です。本連載vol.3vol.4の記事も参考にしてみてください。

また、「相手が返信するメリット」も明確にしておきたいところ。「返信しないデメリット」を加えることができればベストでしょう。

さらに、面識のない相手は返信をもらう難易度が特に高いため、最初のステップで不審に思われたり、一方的な印象を与えたりしないように工夫する必要があります。まずは自分が何者なのかをしっかりと開示すること。次に、メールを送った経緯(理由)を「要旨」で説明します。この部分が明確になっているだけで、相手は警戒心を解き、メールを読み進めてくれるでしょう。

しかし、それだけでは「返信しよう」とまでは思わないかもしれません。例えば、送信者側の一方的な都合しか書かれておらず、受信者側にとってメリットが感じられない場合はその傾向が強くなります。そういったメールは、定型のテンプレートを使い回していることが多く、受信者側からするとその他大勢の企業の中の1社として扱われているようで、メールから「会いたい」という意欲が伝わらないのです。

では、次のようなメールであればどうでしょうか。
「貴社のWebサイトを拝見して、◯◯のサービスの△△という点に興味を持ちました。弊社の●●において、相性が良さそうだと感じております。弊社では、現在□□□というサービスを提供しており、この内容が貴社の△△△の向上にお役に立てると確信しています。一度、詳しいお話をさせていただけませんでしょうか。」

少なくともメールを送る相手の事業内容をリサーチし、コミュニケーションをとろうとする姿勢が伝わってきます。メールは文字だけで構成されるため、感情を表すことが難しいツールです。だからこそ、面識がない相手にメールを送る際は、あなた自身の言葉で、あなたにしか書けない内容を盛り込むことを大事にしてください。

面識のない相手から返信がもらえるメールともらえないメールの違い

仕事が速い人は、面識がない人とのメールに限らず、メールを書く前に相手の会社のWebサイトやSNSなどを一通りチェックして情報収集し、それを相手に伝えています。メールの返信を確実にもらうには、自分に興味を持ってもらう必要があります。そのためには、まずは自分から相手に興味を持つこと。人は自分に興味を持ってくれる人に対しては、意識を向けようとするからです。ただし、さじ加減を間違えると相手から「何から何まで調べ上げている」「毎日監視されているみたい」と警戒心を持たれてしまうかもしれないので、伝え方には注意が必要です。

「開封したい」と思わせる件名をつける

ここまでメール本文についてのポイントを解説してきましたが、そもそもメールを開封してもらえなければ意味がありません。メールを受け取ったときに、開封するかどうかを判断する基準が「差出人」と「件名」です。特に、面識がない人や関係が構築できていない人からのメールは、それだけで優先順位が格段に下がってしまいます。

そこで、重要になるのが「件名」です。件名をつける際に心がけたいのが、相手が「自分ごと」だと思える言葉、相手の興味をひく言葉を使うということです。例えば、一戸建てを探しているお客さんにモデルルームを紹介する場合、件名が「ご案内」だけでは十分な興味を引くことができず、開封してもらえないかもしれません。

相手に「開封したい」と思わせるカギは、自分が知り得る相手に関する情報を盛り込むこと。例えば、過去に接触した際に相手が「◯◯駅近く」「徒歩10分以内」という条件を希望していたならば、件名を「◯◯駅徒歩10分 新築物件のご案内」とすることで、相手は「自分ごと」だと認識し、「メールの本文を読んでみよう」と思うはずです。

だからと言って、件名に何を入れてもいいというわけではありません。例えば、【要返信】と件名に入れる人がいますが、これは相手を不快にさせてしまうことがあります。メールはTOで受け取ったら返信する義務があるという共通認識があるため、あえて強調する必要はないからです。同様に、【重要】【至急】といった言葉も開封の優先順位を上げることはできるかもしれませんが、送信者の都合を押し付けていると受け取られてしまうと、相手からの印象は非常に悪くなるため注意が必要です。

「必ず返信がほしい」「重要であることを理解してほしい」「急いで対応してほしい」といった内容は基本的に本文で書くようにし、必要であれば電話などでフォローするようにしましょう。あるいは、社内やプロジェクトチームなどでのやりとりであれば、「1時間以内の返信が必要な場合は、件名に【至急】と入れる」などとルールを決めておくのもよいかもしれません。

PROFILE

平野 友朗
平野 友朗ひらの・ともあき
一般社団法人日本ビジネスメール協会 代表理事。株式会社アイ・コミュニケーション代表取締役。北海道生まれ。筑波大学人間学類で認知心理学を専攻。広告代理店勤務を経て、独立。ビジネスメール教育の第一人者として、研修などでの講演は年間150回以上、テレビや新聞などのメディア出演は1500以上に達する。官公庁や民間企業など、業種や業態、職種を問わず、幅広い年齢層に向けた指導やコンサルティングを行っている。著書は37冊。

記事公開:2024年2月