図解に苦手意識を持つ大きな理由として、「型」を知らないことが挙げられます。図解には、基本となる6つの型があります。それぞれどのような場合に使用すればいいのか、特徴を見ていきましょう。
基本図解の6つの型
本連載vol.6 で立てた仮説に基づいて収集した情報を図に落とし込むためには、ロジックツリーで整理した情報の関係性を見抜くことが大切です。そのために重要なのが「時間の流れ」と「因果関係」です。情報の関係性に合わせて、6種類の図解の中から適切なものを選びましょう。
(1)「列挙型」:同じ階層の各情報の間に因果関係がない
同じ階層の各情報の間に原因と結果の因果関係がなく、それぞれが独立している場合に適した図解です。列挙するだけですが、多くの場合、この型に当てはまるので使いやすいでしょう。例えば、社内の課題を挙げるときなどに向いています。なお、前回「小見出し」を付けた例として紹介した「今期の売上」スライドは、列挙型です。
(2)「背景型」:1つの結果の背景に複数の原因がある関係
複数の要素が1つの結果の原因になっている場合に適した図解です。列挙型よりも全体像を見せることに向いています。1つの事象の背景に複数の事柄があるとき、例えば、売上低下という結果に対して、考えられるいくつかの原因を挙げる場合などに使用します。
列挙型と背景型の例
(3)「拡散型」:1つの原因が複数の結果につながる関係
1つの原因が時間の流れとともに複数の結果につながる場合に適した図解です。1つの要素が複数の要素に拡散する場合など、波及効果を表します。例えば、インターネットの普及がネットショッピングやネットバンキングの活性化につながったことを示す場合などです。
(4)「合流型」:複数の原因が1つの結果につながる関係
複数の原因が時間の流れとともに1つの結果につながる場合や、複数の要素が1つに統合する場合に適した図解です。拡散型の逆の型になり、因果関係や統合を表します。ポイントは、過去から現在、あるいは未来へと時間が経過していることです。
拡散型と合流型の例
(5)「フロー型」:要素の間に時間の流れがある場合
要素と要素の間に時間の流れがある場合に適した図解です。作業フローや業務フローなど、物事が順番に行われる場合が典型的な例となります。
(6)「回転型」:要素の間に循環の流れがある場合
要素と要素の間に時間の流れがあり、循環している場合に適した図解です。PDCAサイクルや容器リサイクルの流れなど、何かの改善サイクルを示す場合などに向いています。
フロー型と回転型の例
このように、それぞれの情報の関係性によって、6つの型の中から適切な図解が決まります。ロジックツリーを図解することで、読み手は直感的に各要素の関係性を理解できるようになります。