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知っておきたい
医療のはなし

vol.9

より多くの人に受診しやすく
痛くない検査・検診の実現を目指して。

病気は初期に見つけたい。でも、できれば検査は受けたくない――
「痛い」「つらい」といったイメージから、検査を受けるタイミングを逃している人は
少なくありません。こうしたイメージを持たれがちな検査の代表が、「内視鏡検査」と
「マンモグラフィ」です。しかし現在、いずれの検査も、より負担が少なく、
より精度の高い検査の実現を目指して、検査機器や技術は進化しています。
そこで今回は、病気の早期発見に有効な内視鏡検査とマンモグラフィについて、
「痛くない検査・検診」の実現に向けた取り組みを紹介します。

医療機器は進化している!
検査の歴史とは

健康診断でもおなじみの「X線(レントゲン)検査」。体内の状態を調べるためには、外科的に体を切開しなければならなかった時代もありましたが、1895年にX線が発見されて以降、X線は医療に応用され、体を切開することなく、外側から体の内部が観察できる画像診断の歴史が開かれました。

X線検査は、より鮮明な画質を追求し、さまざまな臓器や部位の検査へと拡大、技術は進化していきました。X線を用いた検査として、乳がん発見のためのマンモグラフィ(乳房X線撮影)や、体の輪切り(横断面)画像が得られるCT(コンピュータ断層撮影装置)検査も開発されました。画像診断技術は、磁力と電磁波を利用して画像化するMRI(磁気共鳴画像診断装置)検査、超音波を使ったエコー(超音波)検査などへと広がっています。

一方、胃や大腸など消化器系のがんや病気の早期発見には、体の内側から直接観察できる「内視鏡検査」が開発されました。内視鏡検査の歴史は、1950年以降の胃カメラの開発から始まります。胃内壁を撮影し診断していた胃カメラから、「スコープ」と呼ばれる細長い管の先端に小型カメラやレンズを内蔵し、胃や大腸の内部を直接、リアルタイムで観察することができる内視鏡へと進化を遂げていきました。

対象となる部位によってさまざまなタイプの内視鏡が開発され、ときには治療を行うことも可能となりました。画像もより高画質に、体内へ入れるスコープはより細くなり、その柔軟性を高め、検査時の体への負担を軽減するために進化していきました。食道、胃、十二指腸など上部消化管を検査する内視鏡では、口から挿入する「経口内視鏡」のほかに、鼻から挿入できる「経鼻内視鏡」も開発されました。

より負担が少なく、精度の高い検査へと検査機器や技術が目覚ましく進化している中で、過去において検査中に苦しい思いをした経験のある人や、検査は「痛くてつらいもの」との先入観を持っている人など、検査を受けるタイミングを逃しているケースは少なくありません。今回取り上げる「内視鏡検査」と「マンモグラフィ」は、そうしたイメージを持たれがちな検査ですが、どれくらい進化しているのか見ていきましょう。

体への負担が軽減?
内視鏡検査はどこまで進んでいるか

内視鏡検査は、上部消化管(食道、胃、十二指腸)や下部消化管(結腸と直腸を含む大腸・小腸)の潰瘍、炎症、がん、ポリープなどの有無や程度を内側から直接観察できる検査です。口から挿入する「経口内視鏡検査」と、鼻から挿入する「経鼻内視鏡検査」、肛門から内視鏡を挿入する「大腸内視鏡検査」に分けられます。(「内視鏡検査」については、本連載vol.5もご参照ください)

上部消化管を観察できるのは経口内視鏡と経鼻内視鏡ですが、特に経鼻内視鏡は、挿入部が経口内視鏡に比べて細くしなやかです。さらに内視鏡が舌のつけ根を通らないため嘔吐感が少なく、検査中の会話も可能であるなど、一般的に苦痛が少ない内視鏡検査として普及が進んでいます。麻酔も薬液を塗布した柔らかいチューブを鼻腔に挿入してゼリー状の液体を注入する局所麻酔のため、検査終了後30~60分程度で麻酔から回復することができます。

■経口内視鏡検査と経鼻内視鏡検査の特徴


胃がんは50歳代以降に罹患率が高まります。そのため厚生労働省では、50歳以上では2年に一度は内視鏡検査も含む胃がん検診を受けることを推奨しています。(胃部X線検査については40歳以上、年1回の受診が可能)

一方、下部消化管を観察できる大腸内視鏡検査もその挿入性が向上しています。曲がりくねった腸管や内視鏡の到達が難しかった小腸でも、柔らかすぎず、硬すぎない構造の内視鏡が開発され、スムーズな挿入と腸管の通過が可能になっています。さらに、必要に応じて、スコープの先端にバルーン(風船)を装着し、それを膨らませることで操作性や挿入性が向上したりするなど、より進化しています。

また、異なる種類の光を組み合わせて消化管の粘膜表面に照射し、肉眼では確認できない粘膜表面の模様や血管の輪郭、色調などが強調されるように画像処理をする「画像強調機能」によって、病変の判別をサポートします。これにより、早期がんの微小な病変も見つかりやすく、検査時間のさらなる短縮も可能になっています。

大腸がんにおいても罹患者の急増で、40歳以上では年に一度、定期的な大腸がん検診の受診が推奨されています。便潜血検査で陽性になった場合、大腸内視鏡検査による精密検査を受けることがすすめられています。

検診受診率の向上へ
受診者に優しいマンモグラフィとは

乳がん検診に欠かせない検査といえばマンモグラフィです。乳房専用のX線撮影による検査で、小さな乳がんや、乳がんの兆候である微細な石灰化までも見つけることができ、早期発見に適しています。乳がん予防の観点から推奨されているマンモグラフィの検査頻度は2年に1回。乳がんは30代後半から罹患率が上がることもあり、特に40歳以上の女性に推奨されています。(「マンモグラフィ」については、本連載vol.4もご参照ください)

マンモグラフィの検査では、乳腺を読影しやすいように、2枚の板の間に左右の乳房を片方ずつ、できるだけ薄く挟んで固定します。乳房を圧迫しながら通常、2方向から撮影します。この撮影時に乳房を圧迫して固定されることによる痛みや不快感が、マンモグラフィ検査の受診率が伸び悩む一因とされてきました。

そこで、撮影時の痛みや不快感を減らすために、受診者の痛み低減を目的とした圧迫板が開発されたり、検査時の窮屈さを和らげ、体が触れる部分の痛みを軽減できるような形状になったりとマンモグラフィ機器は進化しています。さらに、被ばく線量の低減も実現しています。

マンモグラフィによる乳がん検診は死亡率の減少につながるとされています。今後、マンモグラフィ機器の進化によって、痛みや不快感の少ない検査としての認識が高まれば、乳がん検診の受診率向上にもつながっていくことが予想されます。

これからも医療分野における検査機器のデジタル化の進展により、さらなる高画質化やAI技術を活用した画像診断、画像処理技術は向上していくでしょう。病気の早期発見、早期治療における正診率の向上や検診の効率化とともに、より痛みの少ない検査を目指して、機器は進化していきます。

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記事公開 2022年12月