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“美肌の敵”というだけではない「紫外線」
意外と知らないその影響とは?

6~8月は、1年間で最も「紫外線」が強くなる時期。
紫外線対策は、毎年夏の恒例の話題になっています。
紫外線の浴び過ぎは、単なる日焼けだけでなく、
さまざまな病気を引き起こすことも。
一方で、殺菌効果などもあり、新型コロナウイルス感染症への
対策として使えないか、研究されてもいます。
今回は、改めて紫外線の性質や特徴、影響などについて解説します。

「紫外線」ってどういう意味?
鳥や虫には見えている?

太陽の光は目に見える光(=可視光線)以外にも紫外線や赤外線など、波長が異なるさまざまな光によって構成されています。可視光線の波長は約400~800nm(ナノメートル)。人間が知覚できる色は波長が短い順から、紫、藍、青、緑、黄、橙、赤へと変化していきます。通常はこれらは一体になっているため、私たちは単なる光として認識していますが、一定の気象条件がそろうとその光が分解されて見えることがあります。それが虹です。「7色の虹」という表現は、文字通り波長が異なる7色の光を表しているのです。

紫外線は、波長が紫の光よりも短い400nm以下で、人間の目で見える範囲外の光。紫外線を英語にすると「Ultraviolet Ray」で、「紫を超えた光線」という意味になります。これを略した言葉が、よく耳にする「UV」です。なお、波長が800nm以上で赤の光よりも長く、人間には見えない光が赤外線です。

ちなみに、人間の目には見えない紫外線ですが、鳥や昆虫には知覚できていると言われています。そのため人間には模様がないように見える花でも、鳥や昆虫には紫外線を反射する蜜の部分などの模様が見えており、それを頼りに飛んでくると考えられているのです。

※1nm=10億分の1m

太陽光と紫外線
環境省「紫外線 環境保健マニュアル 2015」より作図

紫外線の波長は100~400nmで、長さによってUV-A、UV-B、UV-Cの3つに分けられます。UV-Cの波長は、100~280nmで、オゾン層などの大気層によって吸収されるため、地表には届きません。280~320nmのUV-Bも大気層で遮られますが、一部は地表に到達して、日焼けなどの原因になります。UV-Bの健康被害は特に危険視されており、オゾン層の破壊によってUV-Bが地表へ届く量が増えることが危惧されています。320~400nmのUV-Aは、UV-Bほど有害ではありませんが、ほとんどが地表まで到達するため、長時間浴びた場合の健康への影響が懸念されています。

「サンバーン」「サンタン」「光老化」……
紫外線が肌に与える急性・慢性の障害

人体の中でも最も紫外線の影響を受けるのは、やはり皮膚です。その影響には、日光を浴びてすぐに現れる「急性障害」と、長年浴びていることで起きる「慢性障害」があります。急性障害の中でも、最も身近なのが日焼け。日焼けにも、実は「サンバーン」と「サンタン」の2種類があります。サンバーンは皮膚が赤くなる日焼けのこと。日光を浴びた数時間後から赤くなり始め、ひりひりとした炎症を起こします。8~24時間がピークで2~3日で消えますが、強い紫外線を受け過ぎると、水ぶくれになって皮がむけます。日焼けし過ぎたときは、なるべく早く冷たいタオルなどを当てると、症状を多少軽減できます。

一方、サンタンは、急性反応の結果として日光を浴びた数日後から現れる、皮膚が黒くなる日焼けです。紫外線によって色素細胞が刺激され、メラニンがたくさん作られることによって起こり、数週間~数カ月続きます。メラニンは、メラニン色素とも呼ばれる黒褐色の物質で、紫外線や赤外線、可視光線を吸収してDNAが傷つかないように守る働きをします。

紫外線による皮膚の慢性障害としては、まずシミやしわが挙げられます。これらは加齢による老化が絶対的な原因だと思われがちですが、実はそれに加えて紫外線によって起こる「光老化」の影響もあるのです。光老化は、加齢による老化とは異なり、適切な紫外線対策によって防ぐことができます。

また、慢性障害の中には皮膚の腫瘍もあります。紫外線に関連して起こる皮膚の腫瘍には良性と悪性があり、悪性はいわゆる皮膚がんです。皮膚がんは、UV-Bと関連があるとされています。オゾン層の厚さが1%が減少すると地表に届くUV-Bは約1.5%強くなるといわれており、オゾン層破壊が問題視される一因になっています。

実は怖い!紫外線による目の病気は
手術が必要になることも

目も紫外線の影響を多く受けます。急性障害では、強い紫外線を浴びたときに起こる「紫外線角膜炎」があります。結膜の充血や異物感、流涙などの症状があり、ひどくなると強い眼痛も引き起こしますが、これはおおむね24~28時間で自然治癒します。

目の慢性障害には、「翼状片」や「白内障」があります。翼状片は、白目の表面を覆う半透明の膜である結膜が、目頭から黒目の方へ三角形状に入り込んでくる病気で、瞳孔の近くまで広がると視力障害を起こします。農業や漁業の従事者など、屋外での活動時間が長い人に多く見られるため、紫外線が関係すると考えられています。一般的に発症するのは30歳代以上で、進行は早くありませんが、治療には外科手術による切除が必要です。また、2~7%は再発することもあります。

白内障は、目の中でレンズの役割を担う水晶体が濁って網膜まで光が届かなくなり、見え方の質が低下する病気。80以上のタイプがあるといわれていますが、中でも日本人に最も多い、皮質白内障の原因の一つが紫外線です。初期は水晶体が硬くなるため老眼が進行し、濁りが強くなると視力が低下。さらに悪化すると失明します。治療は、混濁した水晶体を眼内レンズに置換する手術を行います。

紫外線の上手な利用法!
カルシウム吸収に新型コロナウイルス感染症拡大防止も!?

ここまでの紹介では、紫外線は人体に完全に有害だと思われるかもしれませんが、実はそうではありません。紫外線は、皮膚でビタミンDを合成する手助けをしているのです。ビタミンDには、主に腸によるカルシウムの吸収を2~5倍程度増加させる働きがあり、丈夫な骨を維持することにもつながります。

ビタミンDは、きのこや魚の脂身などには多く含まれていますが、その他の食品には少ししか含まれません。1日に必要なビタミンDの量である10~25μg(マイクログラム)を食事だけで摂取することは難しく、多くの人はその半分以上を紫外線の効果に依存しているのです。

ビタミンDが不足すると、食事などでカルシウムを摂取しても、十分に吸収することができなくなります。カルシウム不足に陥ると、成人は骨軟化症、成長期の子どもはくる病と呼ばれる骨格異常を発症しやすくなってしまうのです。日本人は、男女共に全世代でビタミンDが足りていないといわれています。特に最近は、新型コロナウイルス感染拡大防止のための外出自粛により、日光を浴びる機会が減少。今まで以上にビタミンD不足を懸念する声も上がっています。

また、冒頭で少し触れたように、紫外線の持つ効果でよく知られているものが殺菌効果です。病院などではスリッパなどの殺菌、給食施設内の殺菌のために、紫外線ランプが使用されています。さらに各国で、紫外線による新型コロナウイルス対策の研究も始まりました。さらなる検証が待たれています。

そのほか、滅菌、乾燥、硬化といった工業の分野や印刷業など、ビジネスシーンにおいても広く活用されており、紫外線は深刻な病気を引き起こす一方で、人が生きていくのに欠かせないだけでなく、現代の生活を豊かにする様々なものに活用されています。紫外線を上手に防ぎ、上手に利用していくことが必要なのは間違いないでしょう。

「紫外線」に関連する富士フイルムの製品・技術

  1. 特定波長カット剤(COMFOGUARD)
    特定の不要な波長(紫外線・可視光線・赤外線)を低着色でカット。幅広い用途に活用できる特定波長カット剤。
    写真の色褪せ防止技術が生んだ不思議な素材とは?
    COMFOGUARD 製品紹介
  2. 光塩基発生剤
    光塩基発生剤(Photo Base Generator)は、UVの照射によってアミンなどの有機塩基を発生する化合物です。
    未知の可能性に「光」を!モノづくりを変える隠れた主役
    光塩基発生剤(WPBGシリーズ)製品紹介
  3. UVインクジェットデジタルプレス
    小ロット、短納期、高い品質と安全性の両立など、厳しい市場ニーズを満たしながら、より戦略的な新たなパッケージ印刷ビジネスを。軟包装印刷は、インクジェットの変革力で、もっと自由になる。
    Jet Press 540WV 製品紹介

記事公開:2020年6月