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日々を充実させる!タイムマネジメントの技術

24時間を上手に使って、仕事もプライベートも充実させるコツを紹介します。
vol.14

工夫次第で鍛えられる
集中⼒を強化するトレーニング法。

集中力は筋肉と同じようにトレーニングで高められる!

仕事や勉強をしているとき、途中で気が削がれてしまうのは「集中力がないから」と諦めていませんか? しかし、集中力はトレーニングによって高められることがわかっています。集中してタスクに取り組めるようになれば、より高い成果が望めるだけでなく、所要時間の短縮にもつながります。今回はその具体的な方法をお伝えしましょう。

体が引き締まった人の筋肉は、必ずしも生来のものとは限りません。そのほとんどは、筋トレをして鍛えた結果ですよね。実は集中力にも筋肉と同じことが言え、トレーニングによって鍛えることができるのです。とはいえ、筋トレの成果が出るまでに時間と労力がかかるように、集中力を高めるにも時間と労力がかかります。トレーニングが面倒になり、つい先延ばししてしまうこともあるかもしれません。そんなときに思い出してほしいのが、本連載第11回でご説明した、「とにかく一歩目を踏み出す」こと。そこで、集中力を鍛えるトレーニングの第一歩としておすすめなのが、「環境を整える」ことです。

本連載の第9回でもお伝えしたように、目に入る情報が多いほど集中力は削がれます。本格的な集中力のトレーニングに入る前に、気が散ってしまう要素を取り除くことから始めてみてください。取り組むタスクに関係ないものは目につくところに置かない、一時的に会議室などの別の場所に移動するなど、目の前のことに集中できる環境に整えることから始めてみましょう。

時間を区切って取り組む ポモドーロ・テクニック

集中しやすい環境が整ったら、トレーニングの開始です。まずは時間を区切って、1つのタスクに集中することから始めてみましょう。人が集中し続ける時間には限度があり、一般的に「深い集中で15分」「ゆるい集中で最大90分」とされています。ただし、集中できる時間は人によって異なるもの。「90分も集中できない!」と思った方も安心してください。そして集中して高いパフォーマンスを保つためには、タスクの合間に適切に休憩をはさむことが必要です。

初心者におすすめしたい方法は、イタリア出身のコンサルタントのフランチェスコ・シリロが考案した「ポモドーロ・テクニック」。タイマーを活用して「25分の作業」と「5分の休憩」を1セット(=1ポモドーロ)にした時間管理術です。ちなみに「ポモドーロ」とは、イタリア語で「トマト」のこと。彼が使っていたキッチンタイマーがトマト型であったことから、この名がついたといわれています。これを4セット終えたら30分程度の休憩を取ります。このように短いスパンで区切りながら作業と休憩を繰り返すことで、疲れにくくなり、結果として長時間集中力を保ったまま作業ができるのです。

■ ポモドーロ・テクニック

25分という時間は、1つのタスクを終わらせるには不十分かもしれません。しかし途中で時間切れになっても、それでいいのです。「あとちょっと」を残した状態で短い休憩を取ると、気になってすぐ続きに取り組めると思います。タスクを終わらせることよりも時間を区切ることを優先し、25分経ったら必ず休憩を取りましょう。

また、ふと他の案件が気になったり、メールをチェックしたくなったりするかもしれませんが、時間内は最初に決めた1つのタスクだけに取り組みます。この誘惑に打ち勝ってこそ、集中力は鍛えられていくのです。

注意したいのは、休憩時間の使い方。この時間は脳を休めるために使ってください。スマホは脳に刺激を与える要因になりますので、ポモドーロ・テクニックなどで時間を設定して集中している間は、休憩中であってもスマホには触らないようにするのが理想です。休憩時間には軽くストレッチをしたり、ジャンプをしたり、深呼吸することで、作業中に緊張した体と心をほぐすといいでしょう。

疲れたときにもおすすめ! 集中力を上げるコツ

このように集中力を鍛え、高める上では、時間を区切ってメリハリをつけて作業するのがポイントになります。脳に負担をかけすぎて疲れている状態では、脳に酸素が回らず、頭がぼんやりとしてしまうからです。ここではトレーニングやタスクで下がった集中力を取り戻す、簡単なコツを2つご紹介します。やりやすい形で取り入れてみてください。

●頭を空にして、集中力を回復! 1分間の瞑想
「ちょっと脳が疲れてきたな」と感じたタイミングで瞑想を行うと、集中力を回復するのに効果的です。瞑想といっても難しいものではなく、1分あれば実行できて、その方法も簡単です。まず、背もたれに寄りかからないよう座った状態で、手のひらを上にして膝に置きます。軽く目を閉じ、ゆっくり鼻から息を吸い口から吐き出し、1分間この深呼吸だけに意識を向けましょう。ぼんやりしてしまった脳に酸素を届けることで、脳を活性化させます。もし効果を実感しにくいときは、リラックスできるBGMを流して音に意識を向け、頭を空にするだけでも◎。これだけでも脳をスッキリさせられるでしょう。
●少しの遠回りでも十分! リフレッシュ&集中力が上がる散歩
研究によると、歩くことは脳を活性化し、その効果は一定時間持続するそうです。不安感やストレスも減り、気持ちの面でも前向きな効果があることがわかっています。足を動かすことが血流の改善につながり、脳に酸素が届きやすくなるのです。例えばランチのついでに少し遠回りするだけでも十分です。天気や風景、季節の変化といった散歩中の「いま」を楽しむことがリフレッシュにつながります。さらにゆっくり歩きながら手の動き、足の感覚など「歩くこと」に意識を向けることで、集中力を鍛えることもできます。

疲れている中でやみくもに作業を続けても、集中力の低下から作業効率は下がってしまいます。だからこそ時間を区切って、休憩時間を適切に取ることが大切です。脳を休ませながら作業に取り組むことを繰り返していくうちに、高い集中力が身につくでしょう。

充実した時間を過ごすためのポイント

時間を区切って作業に取り組み、
集中力を鍛える。
休憩は脳を休めるための時間に!

PROFILE

池田 貴将
池田 貴将いけだ・たかまさ
株式会社オープンプラットフォーム代表取締役。リーダーシップ・行動心理学の研究者。大学在学中にアメリカへ行き、コーチング・目標達成・モチベーション理論を学び、起業。科学的根拠に基づいた独自メソッドを開発。著名人を含む、年間1万人以上がセミナーに参加し、高い評価を受ける。著書に『タイムマネジメント大全 24時間すべてを自分のために使う』(大和書房)、『覚悟の磨き方 超訳 吉田松陰』(サンクチュアリ出版)、他多数。

記事公開:2024年11月