声帯の筋肉を鍛えて、さまざまな音域の声を自由にコントロール
前回は、朝からはっきりとした声を出せるようにするための声帯のストレッチ法として、「消防車サイレン」を紹介しました。
基本的なストレッチに慣れたら、少しステップアップして、より本格的に声帯を鍛える方法にもチャレンジしてみましょう。
「消防車サイレン」は、高い声や低い声がピンポイントで出せるようにするためのシンプルなストレッチでした。
「朝のひと声」を通りよく発声するには、高い音、低い音のメリハリを利かせることが大切です。「消防車サイレン」は、それを手軽に可能にしてくれる便利なストレッチ法なのです。
しかし、普段の会話やプレゼンなどでは、発する音の高さに幅を持たせた方が、声の表情は豊かになります。高い声、低い声の両極端だけでなく、自然な声のグラデーションで、さまざまな“中間の声”を使い分けられるようにするのが理想です。
“中間の声”をはっきり出せるようにするには、声の筋肉、つまり「声帯」の筋肉を鍛える必要があります。
腹筋運動のときに、背中を床から浮かしたところ、傾けた上半身の重さに腹筋が耐えられなくなって、つい体がプルプル震えてしまった経験はありませんか?
これは、腹筋が体を支えられるほど鍛えられていないために起きる現象です。
声もまったく同じです。高い声や低い声は、勢いを付けて発するので、比較的はっきりと出せますが、“中間の声”は、声帯の筋肉でしっかりと支えないと、震えたり、弱々しくなったりしてしまいます。
体操の選手が、不安定なつり輪の上で体を震わせることなく腕を伸ばせるのも、腕などの筋肉がしっかりと鍛え上げられているからにほかなりません。
どんな高さでも、はっきりした、よく通る声を出せるようにするには、日頃から声帯の筋肉を鍛える「声帯筋トレ」を実践することがおすすめです。