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実践! ビジネスボイトレ講座


仕事の成果につながる、「いい声」を手に入れる方法を紹介します。

vol.04 声帯も筋肉!本格的な声帯筋トレで、
「よく通る声」を手に入れる!

声帯の筋肉を鍛えて、さまざまな音域の声を自由にコントロール

前回は、朝からはっきりとした声を出せるようにするための声帯のストレッチ法として、「消防車サイレン」を紹介しました。

基本的なストレッチに慣れたら、少しステップアップして、より本格的に声帯を鍛える方法にもチャレンジしてみましょう。

「消防車サイレン」は、高い声や低い声がピンポイントで出せるようにするためのシンプルなストレッチでした。

「朝のひと声」を通りよく発声するには、高い音、低い音のメリハリを利かせることが大切です。「消防車サイレン」は、それを手軽に可能にしてくれる便利なストレッチ法なのです。

しかし、普段の会話やプレゼンなどでは、発する音の高さに幅を持たせた方が、声の表情は豊かになります。高い声、低い声の両極端だけでなく、自然な声のグラデーションで、さまざまな“中間の声”を使い分けられるようにするのが理想です。

“中間の声”をはっきり出せるようにするには、声の筋肉、つまり「声帯」の筋肉を鍛える必要があります。

腹筋運動のときに、背中を床から浮かしたところ、傾けた上半身の重さに腹筋が耐えられなくなって、つい体がプルプル震えてしまった経験はありませんか?

これは、腹筋が体を支えられるほど鍛えられていないために起きる現象です。

声もまったく同じです。高い声や低い声は、勢いを付けて発するので、比較的はっきりと出せますが、“中間の声”は、声帯の筋肉でしっかりと支えないと、震えたり、弱々しくなったりしてしまいます。

体操の選手が、不安定なつり輪の上で体を震わせることなく腕を伸ばせるのも、腕などの筋肉がしっかりと鍛え上げられているからにほかなりません。

どんな高さでも、はっきりした、よく通る声を出せるようにするには、日頃から声帯の筋肉を鍛える「声帯筋トレ」を実践することがおすすめです。

今からすぐできる! 声の表情を豊かにするトレーニングとは?

では、「声帯筋トレ」の具体的な方法を解説します。

前回紹介した「消防車サイレン」のトレーニングをちょっとアレンジして、次のような発声練習を行ってみてください。

  1. 高い音の「ア」と低い音の「あ」の間を、ぐるぐると円を描きながら行き来するようなイメージを持つ。
  2. 「ア―――あ―――ア―――あ―――ア―――あ―――ア―――あ―――ア―――あ―――」と5秒で息を出しきる。

「消防車サイレン」よりも短い時間で、サイクルを早くして、少なくとも2回行います。

幅広い音域の声を出すトレーニング方法

このときにチェックしてほしいのは、本連載vol.2で紹介したいい声を出すための基本である「腹式呼吸」です。

おなかに手を当て、息を吐いたときにおなかが5ミリから1センチでもへこむのを感じられれば、腹式呼吸ができている証拠です。腹式呼吸ができていれば、おなかの中にたっぷりと空気を取り込めるため、吐く息の量も多くなり、声帯がしっかりと振動するからです。

また、このトレーニングを行う際に注意したいのは、頭を上下させずに固定し、全身を脱力させた状態で発声することです。

「ぐるぐると円を描くイメージで」というと、発声しながら頭を上下に動かしてしまう人もいますが、頭は動かさないようにしてください。

頭は楽器と同じで、音を響かせる場所です。楽器を上下に振りながら演奏すると音が乱れてしまうのと同じで、頭を動かしながらだと発声も不安定になってしまいます。

肩や首などにはなるべく力を入れず、全身の力を抜いた状態で発声することも大切です。

コツがつかめたら、らせん階段を上がっていくイメージで低い音から高い音まで声を出し、上りきったら、今度は階段を下りていくイメージで高い音から低い音まで声を出すトレーニングをしてみましょう。

声だけでなく表情も豊かに!「アイーン」で口の周りの筋肉をほぐす

ところで、はっきりとした声を出すためには、声帯の筋肉のほかにも、鍛えた方がいい筋肉があります。

それは「表情筋」です。

表情筋は、その名のとおり「顔の表情をつくる筋肉」ですが、この筋肉は発声においても重要な働きをします。私たちが言葉を発するときには、唇や舌などと一緒に表情筋も動かしているからです。

表情筋が硬い状態だと、口の周りの筋肉がスムーズに動かなくなって、言葉を明瞭に発することができません。

言葉が滑らかに、はっきりと出せるようにするには、顔の周りをストレッチして、表情筋を柔らかくしてあげることが大切なのです。

そのストレッチ方法は、次の通りです。

  1. 頭を上に向けて、あごを前に突き出す。
  2. 「アイーン」と1秒で発声し、5回繰り返す。

そう。あの、志村けんさんのおなじみのポーズです。

ただし、手のしぐさまでまねをする必要はありません。まねしてほしいのは顔の周り、特に口の周りのしぐさです。

表情筋を柔らかくするトレーニング方法

「アイーン」と発声しているときに、あごの下あたりの首筋を触ってみると、最初のうちは筋(すじ)が張っているのが分かると思います。

このポーズを繰り返すことで、少しずつ筋がほぐれ、口の周りの動きが滑らかになっていきます。

最初のうちは少し恥ずかしいと思うかもしれませんが、だまされたと思って、ぜひ続けてみてください。声の通りがよくなるだけでなく、長時間マスクをつけることが日常的となった今の状況でも、乏しくなりがちなマスクの下の表情も豊かになって、きっとあなたの魅力が増すでしょう。

「いい声」になるためのコツ

高い声から低い声まであらゆる音域を
はっきり出せるようにするには
声帯の筋肉を鍛えることが大切

PROFILE

秋竹 朋子
秋竹 朋子あきたけ・ともこ
ビジネスボイストレーニングスクール「ビジヴォ」代表。東京音楽大学ピアノ演奏家コース卒業。ビジヴォの代表として、「声」「話し方」に問題を抱えるビジネスパーソンの指導を実施。音楽家・声楽家ならではの聴力と技術を駆使した、日本初「超絶対音感」によるボイストレーニングが話題を呼び、TVほかマスコミ出演も多数。東京を拠点に全国各地で企業研修やセミナーを行う。著書に『1分間声トレ』『ビジネスがうまくいく発声法』など。

記事公開:2022年9月