広報・PRの違いとは?
近年の業務領域や外部委託検討時のポイントも解説

広報・PRの違いとは?近年の業務領域や外部委託検討時のポイントも解説

「広報」と「PR」とは定義・解釈が重なる部分の多い言葉ですが、
PRのほうがより広い意味があり、広報はそこに含まれる概念です。

本記事では、ビジネスでこれらの言葉を使う際に押さえておきたいポイントについてみていきます。
また、広報・PRを外注・自社で行うそれぞれのメリットについてもご紹介します。

広報とPRの違いとは?

「広報」は英語で「Public Information」または「Public Relations」と表現され、後者の場合は略してPRであり、「広報」と「PR」は同じ意味で使われることも多い言葉です。
欧米から「PR(パブリックリレーションズ)」という考え方が戦後間もなく入ってから、日本ではしばらく、「広報」=プレスリリースなどの情報発信、「PR」=広告宣伝、という解釈がよくなされたために、より分かりにくくなっている面があります。しかし、広告宣伝はメディアのスペースを購入して行う情報発信活動であり、近年は広報・PRとは区別されています。広報やPRは、企業や官公庁、NPOなどの組織が、社内外のステークホルダー(利害関係者)と良好な関係を構築するための活動全般のことを指し、その中で発信された情報は、メディア側が「伝える価値がある」と判断した際に初めてメディアに取り上げられる点が、広告宣伝とは異なります。

では、「広報」と「PR」の違いはというと、定義や解釈が国や組織によっても異なりますが、おおむね「PR」は日本でいう「広報」よりも広い概念を持った言葉として使われてきました。必ずしも厳密に分けられるものではありませんが、日本の企業でどのように使われることが多いのか、みていきましょう。

広報とは

企業における広報とは、企業が自社の方針や施策、事業活動、製品、サービスなどについて社内外に広く情報を発信することです。情報発信の直接的な目的は、会社や製品・サービスの知名度、イメージの向上などが主ですが、企業規模が大きくなるほど危機管理のために行う比率も大きくなります。
最終的な目的が、社内外のステークホルダー(利害関係者)と良好な関係を構築することであるという点はPRと同じですが、そのための「情報発信」の部分により重きが置かれた言葉です。

広報の仕事の種類とは

広報には大きく「社内広報」と「社外広報」があります。
社内広報は、企業内の従業員や家族、各部門など、組織をまとめることを目的とし、経営や事業の方針をはじめとするビジョン・社内外の状況の共有や会社のブランド価値への理解を促すことのほか、モチベーションや満足度の向上、従業員・部門同士のコミュニケーション促進などを目指すものです。組織が大きくなるほど社内広報の重要度は高まり、定期的な施策の実行が望ましくなります。

社内広報の手段としては、社内報やイントラネット、社内SNS、社内ポスター、経営方針説明会や表彰式などのイベント、社内調査やアンケート、経営者の書籍などが含まれます。社内広報は総務部や経営企画などの部門が担うことが多いですが、近年ではイントラネットやSNSを使い、各部門や個々の従業員が情報を発信する形も増えています。

社外広報とは、社外のステークホルダーに向けた情報発信で、さらに2つに分けることもできます。
1つ目は「コーポレート広報」で、株主や一般の方などを含めた幅広いステークホルダーに向けて、会社情報である自社ビジョン・方針や事業内容、財務状況・業績といったIR情報、社会貢献活動、ブランド情報などを発信し、コミュニケーションを取るものです。実施手段としては、記者会見、公式サイトや自社メディアでの情報発信、広報誌・IR誌・統合報告書の発行、SNSや自社アプリでの情報発信、会社見学会や地域住民との交流イベントなどがあります。

2つ目は「サービス広報」です。自社の製品やサービスを顧客に認知してもらい、最終的に購買につなげる広報活動です。手段としては、プレスリリースや製品・サービス発表会、展示会出展、製品・サービスの専用ウェブサイト・SNS・アプリでの情報発信、ファンイベントの開催などがあります。

PRとは?

PR(パブリックリレーションズ)について、公益社団法人日本パブリックリレーションズ協会では、「組織とその組織を取り巻く人間(個人・集団)との望ましい関係を創り出すための考え方および行動のあり方」だとしています。(出典:公益社団法人日本パブリックリレーションズ協会ウェブサイト,「パブリックリレーションズとは」, https://prsj.or.jp/aboutpr/,(最終閲覧日2023年3月29日)

企業側からの情報発信だけでなく、社内外のステークホルダーとの双方向のコミュニケーション全般を通じた「長期的な信頼関係作り」により重きを置いた言葉であり、日本語の「広報」よりも幅広い領域が含まれています。

近年では企業にSDGs(持続可能な開発目標)への貢献が求められたり、ESG(環境・社会・ガバナンス)に配慮した企業への投資が加速したりする中、企業には一方的な情報発信だけでない、ステークホルダーと協力した具体的な行動やコミュニケーションが欠かせなくなっており、まさにPR活動の実践が一層重要になっているといえるでしょう。

企業における広報・PRの役割とは?

企業における広報・PRの役割としては、「対外的な代表として公式情報を発信する機能」に光があてられやすいですが、他にもさまざまなものがあります。
社外のステークホルダーとの双方向のコミュニケーションを通じて関係を構築する中で起こる「課題を調整する機能」、さらには、社会・業界情勢のほか、社会が企業に求める要件は何かといった「社外情報の収集機能」があります。
また、自社の方針やビジョン、業績、製品・サービス、事業動向、研究開発動向、社内行事、社会貢献活動、福利厚生活動といった、あらゆる「社内情報を収集する機能」が不可欠です。そして、それらの情報を整理し、社外で収集した情報も併せて、戦略的かつタイムリーに「社内へ発信する機能」も重要です。

広報・PR活動で関係を構築すべきステークホルダー

広報・PR活動で信頼関係を構築すべきステークホルダーには、消費者や顧客、株主・投資家、従業員とその家族、取引先、地域住民、行政機関、金融機関などが挙げられます。サプライチェーン全体にも目を向け、地理的にも国内だけでなく世界に及ぶことがあると認識しておくとよいでしょう。

自社の広報・PRを外部委託できる領域、委託会社にはどんな種類があるのか

広報やPRは、このように国内外の幅広いステークホルダーとの良好な関係構築を担う活動であり、高い専門性が必要になるため、外部委託が検討される場合も多い領域です。では、広報・PRで委託できる分野にはどのようなものがあるのでしょうか。
例えば広報・PRの戦略立案、プレスリリースなどのメディア対応、広報誌・ウェブサイト・イベント・展示会などのコンテンツ企画・制作・デザイン、自社メディアやSNSの運営、ライティングや撮影などがあります。

それらを支援する会社にはどんなものがあるのでしょうか。例えば下記のようなものが挙げられます。

  • PR専門会社
  • 広報・PR全般を得意とするコンサルティング、マーケティング会社
  • WEB制作会社、動画制作会社
  • SNS企画運営会社
  • 広報誌・IR誌・統合報告書などの制作会社
  • 展示会やセミナー、学会などのイベント企画運営会社
  • 特定業界向けの広報・PR支援会社
  • 社内コミュニケーション専門のコンサルティング会社
  • フリーランス人材

広報やPRを外部委託するメリット

次に広報・PRを外注するメリット、自社で行う場合のメリットなどをみていきましょう。

客観的な視点が得られる

自社の事業・製品・サービスを客観的に分析し、社内にいると気づかなかった価値や強みを見いだし、それらを生かしたより戦略的な広報・PR活動の提案が受けられることは外部委託の大きなメリットです。また、それまでの自社による広報・PR活動の課題やリスクについて、率直な指摘を受けることも期待できます。

自社で一から育成することなく専門性の高い人材を確保できる

広報・PR人材を自社で育成するにはある程度の年月と費用がかかります。また、経験が豊富で高い専門性を持つ人材を採用する場合にもそれなりの費用がかかります。外注によってプロ人材に、委託する領域や期間を決めて広報・PR業務を担ってもらうことができれば、専門的なノウハウやスキルを、コストを抑えて活用することができます。
自社では経験したことのない事態が発生した際、プロとしてのアドバイスを受けられ、リスクに対応できるのも大きなメリットです。

広報やPRを効率的に実施しながら、プロのノウハウを学べる

プロならではの高いパフォーマンスで広報・PR業務を効率的に進められること、さらに、自社の人材はプロと共に業務を進める中で専門ノウハウが学べる可能性があることも外部委託のメリットです。ただし、そのためには当初からノウハウを学ぶ前提で業務を進める必要があります。例えば、すべてをプロに任せるのではなく、学びたい部分についてはまず一部でも自力で検討や実践を行った上で、それに対しプロからアドバイスを受けたり、修正してもらったりするなどの方法を繰り返すことで、社内の人材がより具体的な考え方のポイントや実践的なノウハウをつかみ、それらを自社に根付かせることにつながります。

広報やPRを自社で行うメリット

自社にノウハウが蓄積される

社内の人材が自分の頭を使って広報やPRの業務を実践、経験し、その結果をダイレクトに受けることは、より具体的なノウハウが社内に蓄積することにつながります。広報専門の人材を育成できれば、長期的に高いコストパフォーマンスが期待できます。
専門のスキルやノウハウをその人材のみならず会社に蓄積させるためには、チームで業務を進める、担当者の日々の経験や状況について上司などがこまめに共有を受けるといった工夫が有効です。

費用を抑えやすい

外部委託をする場合、高い専門性が必要な分野であるだけに、委託会社によっては、自社内で業務を行う場合を大きく超えた費用が掛かる場合や、自社の目指す成果や方向性などについてうまく合意が形成できずに思ったようなコストパフォーマンスが得られない場合もあります。それに対し、自社で対応する場合はかかる費用が予想しやすく、合意形成もしやすいため、コストを抑えやすいというメリットがあります。

スムーズに業務を行える

広報やPR活動を外注する場合、互いの情報共有や進捗・スケジュールの確認に手間がかかる場合もあります。また、よりよい成果をだすためには、自社の広報・PRの目的や自社の文化・特性などについて委託先に理解を深めてもらう時間も必要になります。

その点、自社の人材であれば広報・PRの目的を共有し、自社のことも理解していることが多く、業務をスムーズに行いやすいという面があります。

外注を考える際のポイント

自社にリソース、ノウハウがあるか

広報・PRで目指す自社のゴールから、ターゲットとするステークホルダーやメディアなどを決め、人的・時間的にどのようなリソースがどのくらい必要か、実行のために必要なノウハウは何なのかを整理してみましょう。そして、それらのリソース、ノウハウが自社にあるかを考えます。

とはいえ、最初は必要なリソース、ノウハウの見積もり自体が難しいことが多いかもしれません。広報・PR活動は会社の代表として機能するもので、業務に潜むリスクも多いため、立ち上げる際は一部の領域でもよいので、プロや経験者の力を借りながら着実に活動を軌道に乗せ、少しずつ自社にスキル・ノウハウを蓄積していくのが無難とされます。

費用対効果はどうか

自社で行う場合と外注する場合の費用、効果を試算し、比較します。広報・PRの効果の試算は難しいとされますが、例えば、広報・PRにより期待されるメディアへの掲載ボリューム、問い合わせ数、自社サイトへのアクセス数や検索数、SNSの反響数など、具体的な数値を想定してみることで、検討や決断のための根拠とすることができます。

広報・PR活動で扱うデータの管理を効率化する「IMAGE WORKS」

広報・PRの言葉の意味から、その業務内容、業務効率化のための外部委託のポイントなどをみてきました。このように社内外の多くの人が関わり、業務も多岐にわたる広報・PR活動では、日頃の業務効率化も重要になります。
中でも実際に行ってみると煩雑さが実感される業務が、広報・PR活動に使用する画像や動画の管理です。富士フイルムの「IMAGE WORKS」は、企業における広報・PR業務向けで多数の導入実績を持つクラウド型ファイル管理・共有サービスです。広報・PR部門専用の画像・動画データベースを安全な環境に短期間で構築し、権限を持つユーザーがデータを簡単に利活用できるようにするほか、データ利用時の申請機能などにより、高い安全性の下での運用も可能にします。

広報・PR活動を社内で本格的に進める際にはぜひ「IMAGE WORKS」の導入をご検討ください。