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未来都市が日本にできる!?
「スーパーシティ」ってなに?

2020年5月、特区に指定された自治体で「スーパーシティ」構想を
進める国家戦略特区法の改正案が参院本会議で可決され、話題になりました。
「スーパーシティ」とは具体的にはどのような構想なのでしょうか。
今回は、この構想が生まれた世界的な背景、
そして今後の展開について解説していきます。

世界で広がる
新たな都市計画の試み

近年、AI(人工知能)やビッグデータ、IoT技術を活用し、社会のあり方を根本から変えるような都市設計の動きが世界中で急速に進展しています。

例えば、中国の杭州市では、Eコマース企業アリババの系列会社が行政と連携。道路に4000台以上設置されたカメラ映像をAIで分析する「セントラルシステム交通監視型スマートシティ」プロジェクトが実施されています。

このプロジェクトでは、AIが違反車を発見した場合警察へ自動通報するようになっており、最大1日約500件もの違反が見つかっています。また、交通状況に応じて信号機の点滅間隔を自動調整することで渋滞の緩和を図りました。これにより、救急車の到着時間が半減、一部地域で自動車の走行速度が15%上昇するという成果も出ています。

また、スペインのバルセロナでは、Wi-Fiを都市のICTの基盤として用いた大規模プロジェクトが2000年から進行中です。このプロジェクトでは、車や人の動きをセンサーで検知しWi-Fiを経由して空き駐車スペース情報を提供する「スマートパーキング」、街路灯と連動する見守りサービス、ゴミの自動収集サービスなどを街単位で実現しています。国際的にも高い評価を得ている取り組みです。

日本が目指す未来の都市の形
「スーパーシティ」とは?

各国でさまざまな取り組みがされる中、こういった試みがなかなか進んでこなかった日本ですが、今回打ち出したスーパーシティ構想はどんなものでしょうか。政府はスーパーシティを、「さまざまなデータを分野横断的に収集・整理し提供する『データ連携基盤』(都市OS)を軸に、地域住民等にさまざまなサービスを提供し、住民福祉・利便向上を図る都市」と定義しています。

これは、これまでの自動走行や再生可能エネルギーなど、個別分野限定の一時的な実証実験的な取り組みではなく、幅広くエリア内の生活全般をカバーする取り組みであることが特徴です。具体的には、以下のような取り組みが挙げられます。

  • 決済のキャッシュレス化
  • 行政手続きの効率的な処理
  • 遠隔教育や遠隔医療
  • 自動走行による移動手段の提供やドローンによる自動配送
  • エネルギーや上下水道の管理

このスーパーシティは、世界でも他に類を見ない「まるごと未来都市」と位置づけられ、2030年頃には実現され得るとしています。

スーパーシティ構想
内閣府地方創生推進事務局「『スーパーシティ』構想について」より作図

また、これらの取り組みは、行政や企業の主導で進めるのではなく、住民の目線でより良い暮らしの実現を図るものとされています。

例えば、高齢化が深刻な都市では、自治体、タクシー事業者、ボランティアドライバーによる市民タクシー、決済システム、病院・介護施設などがデータ連携基盤によって連携するという想定がされています。これにより、高齢者が気軽に通院でき、なおかつ社会保障費の抑制や地域交通の合理化が可能になるのです。

まだまだ前途多難?
懸念点も多いスーパーシティ

このように世界の最先端を目指す日本のスーパーシティ構想ですが、この実現に不可欠なのが大胆な規制緩和です。遠隔教育、遠隔医療、電子通貨システムなどの先進的サービスを一気に実現しようとすると、各分野の規制改革を同時に進めなければなりません。

さらに、スーパーシティ構想の実現には住民の個人情報を含む多様なデータ収集が必要であることから、「企業に個人情報を渡すことになる」、「超監視社会になるのでは」といった懸念も根強くあります。

実際に、カナダのトロント市ではGoogleの系列会社が行政と連携し、自動運転を前提とした街づくりを進める「Sidewalk Toronto(サイドウォークトロント)」プロジェクトが発表され、進められていましたが、運営に参画する私企業が市民の個人情報を独占することに対し、住民が反対運動を展開。さらに新型コロナウイルス感染症の流行が決定打となり、計画の中心となっていた企業が事業から撤退することが決定しました。

日本でも、スーパーシティ構想を可能にする法案は通ったものの、新型コロナウイルス感染症対策など火急の案件に隠れてしまい議論不足という声もあります。一方、政府は夏にもスーパーシティ構想を進めたい自治体などを公募、早ければ年内に選定する予定です。特区の指定を受けた自治体は国や民間企業と検討の上、事業計画書を作成し、住民の同意を得た上で国に申請すると、規制緩和の特例が認められるという流れになっています。

プライバシー尊重はもちろん、運用に関して住民の理解をしっかり得た上でどこまでこのスーパーシティ構想が実現できるか、しっかり注目していきたいところです。

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記事公開:2020年7月