
Zipファイルにパスワードを設定する手順そのものは、WindowsでもMacでも数ステップで終わります。ただ、最初に一つだけ知っておいていただきたいことがあります。それは、Windows 11・10には、パスワードを付ける機能が標準で用意されていないという事実です。だからこそ圧縮ソフトが必要になり、そこでつまずく方も少なくありません。本記事では、その手順とつまずきの解消法を、まず丁寧に説明します。そのうえで、もしあなたが「毎回この作業は面倒だ」と感じているのなら、その感覚は正しいです。実は、パスワードを設定する作業そのものが不要で、しかもより安全にファイルを渡せる方法があるのです。手順・解除・トラブル対処を押さえながら、その先までご案内します。
目次
まずは、多くの方が検索する「設定手順」からご説明します。WindowsとMacでは操作が異なり、とくにWindowsは標準機能だけでは設定できません。つまずきやすいところを先に押さえながら進めます。なお後半では、この設定作業そのものを見直す選択肢もご紹介します。
結論からお伝えすると、Windows 11・10には、Zipファイルにパスワードを設定する機能が標準では備わっていません。かつてはWindows XPまで標準機能で設定できましたが、Windows Vista以降はこの機能は搭載されておらず、現在のWindows 11・10にも搭載されていません。そのため、パスワードを付けるには、圧縮ソフトを別に用意する必要があります。
ここでは、広く使われている圧縮ソフト「7-Zip」を例に手順をご説明します。まず、これを公式サイトからダウンロードして、インストールします。次に、パスワードを付けたいファイルやフォルダを右クリックし、メニューから「圧縮」を選びます。表示された画面の「暗号化」欄にパスワードを入力し、あわせて暗号化方式を選びます。
ここで大切なのが、暗号化方式に「AES-256」を選ぶことです。Zipファイルの暗号化には従来からの方式もありますが、こちらは強度が高いとは言えません。重要なファイルを扱うのであれば、より強固なAES-256を選ぶとよいでしょう。ただし、AES-256は安全性が高い反面、受け取る相手が標準機能では開けないことがあります。相手の環境がわからないときは、この点に注意が必要です。設定が済んだら「OK」を押すと、パスワード付きのZipファイルが作成されます。相手側での解凍については、のちほど受信側の項で改めて触れます。
Macをお使いの場合も、標準の圧縮機能だけではパスワードを設定できません。そこで、「ターミナル」というアプリからコマンドを入力して暗号化する方法を使います。
手順は次のとおりです。まず、パスワードを付けたいファイルを用意し、ターミナルを開きます。続いて、「zip -e 作成後の名前.zip 元のファイル名」と入力してEnterキーを押します(フォルダをまとめて暗号化するときは「zip -er」を使います)。すると「Enter password:」と表示されるのでパスワードを入力し、続けて「Verify password:」と表示されたら、確認のためもう一度同じパスワードを入力します。これで、パスワード付きのZipファイルが作成されます。コマンド操作と聞くと身構えてしまうかもしれませんが、入力するのは一行だけです。手順どおりに進めれば、迷うことは少ないでしょう。
「手順のとおりに進めているのに、どうしても設定できない」——そうした行き詰まりには、いくつか決まった原因があります。ここでは代表的な三つを取り上げ、それぞれの対処をご説明します。
一つ目は、Windowsの標準機能でパスワードを設定しようとしているケースです。すでに述べたとおり、現在のWindowsには標準の設定機能がありません。先に述べたような圧縮ソフトを導入できているか、いま一度ご確認ください。
二つ目は、圧縮ソフトを入れたのに、右クリックのメニューに項目が表示されないケースです。この場合は、パソコンを再起動したり、ソフトを入れ直したりすると解決する場合があります。それでもメニューが出ないときは、ソフトが正しくインストールされているかを確かめてみてください。
三つ目は、作成したファイルが想定と違う形式になってしまうケースです。圧縮ソフトによっては既定で「7z」という別の形式になることがあり、この形式は相手のWindows標準機能では開けません。圧縮画面で、ファイル形式が「zip」になっているかをご確認ください。これらを一つずつ切り分けていけば、多くの場合は解決に向かいます。
パスワード付きZipファイルを作るためのソフトは、どれを選んでも同じというわけではありません。選ぶうえで、二つの点に注意していただきたいと思います。
一つは、更新が続いているソフトを選ぶことです。長く使われてきた定番ソフトのなかには、数年前で更新が止まり、古い形式の処理に弱点が残ったままのものもあります。こうしたソフトは避け、現在も更新されているものを選ぶと安心です。
もう一つは、強度の高い暗号化方式に対応していることです。さきほど触れたAES-256に対応していれば、より安全にファイルを保護できます。たとえば、本記事の手順で用いた圧縮ソフトは、更新が続いており、AES-256にも対応しています。ソフトを選ぶ際は、こうした点を一つの目安としてご確認ください。
ここからは、ファイルを受け取った側の操作に移ります。WindowsやMacでの解除方法に加えて、「スマホで開けない」という、検索でもよく見られるお悩みにもお答えします。
基本の流れは、とてもシンプルです。受け取ったZipファイルを開き、送り主から伝えられたパスワードを入力するだけで、中のファイルを取り出せます。WindowsでもMacでも、考え方は同じです。
ただし、一つ注意点があります。AES-256という強度の高い方式で暗号化されたZipファイルは、Windowsの標準機能では開けない場合があります。その際は、対応した解凍ソフトを用意すると、開けるようになります。
意外に見落とされがちですが、スマートフォン(スマホ)はパスワード付きZipファイルの解凍を苦手としています。iPhone・Androidのいずれも、標準の状態のままでは開けないことがあり、解凍用のアプリを別に入れる必要が出てくる場合もあります。
とくに困りやすいのが、外出先でファイルを受け取る場面です。急ぎで中身を確認したいのに、スマートフォンでは開けず、結局パソコンで起動するまで待つしかない——そんな経験をお持ちの方もいらっしゃるでしょう。送る側からは見えにくいところですが、受け取る相手は案外こうした不便を感じています。この点は、のちほど「問題点」の章でも改めて考えていきます。
設定したパスワードを忘れてしまった、あるいは相手から伝えられた文字列を入力しても解除できない。そうしたときの、現実的な対処をまとめます。
まずは、送信元にパスワードを再確認するのが確実です。入力ミスの可能性もありますので、大文字・小文字や記号を含めて、もう一度ていねいに確認してみてください。どうしても分からない場合は、ファイルを送り直してもらうのが安全です。なお、パスワードを総当たりで割り出す解析ツールも世の中には存在しますが、その利用はおすすめできません。安全性の面でも、業務上の扱いとしても、望ましいとは言えないからです。
ここまで手順を見てきて、もし「毎回この作業は面倒だ」と感じたのなら、その感覚はけっして的外れではありません。ここでいったん立ち止まり、そもそもこの作業が本当に必要なのかを、見直してみましょう。
ファイルをZipファイルに圧縮してパスワードをかけ、そのファイルと解凍用のパスワードを別々のメールで送る。この一連のやり方は、「PPAP」と呼ばれています。
送る側は、まずファイルを圧縮してパスワードを設定し、そのZipファイルをメールに添付して送信します。続いて、解凍に必要なパスワードを、別のメールであらためて送ります。受け取る側は、二通のメールを確認し、パスワードを使ってファイルを開きます。多くの職場で見慣れた流れではないでしょうか。まずは、この仕組みを共通の前提として押さえておきましょう。

では、なぜこの方法がこれほど広まったのでしょうか。理由はいくつか考えられます。
一つは、誤送信への備えになると考えられてきたことです。パスワードを別に送れば、万一宛先を間違えても中身は守られる、という発想です。二つ目は、情報セキュリティの審査基準に沿った対応だとみなされてきたことです。そして三つ目に、多くの企業で長年の習慣として根づいてきたという事情があります。
いずれも、「良かれと思って」続けられてきたものです。ですから、この方法を使ってきたこと自体は、担当者の落ち度ではありません。ただ、こうして期待されてきた効果が、実際にどこまで働いているのか。次の章で見ていくと、少し違った景色が見えてきます。
「これ、本当に意味があるのだろうか」——日々の業務のなかで、そんな違和感をうっすら覚えたことはないでしょうか。結論から言えば、その感覚には根拠があります。パスワードを別送するこの方法は、期待されていたほどの効果を持たない場面が少なくありません。なぜそう言えるのか、その理由を、次の章で一つずつ確かめます。
期待されてきた効果は、実際にはどのように働いているのでしょうか。ここでは、技術的な側面と、現場で起こる実害の両面から、問題点と危険性を整理します。
まず、暗号の強度についてです。Zipファイルで一般的に使われてきた暗号化方式は、強度が高いとは言えません。解析ツールや総当たりの試行を受けると、パスワードが破られてしまう可能性があります。
もちろん、さきに触れたAES-256のように強度の高い方式もあります。ただ、本記事でお伝えしたいのは、方式の細かな優劣というより、「手作業そのものを見直す」という視点です。強い暗号をかけること以上に、そもそも手間のかかる仕組みから離れられないか、という角度で考えていきます。

二つ目は、ウイルス対策との相性の悪さです。暗号化されたZipファイルは、ウイルス対策ソフトの検査をすり抜けやすいという弱点があります。中身が暗号化されていると、配送の途中で内容を確認できないため、危険なファイルであっても、受信者まで届いてしまいやすいのです。
この弱点を悪用したのが、「Emotet(エモテット)」と呼ばれるマルウェアです。こうしたファイルを添付する手口は2020年ごろから広がり、その後もかたちを変えながら流行を繰り返してきました。こうした背景から、最近では、このようなメールを受信側であらかじめブロックする運用も増えています。安全のために付けたパスワードが、かえってリスクの入り口になりうるという、皮肉な状況が生まれているのです。

三つ目は、受け取る側の負担です。送る側からは見えにくいのですが、受信者には意外な手間がかかっています。
別々に届いた二通のメールから、パスワードのほうを探し出し、ファイルを開くたびに入力する。これだけでも、小さな手間ではありません。つまり、こちらが「きちんと対応している」つもりの作業が、実は相手の効率を下げているかもしれないのです。あなたが送った相手も、同じ場面で手を止めているかもしれません。

四つ目は、誤送信への効果についてです。「パスワードを別に送るから安全だ」と考えられがちですが、ここには見落としがあります。
そもそも宛先を間違えていた場合、本文のメールだけでなく、パスワードを記したメールも、同じ間違った相手に届いてしまいます。同じ経路で後からパスワードを送るやり方は、たとえるなら、金庫のすぐ上に鍵を置いておくようなものです。これでは、誤送信そのものへの対策にはなりません。期待されていた「誤送信に強い」という効果は、実際にはほとんど働かないのです。

五つ目に、近年の新しい問題として、「そもそもメールが届かない」というケースが増えています。政府が率先してこの方式の利用をやめて以降、民間企業でも見直しが進み、こうしたメールを受信側で拒否する運用が広がってきました。受け取り側で、自動的に削除される場合もあります。せっかく手間をかけて用意しても、相手に届かなければ意味がありません。安全のための作業が、かえってやり取りの妨げになる。そんな状況も、現実に生まれているのです。
それでは、この方式以外には、どのような渡し方があるのでしょうか。ここでは、一般に知られている手段を整理します。それぞれに向き・不向きがありますので、特徴とあわせて、利用時の留意点も確認します。
一つ目は、ファイル転送サービスです。ファイルをサーバーにアップロードし、ダウンロード用のURLを相手に伝えて渡す仕組みです。大容量のデータを扱えるものが多い一方で、サービスごとに仕様や運用のルールが異なります。社内で使う際は、取り扱い方針をあらかじめ確認しておく必要があります。

二つ目は、オンラインストレージです。ファイルを保存先(オンラインストレージ)に置き、そのURLを相手に共有する方法です。アクセス制限や権限の設定を利用できますが、その分、誰にどこまで許可するかを、運用のなかで適切に管理していく必要があります。

三つ目は、ビジネスチャットツールです。やり取りする相手があらかじめ決まっているため、送り先を取り違えにくいという特徴があります。ただし、社外の相手とは同じツールを使っていない場合も多く、利用できる範囲は相手の環境によって変わります。

四つ目は、S/MIMEと呼ばれる方式です。電子証明書を使って、メールの本文と添付ファイルを暗号化し、あわせて電子署名を付けられる仕組みです。ただし、証明書の取得や管理に手間と費用がかかり、送る相手側も対応している必要があります。導入や運用の負担は、小さくありません。

ここまで、手順と、いくつかの渡し方を見てきました。共通して負担になりやすいのが、一つひとつの「手作業」や、相手側での対応です。こうした負担そのものを減らせる選択肢として、富士フイルムの「SECURE DELIVER」があります。
SECURE DELIVERでは、ファイルのZip化やパスワードの設定が不要で、そのままファイルを届けられます。送ったあとには、相手がダウンロードしたかどうかを確認でき、万一誤送信してしまった際でも、ダウンロード用のURLを無効にできます。また、スマートフォン(iOS)から受信メールの閲覧、ダウンロード、返信の操作ができる点も負担軽減の意味でメリットと言えるでしょう。※
つまり、これまでパスワード付きZipファイルに期待してきた「安全に届けたい」という目的を、手間をかけずに実現しやすくなります。富士フイルムが提供しているという信頼性も、社内で見直しを提案する際の後押しになるはずです。こうした手間や負担を減らしながら、より安心してファイルを渡す方法として、検討する価値があります。
※対応OSはiOSのみとなっており、Android端末は動作保証外です。iOS端末でもSafari(日本語版)でのご利用に限られます。
SECURE DELIVER ご利用環境

いいえ、Windows 11の標準機能だけでは、Zipファイルにパスワードを設定できません。かつてはWindows XPまで標準機能で設定できましたが、現在は搭載されていないため、圧縮ソフトを別に用意する必要があります。
正しいパスワードが分からない限り、原則として開けません。まずは送信元に、パスワードをもう一度確認してみてください。入力ミスの可能性もありますので、大文字・小文字や記号もあわせてご確認いただくと確実です。
標準の状態のままでは開きにくく、解凍用のアプリが必要になることが多いです。とくに外出先では開けずに困る場面もあるため、送る相手がスマートフォン中心の場合は、別の渡し方も検討するとよいでしょう。
法律で一律に禁止されているわけではありません。ただし、政府が率先してこの方式の利用をやめ、民間企業でも見直しが進んでいます。今後は、パスワード付きZipファイルに代わる方法への移行が、さらに進むと考えられます。
パスワード付きZipファイルは、多くの人に「これが正しいファイルの送り方だ」と信じられてきました。しかし、ここまで見てきたように、今では手間も危険も大きい方法になっています。暗号の強度、ウイルス対策との相性、受け取る側の負担、そして「そもそも届かない」という新しい問題。これらの点を踏まえると、その「面倒」は、もう手放してしまってよいものです。
とはいえ、長年の習慣を変えるのは、簡単ではありません。もし社内で見直しを提案したいと感じたら、あわせてSECURE DELIVERのWebサイトに掲載されている「PPAPとは?」の記事や、お問い合わせフォームから請求できる富士フイルムがご用意している資料もお役立てください。まずは小さな一歩から、より安全で負担の少ないやり方へと、切り替えていきましょう。
SECURE DELIVERについて
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