第40回 「守る」「快適」そして…「見える」!
ウィンドウフィルムは縁の下の力持ち
- すぐそこにあるのに目立たない。そして、目立たないことにこそ意義がある。今回の主役は、そんな縁の下の力持ち「ウィンドウフィルム」です。求められる役割は場所によってさまざま。そこには、富士フイルムが写真フィルムで培ってきた技術が活かされていました。
美しいプリントでお店やビルを演出!
震災でのガラス飛散を抑える機能も
今回は、富士フイルム 産業機材事業部と、富士フイルム イメージングシステムズのみなさんにお話を伺います。
ガラスに印刷されたチューリップたちですね!
「はい。50ミクロンという薄さのフィルムの上にインクジェットでプリントしています。非常に硬いハードコート層を持つ構造なので、プリントが剥がれにくいのが特徴です」
「店舗やビルのオリジナルデザインの装飾ウィンドウにも、高品質なプリントが可能です。このビルにも最大1560ミリのフィルムに印刷できる大型プリンターがあり、実際にここで出力されたものを施工しています」
路面店などでは、道路に面したガラス窓は重要なPRスペースですもんね。
「もちろん装飾だけではなく、ガラスの飛散防止、UVカットというガラスフィルムとしての機能性も備えています。震災対策としてのガラスフィルムの導入も進んでいますし、飛散防止性能を保つためにおよそ10年ごとの張り替えも必要になりますので、ウィンドウフィルムの活用シーンは増えているんですよ」
透明なのに熱を抑える「遮熱フィルム」
ヒミツは写真フィルムで培った銀粒子にあった
「次のご紹介するのは、遮熱フィルムです」
遮熱というと、熱をさえぎるという意味ですよね。
「はい。夏場などは強い日差しで部屋の温度、特に窓際の床がアツアツになってしまいますよね。遮熱フィルムを貼ることによって、直射日光の当たる窓際の床の温度を最大で20度近く下げる効果があります」
20度の差は大きいですね!空調費用の削減効果にも期待できますね。
「実際に施工したお客さまからは、『夏場は窓の側の床は熱くて歩けなかったけど、フィルムを貼ってからは問題なく歩ける』という声もいただいています(笑)」
熱はフローリングにも良くなさそうですし…。ところで、透明なフィルムなのにどうして熱を抑えることができるんでしょうか?
「富士フイルムが得意とする銀粒子の技術を応用しています。上のような形状の「銀ナノディスク」を、きれいに並べると、光の共鳴によって特定の周波数の光を反射することができます。 上のように、厚み10ナノメートル程度、直径120〜150ナノメートルの銀ナノディスクでは、暑さの原因となる近赤外線を選択的に反射し、遮熱することができるんです」
透明なフィルムの中で、ものすごく小さな銀ナノディスクが整然と並んでいるわけですか…。なんだか魔法のようにも感じます!
「銀粒子を作る技術、そしてそれを高い精度で塗布する技術は富士フイルム独自のものです。写真フィルムで培ってきたノウハウが、ウィンドウフィルムにも活かされているんですよ」
微量に水を吸い込むフィルムが
「曇らないガラス」を実現する
「最後にご紹介するのは、『防曇(ぼうどん)フィルム』です。耳慣れない言葉かもしれませんが、簡単にいうと曇りどめフィルムですね」
コンビニの飲み物や冷凍食品を選んだあと、ガラスが曇っちゃう経験あります! でも、曇りどめの仕組みってすごく不思議ですね。
「このフィルムは表面に水分を吸収する処理を施しています。それによってガラス表面に結露の原因となる水滴ができにくくなります。水分が増えてきても水が膜になるため、視認性が高い状態を保つことができます」
飛散防止、遮熱、防曇と、さまざまな機能がありますが、一見するとただの「透明なフィルム」であることに驚かされます。本日はありがとうございました!
“見えなくても大きい”ウィンドウフィルムの存在感
最後に紹介した防曇フィルムは、まだ登場したばかりの新製品とのこと。冷凍・冷蔵庫のショーケースだけでなく、医療現場のフェイスプロテクターや、建設機械の窓など、プロフェッショナルな現場での活用が見込まれています。
見えないようで、身近で私たちを支えているウィンドウフィルムの世界。そんなところにも、富士フイルムの技術が活かされていました。
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「よろしくお願いします。さっそくですが、私たちの後ろにあるガラスドアにも、ウィンドウフィルムが貼ってあるんですよ」